健康情報
2022.07.05
1日に必要な水分量はどのくらい?計算方法と補給のタイミングを押さえて脱水を防ごう
1日に必要な水分の目安量
水は生命や健康を維持するうえで欠かせない物質であり、人の身体を構成するなかで最大の構成要素です。ここでは水分の体内での役割と、1日に必要な水分量の計算方法について解説します。
体内の水分構成量
年齢や体脂肪によって多少のばらつきがありますが、体重の約60%を「体液」と呼ばれる水分が占めています。口から摂取した水分は腸から吸収されて、血液や細胞などの体液として全身を循環します。体液には、以下のような役割があります。
- 酸素や栄養を各細胞に運び、不要な老廃物を体外へ排出する
- 血液を循環させ、発汗を促して体温を調節する
- 新陳代謝が円滑に行われるようサポートする
1日に必要な水分量
厚生労働省が発表している日本人の食事摂取基準に目安量が設定されています。生活活動強度が低い人は1日あたり2.3~2.5L程度、生活活動強度が高い人で、1日あたり3.3~3.5L程度です。
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」
1日に必要な水分量の計算式(成人)
成人の1日に必要な水分量は、以下の式で計算できます。
必要水分量(ml/日)=体重(kg)×年齢別必要水分量(ml/kg/日)
- 22歳~54歳:1日あたり35ml/kg
- 55歳~64歳:1日あたり30ml/kg
- 65歳以上:1日あたり25ml/kg
例えば、体重50kgの30歳女性の1日に必要な水分量は、50(kg)×35(ml)=1750(ml)となります。この必要水分量は食事から摂取する水分量も含まれた量であり、食事に含まれる水分量は、約600ml前後です。このことから、1日に水分として摂取する必要最低量は、1750(ml)-600(ml)=1150(ml)となります。
水分摂取のタイミングと効率よく摂取するためのポイント
水分の摂取方法には、いくつかのポイントがあります。ここでは、水分を効率よく摂取するためのタイミングやポイントについて解説します。
寝る前にコップ1杯の水を摂取する
寝る前にコップ1杯の常温の水か白湯を飲むことで血流がよくなり、脳卒中や心筋梗塞のリスクが低下します。また、就寝中には平均150~200ml程度の汗をかくため、就寝前に水分補給をすることで脱水予防につながります。さらに、血流がよくなることで基礎代謝があがり、脂肪の燃焼を促進させるのでダイエットにも効果的です。
寝起きにコップ1杯の水を摂取する
寝起きの水分補給は、就寝中に汗で失われた水分を補うだけでなく、胃腸が刺激されて腸の蠕動(ぜんどう)運動を促進させます。腸の蠕動運動が活発になることで排便が誘発され、便秘の改善や予防にも有効です。さらに、排便後に朝食を取ることで、栄養を取り込みやすくなるというメリットもあります。
こまめな水分補給を習慣づける
一度で吸収される水分の量はコップ1杯(200ml)程度なので、一度にたくさんの水分を摂っても意味がありません。また、一度に大量の水分を摂取すると、胃腸に負担がかかってしまいます。そのため、1日に必要な水分量を200mlで割った回数、例えば1日の必要量が1.2Lの場合は、6~8回程度が最適です。夏の暑い日や運動中などは、一口ずつなどこまめに補給しましょう。
果汁やフルーツを入れて味に変化を付ける
水の味が苦手な人は、果汁やフルーツを入れて味に変化を付けるのがおすすめです。しかし、果汁やフルーツを長時間入れて放置すると雑菌が増殖してしまい、健康に害を及ぼす可能性もあり危険です。1日に必要な分を作るのではなく、1回に飲み切れる量を作り、作り置きはやめましょう。
水分を摂取する際の注意点
水分を摂取する際には以下の点に注意しましょう。
脱水に気を付ける
猛暑日や運動中など大量に汗をかいたときだけでなく、長時間室内にいる場合もこまめな水分補給をしましょう。人は汗以外にも、皮膚や呼気から水分を排出します。これを不感蒸泄と呼び、無意識のうちに脱水状態となる場合があります。汗をかいていなくても、1時間に1回はコップ1杯程度の水分摂取を意識的に行いましょう。脱水症を伴う症状は、以下のとおりです。
- 喉が渇く(ない場合もある)
- 尿量が減少する
- 皮膚や手指がカサカサと乾燥する
- 口の中が粘っこくなる
- けん怠感や脱力感
- 立ちくらみ
- 頭痛
- 吐き気
- 継続的な微熱
高齢者は特に注意
高齢者は喉の渇きを感じにくいため、特に注意が必要です。意識的に水分補給をするだけでなく、尿の回数や濃さにも注意しましょう。濃い尿が出るときは水分が不足しているサインなので、しっかりと水分を摂りましょう。高齢者が脱水を注意すべき身体的特徴は、以下のとおりです。
- 喉の渇きが鈍くなる
- 体液を多く含む筋肉量が低下している
- 食事量が減少し、食べ物から摂取する水分量が不足する
- トイレに行く回数を減らすために、意識的に水分を減らしている場合がある
- 腎臓の濾過(ろか)機能が低下し、水分の再吸収や排出に必要な水分量が増える
- 持病(高血圧、腎臓病、心臓病)により利尿剤を服用する人が多い
ミネラルも一緒に補給する
汗をかくと、体内の水分と一緒に体内のミネラル(主にNa、Cl)が排出されます。そのため、水だけを飲んでいると体内のミネラルバランスが崩れ、体液が薄まるのです。体内では体液のミネラルバランスを正常に戻すために、余分な水分を排出します。さらに、これ以上体液を薄めないように喉の渇きまで鈍くなってしまうのです。大量に汗をかいたときや、運動をする際は、水分と一緒にミネラルの補給をしましょう。
水中毒に気を付ける
一度に大量の水を継続的に摂取すると血中のナトリウム濃度が低下し、めまいや頭痛、頻尿といった症状が現れます。これを水中毒といい、重度では意識障害や呼吸障害など命の危険もあるのです。精神疾患を患っている人によく見られる症状ですが、精神疾患がない場合にも起こる可能性はあります。1時間に1L以上の水を継続的に飲み続けることでミネラルバランスが崩れ、症状がでる場合があるため注意しましょう。
食事量はしっかり確保する
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脱水を予防するには、3食しっかりと食事を摂ることも大切です。特にダイエット中など食事量を制限している場合は食事からの水分量も少ないため、脱水のリスクが高くなります。逆に、水分で空腹を満たすのも血液中のミネラルのバランスが崩れ、低ナトリウム血症を起こす可能性があるため危険です。そうならないためにも、1日3回の食事をしっかりと摂取し、1日に必要な水分量もしっかりと補給しましょう。
水分をしっかり摂取し、健康的な1日を送ろう!
水分は生命を維持し、健康的な生活を送るために必要不可欠です。適切な水分摂取は、ダイエットにもうれしい効果が期待できます。体内の水分が不足すると、脱水症となり命の危険もあります。1日の必要水分量をしっかりと確保し、健康的な1日を送りましょう。
管理栄養士馬塲 耕造
1950年生まれ。国立循環器病研究センター 栄養管理室長、大阪刀根山医療センター 栄養管理室長、関西福祉科学大学 福祉栄養学科 客員教授。現在、優れた知見をもとに当社商品の監修と管理栄養士の指導を行い、お客様の栄養相談も行っている。