食事療法
2022.07.01
【キャベツダイエットの効果とは】痩せるやり方や注意点を理解して始めよう!
キャベツに含まれる栄養素とその効果
キャベツは一年中店頭に並ぶ人気の野菜です。さまざまな栄養素が含まれており、それぞれが体の中で大切な働きを担っています。ここでは、キャベツに含まれる栄養素と期待される効果について解説します。
ビタミンC
コラーゲンの合成に必要な栄養素です。コラーゲンは細胞と細胞の間に存在し、皮膚や血管、筋肉、骨などの組織を健康な状態に保つ働きを持っています。また抗酸化作用も強く、チロシンの酸化によってメラニン色素が産生されるのを抑えることで日焼けの予防効果が期待できます。さらに、血管が活性酸素によって傷つくのを防ぎ、動脈硬化や心筋梗塞を防ぐ働きもある成分です。キャベツ100gに41mgと、豊富に含まれています。
ビタミンK
血液に含まれるたんぱく質の合成に必要なビタミンです。出血を止める働きのあるたんぱく質と、体内で血液が固まらないようにするたんぱく質の両方の合成に関わっています。またカルシウムを骨に沈着させて骨形成を促す働きもあり、丈夫な骨作りに役立ちます。キャベツ100gに78μg含まれています。
ビタミンU
ビタミンではありませんが、ビタミンに近い働きをする「ビタミン様物質」の一種です。胃酸の分泌を抑制し、粘膜の修復をサポートする働きがあります。胃炎や胃潰瘍を予防する効果があるため、胃腸薬の成分としても使用されています。
カリウム
ナトリウムと作用し合いながら細胞の水分バランスを調節し、細胞の機能の維持に関わっています。とりすぎたナトリウムを尿中へ排泄する作用があり、高血圧の予防効果がある栄養素です。筋肉でのエネルギー代謝にも関わっており、筋肉や心臓の機能を正常に保っています。キャベツ100gに200mg含まれています。
食物繊維
人の消化酵素で消化できない成分の総称で、主に植物の細胞壁に含まれている栄養素です。水に溶けない不溶性食物繊維と溶ける水溶性食物繊維に分類され、それぞれ働きが異なります。
不溶性食物繊維の作用
胃や腸で水分を吸収して膨らむ成分です。便のかさを増やして腸を刺激することで便通が促進され、腸内環境の改善につながります。キャベツ100gに1.4g含まれています。
水溶性食物繊維の作用
大腸で腸内細菌のエサとなり、ぜん動運動が促進されて便通が改善されます。また、糖質の吸収を抑えたり、コレステロールを吸着して体外に排泄したりする働きのある成分です。糖尿病や脂質異常症などの予防に役立ちます。キャベツ100gに0.4g含まれています。
イソチオシアネート
キャベツや大根、ブロッコリーなど、アブラナ科の野菜に多く含まれている成分です。強い抗酸化作用を持ち、解毒酵素を活性化させる働きがあります。発がん物質の毒性を消し、がんを予防するといわれています。また、肝機能の向上にも効果が見込まれている成分です。
キャベツのカロリーと糖質
キャベツ100gのカロリーは21kcal、糖質(炭水化物)は5.2gです。キャベツを食べてカロリーや糖質が過剰になる心配はないでしょう。
出典:文部科学省「食品成分データベース 野菜類/(キャベツ類)/キャベツ/結球葉/生」
キャベツダイエットで痩せる理由
キャベツダイエットで体重が減る理由は、3つあります。
カロリーが低いものでお腹が満たされる
キャベツはカロリーが低く、たくさん食べてもカロリーオーバーにならない食材です。カロリーが低いものでお腹を満たし、カロリーが高い料理の食べすぎを防げることがキャベツダイエットで痩せる理由です。
よく噛むことで満腹感が上がる
よく噛むと食べるスピードがゆっくりになり、少ない量でも満腹中枢が刺激されて食べすぎを防げます。よく噛むための工夫として、硬い食材や繊維質の食材を食事に取り入れることが大切です。食事にキャベツを加えることで噛む回数を自然と増やせるので、ダイエットにつながります。
よく噛んでカロリー消費もアップ
食後は消化吸収にカロリーが使われるため、体温が上がります。これを「食事誘発性熱産生」といい、よく噛むことでこの熱産生が上がります。よく噛むことは食べる量を減らすだけでなく、カロリー消費を増やす意味でもダイエットに大切です。
血糖値の急激な上昇を抑える
キャベツに含まれる食物繊維には、小腸で糖の吸収をゆるやかにする働きがあります。ゆっくり糖が吸収されると、食後の血糖値が急激に上がりにくくなります。
ダイエット中に血糖値の急上昇を避けたい理由
血糖値が急上昇すると、血糖値を下げるホルモンであるインスリンが分泌されます。インスリンによって血中の糖は体に取り込まれ利用され、余分な糖は体脂肪として蓄積されます。血糖値の急上昇を抑えることは、体脂肪の蓄積を防ぐために大切です。
キャベツダイエットのやり方
ここでは、キャベツダイエットの詳しいやり方を解説します。
食事の最初にキャベツを食べる
キャベツは食事の最初に食べるのがポイントです。キャベツで空腹感を満たし、ほかの料理の食べすぎを抑えましょう。
1食の量は70~100gが目安
キャベツが少なすぎても満腹感を得ることはできませんが、繊維が多いためたくさん食べるのも大変です。1食分の量としては、70~100gが適度な量といえるでしょう。
1日350gの野菜をとろう
1日に必要な野菜の量は、350gとされています。一方、日本人(20歳以上)の野菜の平均摂取量は280.5gです。キャベツを70~100gとると、この不足分を補えます。キャベツの葉は1枚30~40g程度であるため2~3枚が目安となり、無理なく食べられる量であるといえます。ちなみに、350gの野菜のうち120gを緑黄色野菜、230gをその他の野菜で摂取するのが目安です。
1日1回夕食で実施する
キャベツダイエットは1日1回夕食で実施するのがおすすめです。夜遅い時間の食事は昼間に比べて血糖値を上げやすく、体脂肪の合成にもつながりやすいといわれています。夕食の前にキャベツを食べ、血糖値の上昇を抑えましょう。
キャベツダイエットを1日2回以上実施すると、食べる野菜がキャベツばかりになり栄養が偏る可能性があります。1日2回以上実施する場合は、ほかの野菜も食事に取り入れるよう意識しましょう。
よく噛んで食べる
早食いを防いで満腹感も上がるため、よく噛んで食べましょう。食事の最初にキャベツをよく噛んで食べることで、その後に食べるほかの料理もよく噛む癖をつけられます。食事全体をよく噛むことで食べすぎを防げるだけでなく食後のカロリー消費も上げられるため、ダイエットに役立ちます。
キャベツダイエットの注意点
キャベツダイエットを行うにあたっては、注意点もあります。以下の点を踏まえて実践しましょう。
主食・主菜・副菜を揃えた食事でバランスよく
痩せるためには、食事からとったエネルギー源や体にため込まれた脂肪を効率よくエネルギーに変える必要があります。その代謝の過程では、各種ビタミンやミネラルが欠かせません。ダイエット中はキャベツを食べるだけでなく、食事全体のバランスを整える必要があります。主食・主菜・副菜を揃えた食事を心がけましょう。
主食:ご飯・パン・麺類
主食となるのは、ご飯・パン・麺類などの穀物を中心とした料理です。炭水化物が摂取でき、体のエネルギー源となります。
主菜:たんぱく質源
主菜となるのは、肉・魚・卵・大豆製品を主な材料とする料理です。たんぱく質が摂取でき、筋肉や内臓、爪、髪など体のあらゆる組織の材料になります。またビタミンB群や鉄など、ビタミンとミネラルも摂取できます。
副菜:野菜・いも・きのこ・海藻類
副菜となるのは、野菜・いも・きのこ・海藻類を主な材料とする料理です。ビタミン、ミネラル、食物繊維を豊富に含み、体のさまざまな働きを整えるのに役立ちます。キャベツダイエットで摂取するキャベツ料理も副菜に該当します。
キャベツ以外の野菜も取り入れよう
野菜は緑黄色野菜と淡色野菜に分けられ、キャベツは淡色野菜に分類されます。緑黄色野菜にはβ-カロテンが多く含まれ、肌や目の健康の維持に役立ちます。キャベツだけでなく、緑黄色野菜も意識して取り入れるようにしましょう。
調理するときの注意点
キャベツに含まれる栄養素を逃さずとり、さらにダイエットにも役立てるには、調理のときにも注意したいポイントがあります。ここでは注意点を2つ紹介します。
水にさらしすぎない
キャベツを切ってから水にさらすと、ビタミンC、ビタミンU、カリウムなどの水溶性の成分が切り口から流れ出てしまいます。切った後のキャベツを水にさらしすぎないよう注意しましょう。
油をとり過ぎない
キャベツの調理法としては、茹でるより炒めるほうが水溶性成分の損失は抑えられます。しかし、油を多く使う調理法はカロリーが上がりやすく、ダイエットには不向きです。
キャベツの栄養をしっかりとれ、ダイエットに役立つ調理法を2つ紹介します。
おすすめの調理法①千切りサラダ
千切りサラダはキャベツの成分を丸ごととれる調理法です。かさが多く食べごたえがあるため、よく噛んでゆっくりと食べられ、ダイエットにも役立ちます。自炊をしない人でも、市販のカットサラダを購入すれば手軽に食べられます。ドレッシングは脂質が多いため、かけすぎに注意するかノンオイルのものを使用しましょう。
おすすめの調理法②丸ごとスープ
煮込むとキャベツの栄養素が煮汁に溶け出してしまいますが、スープにすれば溶け出した栄養素も摂取が可能です。加熱するとかさが減るため、キャベツを無理なくたくさん食べられます。温かい汁物は満腹感を増すので、ダイエットに役立つといえるでしょう。
キャベツを食事に取り入れて健康的にダイエットしよう!
キャベツはビタミン、ミネラル、食物繊維を豊富に含んでいます。カロリーが低く食べごたえもあるため、ダイエットに適した食材です。全体の食事のバランスや、キャベツの調理法に注意しながらキャベツダイエットに取り組むことが大切となります。健康的に痩せるために役立てましょう。
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管理栄養士馬塲 耕造
1950年生まれ。国立循環器病研究センター 栄養管理室長、大阪刀根山医療センター 栄養管理室長、関西福祉科学大学 福祉栄養学科 客員教授。現在、優れた知見をもとに当社商品の監修と管理栄養士の指導を行い、お客様の栄養相談も行っている。