健康情報
2022.06.06
茹でると野菜の栄養は損なわれる?茹で野菜のメリット・デメリット、効率アップの食べ方とは
茹でると栄養素はなくなる?
野菜を茹でると、含まれる栄養素が失われるといわれています。しかし、それ以上に茹でることで得られるメリットもあるのです。ここでは、野菜の1日に摂取する目標量について解説するとともに、茹で野菜のメリットとデメリットについて解説します。
1日に必要な野菜の量
健康的な生活を送り、生活習慣病を予防するためには、1日350g以上の野菜を摂取することが望ましいとされています。野菜には食物繊維が豊富に含まれているだけでなく、ビタミンやミネラルなどの栄養が多く含まれていることが特徴です。また、これらのビタミンは、糖質や脂質、タンパク質などの栄養素を代謝する際の補酵素としても働きます。
野菜が必要な理由
野菜には、どのような栄養が含まれているのでしょうか。ここでは、野菜が身体によい理由について解説します。
ビタミンやミネラルなどの栄養素が豊富に含まれている
野菜にはビタミンやミネラルなどの栄養が豊富に含まれており、生活習慣病の予防に効果的です。例えば、ビタミンCやβカロテンは強い抗酸化作用を持っているため、体内で発がん物質が作られるのを予防する働きがあります。また、ポリフェノールやビタミンEには、活性酸素の発生を抑制させる働きもあります。この活性酸素は細胞や組織を酸化させ、血管や細胞の老化を導くため生活習慣病の原因になるともいえるでしょう。
食物繊維が豊富に含まれている
食物繊維は、腸の蠕動(ぜんどう)運動を促進させて便秘の改善や予防をする効果があります。さらに、糖質や脂質の吸収を緩やかにし、血糖値の急上昇を防ぐ効果や、血液中のコレステロール濃度を低下させる効果もあります。
日本人の平均野菜摂取量
平成30年に実施された国民健康・栄養調査の結果では、野菜類の平均摂取量は成人男性が約290g、女性で約270gでした。この量は、目標量である350gをはるかに下回る量です。さらに、20~30歳代の男性は約260g、女性が約240gと平均よりもさらに少ない量となっています。野菜の栄養は健康に効果的であることは周知されていますが、目標量を満たすには、意識的に摂取する必要があるといえます。
出典:厚生労働省「平成30年国民健康・栄養調査の結果の概要」
茹でると変わる重量変化率
茹でることでカサが減り、重量が変化する野菜は多いです。茹でる前の重量を100gとしたとき、重量の変化の割合を表したものを重量変化率といいます。例えば、キャベツを茹でたときの重量変化率は70%なので、可食部が100gのキャベツを茹でると70gの重さになります。
野菜の重量変化率
野菜 | 茹でたときの重量変化率 |
キャベツ | 89% |
小松菜 | 88% |
白菜 | 72% |
チンゲン菜 | 71% |
ほうれん草 | 70% |
豆苗 | 65% |
出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)重量変化率」
野菜を茹でることのメリット
野菜を茹でることで得られるメリットは以下のとおりです。
野菜のカサが減りたっぷり食べられる
茹でるとカサが減るため、生で食べるよりも量をたっぷりと食べられます。1日350gの目標量の生野菜を摂取することは、意識してもなかなか容易ではありません。しかし、茹で野菜にすることで比較的容易にたっぷりと食べられるのです。
アクが抜けて、食べやすくなる
アクが強い野菜などは、茹でることでアクが抜けて食べやすくなります。また、柔らかくなるので、あごの力が弱い子どもや高齢者には咀嚼(そしゃく)がしやすくなるというメリットもあります。
冷凍保存がしやすくなる
茹で野菜は、冷凍保存がしやすくなるというメリットもあります。生野菜だと、長くても1週間程度しか鮮度が保てないのに対し、冷凍保存の場合は2週間〜1ヶ月程度も保存が可能です。また、冷凍保存することで料理をする際のひと手間が省け、手軽に野菜を摂れます。
風味がよくなる
茹でると、野菜本来の甘味やうま味が増します。また、口当たりもよくなるため、生野菜が苦手な人にもおすすめの食べ方です。
時短になる
茹で野菜を常備しておくとメニューの幅が広がり、時短調理が可能となります。時間がない朝などは、茹で野菜を加えるだけで時短になるだけでなく、栄養のバランスも整ったメニューになります。
野菜を茹でることのデメリット
つぎに、野菜を茹でることで生じるデメリットについて解説します。
水溶性ビタミンが流れ出てしまう
野菜を茹でることで生じる最大のデメリットは、ビタミンが流れ出てしまうことです。しかし、すべてのビタミンが流れ出るわけではなく、少しの工夫でこのデメリットを最小限に抑えられます。
茹で野菜の栄養を効率よく摂取する食べ方
茹で野菜の栄養素を効率よく摂る調理方法や、食べ方について解説します。
加熱時間は短めにする
茹でる時間が長ければ長いほど、水溶性ビタミンなどの栄養素は流出してしまいます。そのため、加熱時間は短めに、サッと茹でましょう。ほうれん草や小松菜などの葉野菜は、沸騰したお湯で1分程度茹でるだけで十分です。ジャガイモやニンジンなどの根菜類は、水からじっくりと茹でるのがコツです。沸騰したお湯で茹でると中まで火が通りにくいうえに、外側に火が通り過ぎるため荷崩れの原因となってしまいます。
茹でるときに塩を加える
野菜を茹でる際に塩を入れると、茹で上がりの野菜の色を綺麗なまま保つ「色止め」の効果があります。さらに、塩を入れることで沸点が上がるため、より短時間で茹で上げれます。そのため、茹でることで流出してしまう栄養素の量を最小限に抑えられるのです。
茹でる以外でおすすめの調理方法
野菜の栄養を効率よく摂取するためには、茹でる以外にどのような調理方法があるのでしょうか。
蒸し野菜にする
野菜を「蒸す」調理方法は、短時間で野菜を柔らかくするうえに、栄養素の流出も最小限に抑えられます。蒸し料理は蒸篭(せいろ)以外にもレンジで作れる容器があり、手軽に蒸し野菜を作れます。
生野菜のまま摂取する
生のままサラダとして食べることで、栄養素を余すことなく摂取できます。フルーツと一緒にスムージーにしたり、豆乳や牛乳と合わせてミックスジュースとして飲むこともおすすめです。豆乳と組み合わせることで、良質なたんぱく質を同時に摂取できます。また、牛乳と組み合わせることで、不足しがちな乳製品を効率よく摂取できます。
油と一緒に摂取して栄養素の吸収率を上げる
ニンジンに含まれるβカロテン(ビタミンA)は、油と一緒に摂ると吸収率が上がります。ビタミンの分類ではビタミンAのほかにも、ビタミンD、ビタミンK、ビタミンEがあり、これらを総称して脂溶性ビタミンと呼びます。
スープや鍋にして汁まで一緒に摂取する
スープや鍋など、汁まで一緒に摂取できるメニューにすることで、流れ出てしまった栄養素も取りこぼさずに摂れます。
野菜スープと相性抜群!手軽に栄養素が摂れるお弁当
電子レンジで温めるだけで手軽に栄養素が取れる、冷凍のお弁当はご存じでしょうか。
ジョイントのお弁当は管理栄養士監修の健康管理食。通常の健康管理食に加え、塩分・たんぱく調整食、糖質制限食など豊富なお弁当の種類があり、メニュー数も豊富なところがジョイントのお弁当の魅力。
茹で野菜でカサを減らして栄養をたくさん摂取しよう
野菜は茹でることでカサが減り、生で食べるよりも一度にたくさんの量を摂れます。さらに、柔らかくなるため、消化吸収もよくなるというメリットもあります。簡単に作れる茹で野菜を食事に取り入れて、効率よく栄養を摂取しましょう。
管理栄養士馬塲 耕造
1950年生まれ。国立循環器病研究センター 栄養管理室長、大阪刀根山医療センター 栄養管理室長、関西福祉科学大学 福祉栄養学科 客員教授。現在、優れた知見をもとに当社商品の監修と管理栄養士の指導を行い、お客様の栄養相談も行っている。