健康情報
2022.06.01
慢性膵炎の食事で注意したい5つの鉄則|改善に向けて毎日の生活で心がけるべきこととは
慢性膵炎とはどんな病気?
慢性膵炎は、正常な膵臓の細胞が破壊され、膵臓が次第に繊維に置き換わる病気です。膵臓で作られる消化酵素が異常に活性化されることで自分の膵臓を消化して破壊し、長い時間をかけて繊維組織に変えていきます。固い繊維にほとんど置き換わってしまうと膵臓の機能が低下し、消化不良や栄養障害、糖尿病などの病気を引き起こすのです。
2つの機能をもつ膵臓はどんな臓器?
膵臓は胃の後ろあたりにあり、20cmほどの細長い形をしています。膵臓の機能は、以下のとおりです。
- 食べ物を消化するアミラーゼやリパーゼといった、膵液を分泌する
- 血液中の糖分量を調整するホルモンを分泌する
慢性膵炎の症状
慢性膵炎の最も特徴的な症状は、お腹の上部の痛みです。痛みの程度は弱いものから、みぞおちのあたりを中心とした非常に強い痛みまでさまざまです。痛む場所は主にお腹の上部ですが、おへその周りや背中にまで及ぶこともあります。吐き気や嘔吐を伴うこともあり、進行すると消化不良による下痢や体重の減少などの症状が現れることもあります。
慢性膵炎の原因
慢性膵炎の最も多い原因はアルコールの飲みすぎで、半数以上とされています。ただアルコールを大量に飲むだけで、必ず慢性膵炎になるわけではありません。環境や体質、喫煙が慢性膵炎の発症や増悪に影響があることや、胆石症が原因となる場合があることも分かっています。また、突発性で原因不明の慢性膵炎もあり、これは女性に多い傾向があるようです。
慢性膵炎は放置すると進行する
慢性膵炎は膵臓が炎症を繰り返すことで繊維状に固くなり、機能しなくなる病気です。最初は膵臓が機能した状態で、炎症を繰り返します。このタイミングで治療せずに放置していると、徐々に膵臓の繊維化が進み機能不全に陥ってしまいます。初期症状の間にしっかり治療をしないと慢性膵炎になり、膵臓癌や糖尿病のリスクが高まるでしょう。
慢性膵炎の改善に必要な食事の注意点
慢性膵炎の場合は、膵臓に負担のかからない食事を取ることが重要です。控えることが必須の食べ物もあるので、食事の内容を見直しましょう。
慢性膵炎には食事と生活習慣の改善が有効
生活習慣を変えるのは大変ですが、慢性膵炎の進行を予防するためには重要なことです。まずは、禁煙やアルコールの摂取は控えるようにしましょう。特に喫煙は慢性膵炎の発症や石灰化の促進、膵臓癌の原因になります。
膵臓に負担をかけない食事を心がける
慢性膵炎は膵臓を休める必要があるので、消化液が多く分泌されるような食事を控えることが重要です。痛みのあるときは、お粥や重湯のような消化に負担のかからない食事を選びましょう。
慢性膵炎の食事で注意すべき原則
ここでは、慢性膵炎を改善させるために食事で心がけたい5つの原則を紹介します。膵臓に負担をかけない具体的な食べ物を確認していきましょう。
1.脂質を控える
膵臓は、「リパーゼ」という脂質の消化を助ける酵素を分泌します。脂質が多い食事を取ると膵臓がリパーゼをたくさん分泌するので、大きな負担がかかります。膵臓を休ませるためにも、脂質の多い食事を控えましょう。最近では脂っぽい食事をセーブすると、慢性膵炎の痛みが和らぐという研究結果も出ています。
肉より魚、野菜を積極的に食べる
メインのおかずには、肉料理より脂質が少ない魚料理を選ぶことをおすすめします。肉を食べる場合は、赤身やヒレなど、できるだけ脂肪分の少ない種類や部位を選びましょう。肉の代わりに脂質が少ない野菜をたっぷり使った料理で、満足度を高める工夫もおすすめです。
油を多く使った食べ物を控える
調理済みの惣菜には、脂質が多く含まれている場合があります。購入する前に、食品表示を確認してください。また、スナック菓子やチョコレートのようなお菓子にも、脂質が多く含まれています。食事だけでなく、普段何気なく食べる間食の内容も見直しましょう。
油を使わない調理法を選ぶ
脂質の種類を問わず、できるだけ油分を使わない調理法がおすすめです。天ぷらやフライのような揚げ物は、衣が油分を吸収し多くの脂質を摂取することになります。オリーブオイルのような健康的とされている油も膵臓が消化液を分泌するため、負担がかかることに変わりありません。蒸したり茹でたりする調理法であれば、余分な油分を除去できるでしょう。
2.アルコールは控える
アルコールは膵臓に大きな負担をかけるため、禁酒が原則となります。アルコールが原因の慢性膵炎ではない場合も症状を悪化させる可能性があるので、お酒を控えるように心がけましょう。
3.消化のいい食べ物を選ぶ
慢性膵炎の場合は、できるだけ消化に負担をかけない食べ物を選ぶことも重要です。以下のような食物繊維の多い食品は消化しにくいため、胃が刺激され連動して膵臓に負担がかかります。これらの食品はできるだけ避けるか、小さく切ったりよく噛んだりとできるだけ消化しやすいよう工夫しましょう。
- ゴボウやれんこんのような根菜
- キノコ類
- 海藻 など
4.刺激物を控える
特に痛みがあるときは、刺激物の摂取を控えてください。ワサビや辛子、唐辛子やカレー粉などの刺激の強い香辛料は膵臓に負担がかかるだけでなく、痛みの原因にもなります。また症状によっては炭酸飲料やコーヒー、濃いお茶も控えた方がいい場合があるのです。
5.3食バランスよく食べる
慢性膵炎では脂質を控えるため、ご飯やうどんのような炭水化物に偏りがちになります。たんぱく質やビタミン類も摂れる献立になるよう、心がけてください。魚や卵、豆腐、赤身肉、野菜を取り入れて、バランスのいい食事を取りましょう。
慢性膵炎になったら食生活を見直そう
慢性膵炎になってしまったら、できるだけ症状を悪化させないよう食事の内容を見直しましょう。膵臓の機能を理解し、負担をかけないような食事を取ることが大切です。食材や調理法を工夫して、慢性膵炎にいい食生活を継続できるようにしましょう。
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管理栄養士馬塲 耕造
1950年生まれ。国立循環器病研究センター 栄養管理室長、大阪刀根山医療センター 栄養管理室長、関西福祉科学大学 福祉栄養学科 客員教授。現在、優れた知見をもとに当社商品の監修と管理栄養士の指導を行い、お客様の栄養相談も行っている。