食事療法
2022.05.31
納豆と相性のいい・悪い食べ合わせ食材とは?プラスワンして栄養効果を高めよう
納豆とは?
納豆は古くから家庭の食卓に登場する身近な食材で、大豆を発酵させて作ることから栄養が豊富に含まれています。独特の匂いと粘りが特徴的で、ご飯はもちろん、ほかの食材と合わせても美味しくいただける食材です。
納豆の元となる納豆菌は稲わらに存在しており、蒸した大豆を稲わらに包んで発酵させる方法で作られていました。現在は工場で納豆菌を培養し、大量に生産されています。
大豆よりも栄養豊富な納豆
納豆は納豆菌で発酵させるため、大豆よりも栄養価が高いです。特にビタミンB2は、大豆に比べて格段に多く含まれています。また、納豆菌の作用で腸内環境が整えられ、消化がよくなることもメリットのひとつです。まずは、納豆で摂取できる栄養とその効果をチェックしていきます。
納豆にしか含まれない「ナットウキナーゼ」
納豆菌によって作られ、納豆だけに含まれる栄養素です。納豆独特のネバネバの部分に含まれており、血管にできる血栓を溶かす効果が期待できます。一般的には血液サラサラ効果ともいわれ、脳梗塞や心筋梗塞のような血液疾患予防のために納豆を食べることもすすめられています。
美肌効果が期待できる「ビタミンB群」
納豆には代謝に役立つ「ビタミンB群」が多く含まれています。肌や髪、爪や粘膜の生成を促進し、健康に保つ働きがあるとされています。納豆を日々の食事に取り入れることで積極的にビタミンB群を摂取し、肌や髪を美しく保ってくれるでしょう。また、ビタミンB2は脂質をエネルギーに変える働きを助けてくれるため、肥満の予防にも役立つとされています。
腸内環境を整える「食物繊維」
納豆には便通を促す「食物繊維」が多く含まれています。腸内の余分な水分を吸収してくれたり善玉菌を増やしてくれたりと、腸内環境を整える役割があります。便秘が慢性化すると、むくみや血行不良、代謝の低下などが起こりがちです。体調不良になるだけでなく、ダイエットや美容面が気になる人にとっても、食物繊維の摂取は必須です。
ホルモンバランスを整える「大豆イソフラボン」
女性ホルモンである「エストロゲン」に似た構造をもっている栄養素です。女性ホルモンの働きを助ける効果が期待でき、アンチエイジングや骨粗しょう症の予防にも役立つとされています。更年期を過ぎた女性は急激にエストロゲンの分泌が少なくなるため、積極的に摂取するのがおすすめです。
身体を健康に保つ「ミネラル」
代謝を助ける、神経伝達を正常に保つ、体を作る材料になるなど、身体を健康に保つために必須の栄養素です。中でもカルシウムは体内のミネラル分の半分を占めており、骨を作るために重要な栄養素となります。納豆にはカルシウムが多く含まれているため、積極的に献立に取り入れるようにしましょう。
納豆は冷蔵庫から出してすぐ食べるのがおすすめ
納豆は、冷蔵や冷凍保存しても栄養が変わりません。ただ、冷蔵庫から出して常温で置いておくと再発酵が進み、粘りや糸引きが弱まってしまいます。また納豆の香りが強まったり、アミノ酸結晶ができてじゃりじゃりした食感になったりと、美味しさが損なわれることもあります。栄養をそのまま美味しく食べるために、冷蔵庫から取り出したらすぐに食べるといいでしょう。
納豆は相性のいい食材と一緒に食べると効果的
納豆はそのまま食べても栄養満点ですが、ほかの食材と合わせることでさらに高められます。納豆の栄養をより効果的に摂取できるように、食べ合わせを工夫してみましょう。
納豆と食べ合わせのいい食材
ここでは、美味しいだけでなく栄養も効率よく摂取できるおすすめの食べ合わせを紹介します。食材を合わせるだけで納豆の味わいが変わり、マンネリ化も打開できるでしょう。
納豆×キムチ
キムチは納豆と同じ発酵食品で、食べ合わせのいい食材です。納豆は納豆菌、キムチは乳酸菌による発酵食品で、それぞれの菌が相乗効果を生み腸内の善玉菌の活性化につながります。便秘がちな人や腸内環境が気になる人は、納豆にキムチを合わせた食べ方をするといいでしょう。納豆にキムチを混ぜて丼物にしたり、豆腐にのせておつまみにしたりと簡単なアレンジで楽しめます。
納豆×トマト
五大栄養素のすべてが含まれる栄養満点の納豆ですが、ビタミンCやビタミンAなどのビタミン類は、あまり摂取できません。そこで、納豆に不足気味なビタミン類を多く含むトマトを合わせてみましょう。トマトと合わせることで栄養バランスだけでなく、彩りもよくなります。角切りにしたトマトを納豆に混ぜ、そうめんや豆腐にのせて食べるのが簡単でおすすめです。
納豆×ねぎ
疲れたときにおすすめの食べ合わせです。納豆に含まれるビタミンB1は糖質をエネルギーに変える働きがあり、疲労回復にも役立ちます。ねぎにはビタミンB1の働きを助ける効果が期待できるため、納豆の疲労回復パワーをアップさせてくれるのです。使うものは、青ねぎや長ねぎでも問題ありません。ねぎを加えるとさっぱりした味わいになるため、食が進むでしょう。
納豆×アボカド
おつまみとして女性に人気がある組み合わせです。ネバネバ納豆と濃厚なアボカドは味の相性もよく、和え物や丼物のメニューで手軽に食べられます。アボカドは納豆に含まれないビタミンCを補えて抗酸化作用があるため、相乗効果で美肌効果が期待できます。肌の状態が気になる人は、納豆とアボカドの組み合わせがおすすめです。
納豆×ニラ
ニラはねぎと同様、代謝を助けるビタミンB1の吸収に役立つ硫化アリルが多く含まれています。また、スタミナ食材であるニラはにんにく同様、香りで食欲を刺激し、疲労回復にも役立ちます。そばやそうめんのトッピングにすると、簡単に食べられるのでおすすめです。
納豆×チーズ
納豆と同じく発酵食品であるチーズは、味の相性がいい食材です。チーズのような乳製品は、粘膜の保護を助けて抗酸化作用のあるビタミンAが豊富に含まれています。腸内環境を整えてくれる納豆と食べ合わせることで、免疫力のアップが期待できるでしょう。チーズトーストに納豆をのせたりパスタに納豆とチーズを絡めたりと、簡単なアレンジが可能です。
納豆×山芋
ネバネバ食材の納豆と山芋は、味の食べ合わせもいい人気のある組み合わせです。山芋には、でんぷんを分解するアミラーゼなどの消化酵素が多く含まれています。これらの消化酵素が納豆に含まれる栄養の吸収を助けてくれるため、効果的に栄養を摂れます。酵素は熱に弱い特性があるため、山芋は生のまま納豆と絡めましょう。
納豆と食べ合わせの悪い食材
納豆の栄養を効果的に摂取するために、おすすめできない食べ合わせもあります。定番の食べ合わせでも相性が悪い場合もあるため、ぜひ確認してみてください。
納豆×生卵(卵白)
生卵(卵白)と組み合わせると、納豆の栄養が減少します。そのため、「納豆卵かけご飯」のような食べ方はおすすめできません。
「ビオチン」の吸収が下がる
卵に含まれるアビジンという成分が、納豆に含まれるビオチンという栄養素の働きを抑えます。アビジンは生卵の卵白にのみ含まれているため、加熱したり卵黄だけ納豆と組み合わせたりすることでビオチンを摂取できます。
ビオチンが不足するとどうなる?
ビオチンは、皮膚や粘膜、髪や爪を健康的に保つために重要な栄養素です。ビタミンB群に属する水溶性ビタミンの一種で、アミノ酸の代謝に関わります。ビオチンが不足すると、肌や髪のトラブルや免疫不全関連の病気につながる場合もあります。ビオチンは通常の生活で不足することはあまりありませんが、生の卵白を多く摂取すると吸収が阻害されてしまうので気を付けましょう。
納豆×熱々ご飯
納豆とご飯の食べ合わせは定番ですが、実は少し注意が必要です。炊き立ての熱々ご飯の熱で、ナットウキナーゼの効果が薄れる危険があります。
「ナットウキナーゼ」は熱に弱い
ナットウキナーゼは、50度を超える熱で効果が弱まってしまいます。ご飯を少し冷ましてから納豆をのせるか、別々に口に運ぶ食べ方がおすすめです。
納豆の栄養を効果的に摂るための食べ方
栄養豊富で手軽に食べられる納豆は、忙しい日々の栄養補給にも役立つ万能な食材です。食べ合わせだけでなく食べ方にも注意することで、その栄養素をより効果的に摂取できます。ここでは、注意しておきたい納豆の食べ方のポイントを確認しておきましょう。
納豆は夕飯に食べるのがおすすめ
納豆は、夜に食べるのがおすすめです。ナットウキナーゼの効果を得るためには、血液が詰まりやすいのは就寝中です。そのため就寝前の食事で納豆を食べるのがより効果的とされています。また、納豆には子どもの成長やアンチエイジング、美肌の面でも注目しておきたい成長ホルモンの分泌を促す効果もあります。この成長ホルモンも就寝中に分泌されるので、納豆は夕飯に食べるようにしましょう。
納豆の食べ過ぎに注意
身体にいいとされる納豆ですが、食べ過ぎには注意が必要です。納豆には尿酸値を上げるプリン体が多く含まれており、過剰に摂取すると痛風を引き起こしやすいです。また、大豆イソフラボンも納豆1パックで1日の安全摂取量の半分に値するため、たくさん食べると過剰摂取につながります。ほかの大豆製品を食べる機会もあるため、納豆は1日1パック程度にとどめておきましょう。
納豆の食べ合わせに注目して効果的に栄養を摂ろう
納豆は手軽に食べられる、栄養満点の万能食材です。食べる際は食べ合わせのいい食材と組み合わせて、味も栄養もアップさせるのがおすすめです。また、食べ合わせの悪い食材や食べ方にも注目して、納豆の栄養が損なわれないようにしましょう。
管理栄養士馬塲 耕造
1950年生まれ。国立循環器病研究センター 栄養管理室長、大阪刀根山医療センター 栄養管理室長、関西福祉科学大学 福祉栄養学科 客員教授。現在、優れた知見をもとに当社商品の監修と管理栄養士の指導を行い、お客様の栄養相談も行っている。