食事療法
2022.05.20
炭水化物ダイエットにおすすめな食べ物とは|気になる効果と健康的に減量する方法
炭水化物ダイエットとは?
炭水化物ダイエットとは、炭水化物の摂取量を通常より減らすダイエット方法のことです。炭水化物を減らした分カロリーが減ることで、ダイエット効果が期待できます。
炭水化物の働き
炭水化物(糖質)は1gあたり4kcalのエネルギーがあり、体中でエネルギー源として活用されます。穀物などの食品から炭水化物を摂取すると消化の過程でグルコースに分解され、小腸で吸収されます。脳や神経組織、赤血球など、通常はグルコースしかエネルギー源として利用できない組織があるため、炭水化物は体にとって必要な栄養素なのです。
エネルギー源になる栄養素
エネルギー源になる栄養素は炭水化物以外に、たんぱく質と脂質があります。たんぱく質は1gあたり4kcal、脂質は1gあたり9kcalのエネルギーを有しています。
1日に食べてもいい量
炭水化物の多い食事は精製度の高い穀類や甘味料の摂取が増えやすく、ビタミンやミネラルの不足を招きかねません。しかし、たんぱく質が多すぎると腎臓へ負荷がかかり、脂質が多いと生活習慣病を引き起こす恐れがあるため、バランスよく食べることが大切です。
1日に食べてもいい炭水化物の摂取量はどれくらいなのでしょうか。
最も健康的な摂取量
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、炭水化物の摂取量は1日の摂取エネルギーの50~65%とされています。 これは1日2,000kcal摂取する場合、炭水化物250~325gに相当します。
アメリカでの25年間の追跡調査からは、炭水化物摂取量が50~55%エネルギーであった集団が最も長生きであったという結果も得られており、この基準を裏付けているのです。
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
炭水化物ダイエットの場合
炭水化物ダイエットの場合、1食の炭水化物量を20~40gに減らします。間食の炭水化物量は10g以下とし、1日に食べてもいい炭水化物量を70~130gにコントロールします。
炭水化物ダイエットといっても炭水化物を食べないのではなく、毎食必ず食べるのがポイントです。
炭水化物ダイエットの効果
炭水化物ダイエットでは、通常より炭水化物量を半分以下に制限します。この分カロリーは確実に少なくなるため、ダイエット効果が見込まれるのです。炭水化物はとりすぎると体内で脂肪として蓄積されるため、とりすぎている場合は減らす必要があります。
カロリーを減らすことが減量につながる
炭水化物ダイエットの効果をほかのダイエットと比較した研究結果によると、カロリーが減ればダイエットになり、どの栄養素を減らしたかはダイエットの結果にさほど関係しないと報告されています。炭水化物を減らした分、食べ過ぎないよう注意が必要です。
炭水化物ダイエットのメリット
たんぱく質や脂質ではなく、炭水化物を減らすメリットはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、炭水化物ダイエットのメリットを解説します。
取り組みやすい
炭水化物ダイエットでは、食事のメニューや食べ物をこれまでと変える必要がありません。ご飯やパン、麺などの主食の量を半分にするだけで成り立つため、取り組みやすいダイエット方法です。家族が食事を作ってくれる場合でも、自分でご飯の量を調整すれば取り組めるでしょう。
必要な栄養素が不足しにくい
おかずはしっかり食べられるため、肉や魚、野菜などからとれる栄養素を不足なく摂取できます。筋肉量を維持し、体脂肪を燃やすためには、ダイエット中でもたんぱく質やビタミン、ミネラルをしっかりとる必要があるのです。炭水化物ダイエットでは、これらが不足しにくいと考えられます。
血糖値を上げず、生活習慣病を改善する
炭水化物の摂取量を抑えるため、食後血糖値が上がりにくくなります。食後血糖値の高い状態が続くと、糖尿病の悪化や動脈硬化の発症につながりやすくなるのです。炭水化物ダイエットでは食後血糖値を抑えることで、メタボリックシンドロームや生活習慣病の改善効果が期待できます。
炭水化物ダイエットのデメリット
炭水化物ダイエットには、メリットだけでなくデメリットもあります。炭水化物ダイエットが向いていない人もいるため、デメリットをしっかり理解したうえで実施するようにしましょう。
満腹感を得にくい
炭水化物を減らすと血糖値が上がりにくいため、満腹感を得にくくなります。脳にある満腹中枢は、血糖値が上昇したのを感知し満腹信号を送ります。ある程度血糖値が上がることは、満腹感を得るために必要です。
また、1gあたりのカロリーは炭水化物より脂質の方が高いため、脂質を減らした方が食事の量を保ったままカロリーを減らせます。
たんぱく質・脂質は増やさない
炭水化物を減らした分、たんぱく質や脂質を増やして満腹感を高めることはおすすめできません。特に脂質は炭水化物の2倍以上のカロリーがあるため、増やすとカロリーも高くなります。
また、たんぱく質の多い食事は腎臓に負担をかけ、脂質の多い食事は生活習慣病を引き起こす可能性があります。健康的にダイエットを行うためにも、たんぱく質と脂質は増やさないようにしましょう。
食物繊維をとりにくい
炭水化物を減らすため、穀物の量を制限することになります。穀物には食物繊維も含まれているため、炭水化物ダイエットでは食物繊維が不足しやすくなるのです。
食物繊維は腸内環境を整え、便通をよくする働きがあります。また、血糖値の上昇をゆるやかにしたり、コレステロールを吸着し排出したりと健康面での効果が多くあります。しかし、日本人は食物繊維の摂取量が不足しているので、炭水化物ダイエットを行う場合は、より意識して野菜や果物をしっかりとるようにしましょう。
リバウンドしやすい
炭水化物を減らすと、比較的早く体重が減り始めます。これは、炭水化物と結びついている水分が一緒に排出されたことによります。ダイエットで減らしたいのは体脂肪であり、水分ではありません。水分が減ったのを体脂肪が減ったと勘違いしてしまい、早くにダイエットをやめてしまうとリバウンドを引き起こします。
妊婦には向かない
妊婦が炭水化物を減らすダイエットを行うことで、妊娠糖尿病の発症率を上げるという研究結果が報告されています。炭水化物を控えることで食物繊維の摂取量が減ることや、脂質の摂取量が増えることが原因と考えられています。妊娠中の炭水化物ダイエットの実行はおすすめできません。
炭水化物ダイエットの方法
メリットとデメリットを把握したところで、炭水化物ダイエットの方法を解説します。
炭水化物ダイエットにおすすめの食べ物と適正量
炭水化物ダイエットで減らすべき食べ物は、ご飯やパン、麺などの主食です。炭水化物ダイエットにおすすめの食べ物と、1食あたりに食べてもいい量を紹介します。
ご飯(玄米、雑穀米)
摂取量の目安は100gで、茶碗半分に相当します。ご飯(精白米)100gには、炭水化物37.1gが含まれています。
不足しがちな食物繊維を豊富に含んでいるため、精白米より玄米や雑穀米がおすすめです。ただし玄米は消化が悪いため、体調に合わせて食べるようにしましょう。
出典:文部科学省「食品成分データベース 穀類/こめ/[水稲めし]/精白米/うるち米」
パン
摂取量の目安は食パン6枚切り1枚(約60g)で、炭水化物は27.8g含まれています。全粒粉パンやライ麦パンを選ぶと、食物繊維を多くとれるためおすすめです。
出典:文部科学省「食品成分データベース 穀類/こむぎ/[パン類]/角形食パン/食パン」
うどん・そば
ともに摂取量の目安は、1玉(200g)です。うどん1玉に炭水化物は43.2g、そばには52.0g含まれるため、1食の目安を少し超えてしまいます。しかし、外食の場合など麺の量を調整するのが難しい場合もあるでしょう。1日のほかの食事で調整するか、低糖質の麺を選ぶようにしましょう。
出典:文部科学省「食品成分データベース 穀類/こむぎ/[うどん・そうめん類]/うどん/ゆで」
出典:文部科学省「食品成分データベース 穀類/そば/そば/ゆで」
オートミール
炭水化物ダイエットでよく使用され、食物繊維も多く含まれるためおすすめです。1食の目安は30gで、炭水化物は20.7g含まれています。
出典:文部科学省「食品成分データベース 穀類/えんばく/オートミール」
血糖値を上げない食べ方
炭水化物を減らすだけでなく、血糖値をゆるやかに上げるための工夫はほかにもあります。炭水化物を含む食べ物だけでなく、それ以外の食べ物や食べ方も見直してみましょう。
野菜・きのこ・海藻・果物をとる
食物繊維をとることで血糖値の上昇はゆるやかになります。野菜やきのこ、海藻類、果物に多く含まれるため、積極的に摂取しましょう。重量あたりのカロリーが低いので、低カロリーで満足感を得るためにもしっかりとるのがおすすめです。
よく噛んで食べる
よく噛んで食べることでも血糖値の急上昇は抑えられます。また、よく噛むことで食後の消化吸収によるカロリー消費も上がることが知られています。ダイエットのためにもよく噛むことは大切です。ひと口30回を目安に、よく噛んで食べましょう。食べ物を大きめに切る、ひと口の量を少なくする、噛んでいる間は箸を置くなどの工夫が有効です。
適度に炭水化物をとり、健康的に減量しよう
炭水化物ダイエットは減量効果が期待できますが、デメリットもあるため向いていない人もいます。メリットとデメリットを把握して、ダイエット方法を選びましょう。また、炭水化物ダイエットといっても全く食べないわけではなく、1日70~130gの炭水化物摂取が必要です。適度に炭水化物をとり、健康的に減量しましょう。
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管理栄養士馬塲 耕造
1950年生まれ。国立循環器病研究センター 栄養管理室長、大阪刀根山医療センター 栄養管理室長、関西福祉科学大学 福祉栄養学科 客員教授。現在、優れた知見をもとに当社商品の監修と管理栄養士の指導を行い、お客様の栄養相談も行っている。