食事療法
2022.05.19
早食いすると太る?よく噛むことのメリットやゆっくり食べるコツを知って痩せやすい体に
早食いが太る理由
食事量が多くないのに太る」「食事制限も運動もしているのに痩せない」といった悩みがある人は、早食いが原因かもしれません。まずは、早食いで太るメカニズムを紹介します。
満腹中枢への刺激が弱いため、たくさん食べてしまう
以下の3つの行為に心当たりのある人は、早食い気質の可能性があります。
- あまり噛まずに飲み込む
- 他人よりも食事を終えるのが早い
- 飲み物で食べ物を流し込む
これらは全て満腹中枢への刺激を弱くする性質があり、満腹に感じるタイミングが普通の食事よりも遅れます。「お腹いっぱい」と感じるのは、胃の中が食べ物でいっぱいになっているからではありません。満腹感は脳の満腹中枢が「満腹だ」という信号を送って感じる仕組みになっています。食事スピードが早いと、脳が満腹の信号を発する前に大量の食べ物を胃に詰め込んでしまうため、早食いは太る一番の近道なのです。
同じ量を食べても噛まないほうが太る
太る一番の原因は、血糖値の急激な上昇とインスリン分泌量の増加です。糖質の多い食事を摂ると、血糖値が上がります。血糖値が上がりすぎると、それを抑えるために膵臓からインスリンという物質が分泌されます。このインスリンが肥満の原因で、早食いをするとたくさん分泌されるのです。
早食いの習慣が起こすデメリット
早食いは太るだけではなく、さまざまなデメリットを抱えることになります。ここからは、日常的な早食いが引き起こすデメリットについて解説します。
消化器に大きな負担がかかる
よく噛まずに飲み込むと、食べ物が消化されにくい形のまま胃に放り込まれてしまいます。唾液による消化と殺菌も不十分なので、細菌による食中毒のリスクも高まります。また、熱かったり冷たかったりする食べ物をそのまま飲み込むと、食道への刺激が増えて炎症を起こす可能性もあるのです。
糖尿病のリスクが上がる
早食いによる血糖値の急激な上昇が続くと、膵臓が疲弊して血糖値を下げるインスリンの分泌が少なくなります。その結果上がった血糖値を下げられなくなり、「2型糖尿病」と呼ばれる慢性的な高血糖状態になるのです。
食後に眠くなる
早食いは、通常の食事以上に副交感神経を刺激します。副交感神経が興奮状態になると体は就寝時と同じ回復モードに切り替わり、眠気が発生するのです。時間短縮のために早食いすると、逆に眠くなって仕事や勉強に集中できなくなるので注意しましょう。
ほほ周りがたるみやすくなる
早食いは噛む回数が少なくなるため、口周りの筋肉が衰えてほほ周りがたるんだり咀嚼力が低下したりします。ほほ周りがたるむと通常よりも老けて見えるので、よく噛んで食事することは美容の面でも大切です。
よく噛むことのメリット
噛まない食事にはたくさんのデメリットがありますが、よく噛む食事にはたくさんのメリットがあります。ここからは、よく噛んで食事をするメリットについて解説します。
肥満予防
よく噛むことは、痩せるうえでとても重要な要素です。咀嚼は脳の満腹中枢を刺激するので、少量の食事でも満腹感を得やすくなります。また、時間をかけて噛むと血糖値の急激な上昇を防げるため、糖尿病予防や食後の眠気防止の効果も得られるでしょう。
虫歯予防
唾液には、食べ物を消化しやすくしたり食べかすを洗い流して殺菌したりする効果があります。よく噛むと唾液がたくさん分泌されるため、虫歯予防にも有効といえるでしょう。
目が覚める
朝ごはんを食べると頭がスッキリするように、咀嚼は脳に刺激を与えて覚醒させてくれます。早食いでは咀嚼数が少なくなるため、ゆっくり食べるようにしましょう。
顔周りの筋肉が引き締まり小顔効果がある
咀嚼は口周りの筋肉を使うので、噛めば噛むほど顔の筋肉が引き締まり小顔効果が期待できます。また、アゴの発達を促して表情を豊かにしてくれるため、発音やろれつが上手く回るなどのメリットも得られるでしょう。
生活習慣病予防や老化防止にもおすすめ
噛むことで分泌される唾液には、さまざまな生活習慣病を予防する力があります。唾液に含まれるペルオキシダーという物質は食品の持つ発ガン性を抑えるので、ガン予防に効果的があるといわてれいます。
また、よく噛む行為は老化防止にもおすすめです。噛むことで脳や体全体が覚醒して、活発に動きだすスイッチが入ります。さらに、咀嚼運動は脳に流れる血液の量を増やして脳が活発になるので、物忘れ防止や子どもの成長にも効果的です。
よく噛んでゆっくり食べるコツ
一度早食いのクセがついてしまうと、なかなかやめられないのが難点です。早食いを改善したい人は、以下の点に気をつけて食事してみましょう。
一口で噛む回数は最低30回以上
食べ物を一度口の中に入れたら、最低でも30回は噛まないといけません。柔らかい食べ物であれば30回以下でも大丈夫ですが、歯応えのある食べ物はしっかり味わうようにしましょう。特にダイエット中の人は、よく噛んで食べないと太る原因になります。
時間をかけて食べる
時間をかけて食べることで自然と咀嚼数が増え、血糖値の上昇を抑えられます。急がずに、時間をかけてゆっくり食べることを心がけましょう。
頭の中でフレーズを唱えながら咀嚼する
気を抜くとすぐに飲み込んでしまう人は、頭の中でフレーズを唱えながら咀嚼するのがおすすめです。例えば「ありがとうございます」を1文字で1回咀嚼すれば、合計で10回咀嚼できます。これを3回繰り返して飲み込むようにしましょう。頭の中でフレーズを唱えることで意識が自然と食事に向くので、いつの間にか飲み込んでしまうのを防げます。
噛みごたえのある硬い料理や食品を選ぶ
柔らかい食品はどうしても噛みごたえがないため、すぐに飲み込んでしまいます。咀嚼するクセをつけるには、硬めの食品や料理をチョイスするのがおすすめです。スルメやせんべい、ステーキなど、よく噛まないと飲み込めない食品を食事に取り入れましょう。
飲み物で流し込まない
口の中の食べ物を、水などの飲み物で流し込むのは厳禁です。中途半端に咀嚼した食べ物が胃に運ばれると、消化不良や食道炎、食中毒など悪影響を及ぼします。流し込むクセがある人は、飲み物を近くに置かない、コップに入れる量を減らすなど工夫するのがおすすめです。
ダイエットするならよく噛むことが大切!
早食いのメリットは食事が早く終わるくらいで、ほかは糖尿病や太る原因になるなどのデメリットだらけです。一方でよく噛んで食事すると、虫歯や肥満予防などの健康的なメリットがたくさんあります。特にダイエットには絶大な効果があるので、よく噛んで食事することを心がけましょう。
管理栄養士馬塲 耕造
1950年生まれ。国立循環器病研究センター 栄養管理室長、大阪刀根山医療センター 栄養管理室長、関西福祉科学大学 福祉栄養学科 客員教授。現在、優れた知見をもとに当社商品の監修と管理栄養士の指導を行い、お客様の栄養相談も行っている。