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2022.02.07
血糖値が上がる原因と対策方法について!上昇を防ぐ食事を知っておこう。
血糖値が上がる原因
血糖値はなぜ上がるのでしょうか。ここではそもそも血糖値とは何なのか、いつ上がるのかなど、さまざまな疑問について解説していきます。
血糖値とは
血糖値とは、血液中のブドウ糖濃度のことです。
ブドウ糖とは
糖の最小単位である「単糖」の一種です。単糖にはブドウ糖の他「果糖」などがあります。食事から摂取する栄養素のうち「炭水化物(糖質)」は、消化されると最終的にブドウ糖に分解され、体内に吸収されます。
血糖値はいつ上がる?
血糖値は食事をした後に上がります。
食事から摂取された糖質は、消化されブドウ糖として体内に吸収されます。血液中にブドウ糖が増えることで血糖値が上がるのです。
血糖値が上がる理由
血糖値が上がる理由は、血液中のブドウ糖をエネルギー源として使えるようにするためです。
血糖値が上がることで「インスリン」というホルモンが分泌されます。インスリンは血糖(血液中のブドウ糖)を体の細胞にエネルギー源として取り込ませることで、 血糖値を下げるという役割を担っています。
健康な人の血糖値はどのくらい?
空腹時(通常10時間前後飲食をしていない状態)の血糖値の正常値は概ね100mg/dl(ミリグラムパーデシリットル)未満、食後2時間での血糖値の正常値は140mg/dl未満であるとされています。
健康な人であれば空腹時血糖と食後血糖はどちらも正常値ですが、どちらかが基準を外れてしまうという人もいます。その場合は、医療機関を受診して詳しい検査をするなど、何らかの対策を講じた方が良いでしょう。
出典:厚生労働省「特定健診・保健指導について」
出典:一般社団法人日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2019」
出典:厚生労働省「食後高血糖|e-ヘルスネット」
血糖値が高いとなぜ良くないのか
血糖値が一時的に上がることによって自覚症状が現れることはまずありません。しかし、健診などで血糖値が高いことを指摘されても、自覚症状がないからといって放置しておくと、いずれは「糖尿病」と診断されてしまう可能性も否定できません。
糖尿病とは
血糖値を下げるホルモン「インスリン」の作用不足により、血糖値が常時高くなってしまう病気のことです。糖尿病の治療では食事療法や運動療法、薬物療法などによって血糖値を正常に近い状態に維持することが重要となります。
合併症を引き起こす可能性も
血糖値が高い状態が長期間続くと、さまざまな合併症を引き起こします。
- 目や腎臓、神経に障害をもたらす
- 心臓病や脳血管疾患をもたらす
- 歯周病や感染症にかかりやすくなる
血糖値が高いと細い血管の血流が悪くなり、目や神経、腎臓など細い血管が集中している臓器が障害を受けます。また、太い血管では動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こすのです。さらに、傷の治りが悪かったり細菌感染を起こしやすくなったりします。
血糖値が高くても自覚症状がない場合が多いのですが、血管にダメージを与えたり感染症を引き起こしやすくなったりします。その結果、全身に悪影響をもたらすことにつながってしまうのです。
血糖値の上昇を抑える食事方法
血糖値が急激に上がるような食べ方を続けていると、徐々に血管へのダメージが進み、さまざまな病気の原因になります。ここでは、血糖値が急激に上がるのを防ぐ食べ方や、血糖が上がりにくい食べ物などについて紹介していきます。
血糖値の急上昇を抑える食べ方
高い血糖値が持続することは、血管にダメージを与え合併症のリスクを高めますが、血糖値が急激に上がる食べ方も同様のリスクがあります。血管の健康を維持するためにも、血糖値が急激に上がる食べ方は避けましょう。
食事に食物繊維を多く取り入れる
食事に食物繊維を多く含む野菜・きのこ・海藻類などを加えることで、血糖値の上がる速度を抑えられます。また、食物繊維の多いものから食べ始めることも有効です。
食物繊維とは
食物繊維は食物に含まれる栄養成分で、消化酵素によって消化・吸収されず大腸まで届き、整腸作用などさまざまな効果を発揮します。また、糖や脂質を吸着し体外に排出する作用もあります。
食べる順番などを意識しながら食事をすることで、血糖値が急激に上がることを防げるといえるでしょう。
適度に間食を取り入れる
食事と食事の間が空いてしまうときは、間食を取り入れるのも効果的です。食事の間隔が空いてしまうと、ドカ食いをしてしまうこともあるでしょう。空腹で一気にたくさん食べてしまうと、血糖値が急激に上がってしまいます。昼食と夕食の間など、極端に時間が空いてしまうようなときは、適度に間食を取り入れるのもおすすめです。
ただし、摂り過ぎには注意する必要があります。間食の摂り過ぎで1日の摂取カロリーが過剰になってしまうと、体重増加を招いたり血糖値に影響したりすることもあります。1日200kcalを目安にして次に摂る食事の量と調整し、血糖値をコントロールしましょう。
出典:厚生労働省「間食のエネルギー(カロリー)|e-ヘルスネット」
遅い時間帯の食事に注意する
深夜など遅い時間帯の食事にも注意が必要です。食べてすぐ寝ると血糖値を上げたままで寝てしまうことになります。日中であれば血液中のブドウ糖は活動することで利用されますが、就寝中は活動量も減少するためブドウ糖が余り、脂肪として蓄えられてしまいます。
たんぱく質や脂質を取り入れる
食事にたんぱく質や脂質を取り入れバランスよく食べることで、血糖値の上がる速度を抑えられます。これはたんぱく質や脂質が糖質と比べて消化・吸収がゆっくりであることに関係しています。
糖質はエネルギー源への変換が素早い栄養素です。素早くブドウ糖に分解されるため血糖値の上がる速度も早いと捉えられるでしょう。しかし、糖質をたんぱく質や脂質と同時に摂取することで、胃の中で混じり合いゆっくりと消化・吸収が行われるため、血糖値の上がる速度も緩やかになります。糖質、たんぱく質、脂質をほどよく組み合わせ、バランスよく食べることも血糖値の上昇に影響するのです。
ゆっくり食べる
食べ過ぎを防止して血糖値を上げないようにするという意味では、早食いを避けゆっくり食べることも有効です。
人間の脳には「満腹中枢」がありますが、満腹中枢に「満腹である」という信号が送られるのは、血糖値が上昇してからになります。食事中の糖質がブドウ糖として体内に吸収され、血糖値が上がるまでにはある程度の時間が必要です。そのため、早食いになってしまうと脳が満腹だと感じる前に食べ過ぎてしまいます。
食べ過ぎで血糖値が上がることが心配な人は、ゆっくり食べることを心掛けましょう。
血糖値が上がりにくい食べ物
特定の食物を摂った後の血糖値の上がりにくさを示す指標に「グリセミックインデックス(GI)」があります。GI値は、食物の摂取後2時間までの血糖値をもとに算出される値で、数値が低ければ食べた後の血糖値の上がる速度が、緩やかであることを指しています。一方、GI値が高ければ血糖値の上がる速度が急激であるということになります。
GI値の定義
グルコース(ブドウ糖)を基準(100)として、70以上が高GI食品、56~69の間の食物が中GI食品、55以下の食物が低GI食品と定義されています。
GI値については今後のさらなる研究が望まれていますが、血糖値を上げないためのひとつの方法としてGI値を参考にしてみるのも良いでしょう。糖質を多く含む穀類・果物類のGI値を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
穀類・果物類のGI値 | |
食品名 | GI値 |
白米 | 76 |
卵かけご飯(+醤油) | 72 |
玄米 | 62 |
白パン | 75 |
ベーグル | 69 |
全粒粉パン | 51~62 |
スパゲティ(ゆで) | 46 |
りんご | 28~44 |
バナナ | 51 |
キウイフルーツ | 58 |
いちご | 36 |
出典:THE UNIVERSITY OF SYDNEY「Glycemic Index Research and GI News」
糖質制限食を食べて血糖値上昇を抑えよう
糖質を抑える、管理するためには糖質制限食が効果的です。
この記事を参考に、血糖値を正常に保つためのポイントを実践して、必要以上に血糖値が上がることがないように対策を取ってみてはいかがでしょうか。
管理栄養士馬塲 耕造
1950年生まれ。国立循環器病研究センター 栄養管理室長、大阪刀根山医療センター 栄養管理室長、関西福祉科学大学 福祉栄養学科 客員教授。現在、優れた知見をもとに当社商品の監修と管理栄養士の指導を行い、お客様の栄養相談も行っている。