腎臓病にほうじ茶が効果的って本当?含まれている成分や関係性を正しく理解しよう! - 健康管理食ジョイント

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2022.03.30

腎臓病にほうじ茶が効果的って本当?含まれている成分や関係性を正しく理解しよう!

腎臓病にほうじ茶が効果的って本当?含まれている成分や関係性を正しく理解しよう!
馬塲 耕造
監修

馬塲 耕造

ほうじ茶は近年では抹茶とともにスイーツにも用いられ、お茶の種類の中でも人気があります。そんなほうじ茶は、腎臓病に効果はあるのでしょうか。この記事では、ほうじ茶の持つ成分や腎臓病との関係について解説します。
もくじ

ほうじ茶ってどんなお茶?

ほうじ茶とは、煎茶や番茶を強くいためたお茶のことです。ほうじ茶の「ほうじ」は、茶葉をいためる「ほうじる」という言葉からきています。煮だすと茶色になるので麦茶の仲間に見えますが、分類としては緑茶の一種です。ただ、一般的な緑色の緑茶とは成分がかなり異なります。

 

ほうじ茶の栄養

ほうじ茶は、ほかのお茶と違った栄養を持っています。以下は、ほうじ茶に含まれる栄養とその量です。

成分名 量(100gあたり)
ナトリウム 1mg
カリウム 24mg
カルシウム 2mg
リン 1mg
マンガン 0.26mg
葉酸 13μg

出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)

どんな効能があるの?

ほうじ茶は玉露などのほかの日本茶に比べて、覚醒作用のあるカフェインや苦味成分であるタンニンが少ないのが特徴です。そのほかにもほうじ茶に多く含まれる栄養は、さまざまな効能をもたらしてくれます。

テアニンによるリラックス効果

ほうじ茶には、テアニンというアミノ酸の一種がたくさん含まれています。ほうじ茶の持つうまみや甘味の素であり、お茶全般に多く含まれている成分です。また、リラックス効果や集中力をアップさせる効果があります。温かいほうじ茶を飲むとほっとするのは、テアニンが作用しているためです。夜寝る前や朝起きたとき、疲れているときにほうじ茶を飲むとストレスを緩和してくれます。

予防効果もあり

カテキンには抗酸化作用があり、生活習慣病の予防やダイエットによいといわれています。カテキンとはお茶全般に含まれているポリフェノール物質で、お茶の持つ渋みや苦味の素でもあります。カテキンの抗酸化作用は活性酸素による皮膚や粘膜の劣化を防ぐので、感染症や風邪にも効果があるでしょう。

ほうじ茶が腎臓病にいい理由

腎臓病には、ほうじ茶がよいといわれています。この章では、その理由を紹介します。

飲み物の中でもリンとカリウムが少ない

腎臓病にかかると、症状によってはたんぱく質やリン、カリウムなどの栄養を制限しなくてはなりません。実は、リンやカリウムは緑茶に多く含まれており、たくさん飲むと腎臓病によくないのです。しかし、ほうじ茶はほかのお茶よりも圧倒的にリンとカリウムの含有量が少ないため、腎臓にかかる負担が少なくて済みます。

腎臓病にかかって栄養を制限する食事のことを、「食事療法」と呼びます。食事療法によくある落とし穴が、食事だけに注目して飲み物の成分を見逃してしまう点です。特に抹茶や玉露などの日本茶にはリンやカリウムを含む種類が多いので、注意するようにしましょう。

ほうじ茶が腎臓病を治すわけではない

ほうじ茶は腎臓にかかる負担が少ないので、腎臓病の人でも安心して飲めます。ただ、ほうじ茶そのものに腎臓をよくする効果はありません。あくまで、ほうじ茶は腎臓への負担が少ない飲み物なだけということを覚えておきましょう。

腎臓病の食事療法とは

特定の栄養の摂取量に制限がかかる食事を「制限食」といい、制限食を用いた治療を「食事療法」と呼びます。主に腎臓の治療に対して使われることが多く、症状の進行具合によって制限される成分が違います。腎臓病は自覚症状が少ない病気なので、気づいたら手遅れだったというケースが多いです。

ただ、腎臓病でも軽度のものから重度のものまでさまざまです。軽度のものなら食事療法が必要ですが、重度だと人工透析が必要な場合もあります。

摂取量を控えるべき成分

摂った栄養が腎臓に与える負担を減らすため、腎臓病の食事療法では制限するべき成分がいくつかあります。そもそも腎臓は尿を作る臓器で、体内で余った栄養分を尿として排出する役割があります。食事療法では、腎臓へ運ばれる余った栄養をできるだけ少なくしなければなりません。

たんぱく質

腎臓病の人が食事療法で制限すべき、代表的な栄養素です。食事療法では、たんぱく質は最優先で摂取量を制限しなければなりません。たんぱく質は体内で代謝されると、残った老廃物が腎臓へと運ばれます。この老廃物が多くなると、腎臓への負担が大きくなるのです。

実際の食事で食事療法を実践すると、意外とたんぱく質の制限が難しいことがわかります。たんぱく質といえば肉や魚、卵が代表的ですが、実は米やパンなどの主食や調味料にも多いです。食事療法を実践するときは、たんぱく質量が調整された「たんぱく質調整食品」を使うのがおすすめです。

腎臓病の人が摂るべき1日のたんぱく質の量は、体重1kgに対して0.6〜0.8gが目安とされています。ただ、症状の進行具合によって必要な摂取量は変わるので、自己判断ではなく医師に相談するようにしましょう。

カリウム

緑茶や野菜、たんぱく質の多い食品にたくさん含まれているミネラルで、通常は余計な塩分の排出を助ける働きを持っています。カリウムは摂取量が多くなると腎臓への負担を大きくしてしまうので、腎臓病の人は摂取量を控えなければなりません。カリウムを摂りすぎると、血中のカリウム濃度が異常に上がる「高カリウム血症」になってしまいます。この症状は、腎臓の機能が低下することによっても引き起こされます。

リン

カリウムと同時に摂取量を控えるべき栄養です。リンは加工食品・肉・乳製品など、たんぱく質を含む食品に多く存在しています。たんぱく質を制限すれば同時にリンを制限することにもなるので、食事療法ではあまり意識せずに制限ができる栄養でもあります。

塩分

過剰な塩分は、腎臓に負担をかけます。1日に必要な塩分量は一般の人で7g程度といわれていますが、腎臓病の人の場合は6g程度に抑えなければなりません。

塩分は、加工食品全般に多く含まれる栄養です。肉類ならハムやソーセージ、魚介類ならかまぼこや干物が代表的です。また、調味料に含まれる塩分にも注意しなければなりません。塩分を制限するときは減塩の調味料を選び、食材はできるだけ加工されていない生のものを選ぶようにしましょう。

腎臓病の人が食事制限するときの注意点

腎臓病は、症状が悪くなると人工透析が必要になることもあります。症状が軽い内に、食事療法などでこれ以上悪くならないようにしましょう。この章では、食事制限するときに注意すべき点を紹介します。

制限する成分に気をつけながらカロリー数は必要量摂ろう

食事療法では、制限する栄養があってもカロリーはしっかりと必要量摂らなければなりません。たんぱく質など特定の成分だけ制限しながらカロリーを摂らないといけないので、通常の食事だと献立の組み方が難しくなります。そんなときは、治療用特殊食品をうまく活用しましょう。減塩調味料やたんぱく質調整食品などを活用すれば、献立作りもかなり簡単になります。

食品だけでなく飲み物の含有量にも気を配ろう

ついつい食事の栄養にばかり目がいきがちですが、飲み物にも注意しなければなりません。腎臓病の人が摂取を制限するべき栄養素は、緑茶やスポーツドリンク、ジュース類によく含まれています。飲むのであればリンやカリウムが少ないほうじ茶、もしくは水がおすすめです。

ほうじ茶は腎臓病の人におすすめできる!

腎臓病にかかると、たんぱく質などの栄養を制限しなければいけません。日本人がよく飲む緑茶には、腎臓に負担をかけるカリウムやリンが多く含まれています。しかし、ほうじ茶はほかのお茶に比べてカリウムやリンの含有量が少ないので、腎臓病の人でも安心して飲めるでしょう。ほうじ茶にはリラックス効果もあるので、普段飲むお茶としてもおすすめです。

ジョイントでは腎臓病向けのお食事もご用意しております。ほうじ茶と一緒に、健康管理食を食べて健康を促進しよう。

馬塲 耕造
監修株式会社ジョイント
監修馬塲 耕造

管理栄養士馬塲 耕造

1950年生まれ。国立循環器病研究センター 栄養管理室長、大阪刀根山医療センター 栄養管理室長、関西福祉科学大学 福祉栄養学科 客員教授。現在、優れた知見をもとに当社商品の監修と管理栄養士の指導を行い、お客様の栄養相談も行っている。