健康情報
2022.03.30
腎臓病でも食べてもいいお菓子とは?おやつの選び方と注意したい成分について
腎臓病の間食で注意するポイント
腎臓病は、腎臓に負荷をかけないよう制限すべき栄養素があります。お菓子を選ぶ際にも、これらの栄養素をとりすぎないよう注意が必要です。しかし、食事制限を行うと十分なエネルギー量がとれなくなり、痩せてしまったり空腹に悩まされたりすることもあります。
ここでは、腎臓病で摂取を避けたい栄養素と、お菓子からとりたいエネルギー量について紹介します。
腎臓病で摂取を制限する栄養素
腎臓病では塩分やたんぱく質、カリウム、リンの摂取制限が必要です。
制限の程度は病気の進行度や性別、年齢、生活状況によって異なります。主治医と相談のうえ、指示に従いましょう。
塩分
塩分をとりすぎると、体から排泄させるために腎臓に負担がかかります。また、体に水分がたまり血圧が上がります。高血圧によって腎機能の低下が早まるため、塩分の摂取を制限する必要があります。腎臓病での食塩摂取量の目安は、1日3g以上6g未満とされています。
出典:日本腎臓学会「慢性腎臓病に対する食事摂取基準2014年版」
たんぱく質
たんぱく質が体内で代謝されると、尿素などの毒素が産生されます。腎臓はこの毒素を尿とともに排泄する働きがあります。たんぱく質の摂取量を制限し毒素の産生量を減らすことで、腎臓への負荷を減らし腎臓病の進行を防ぐのです。
摂取量の目安は腎臓病の進行度によって異なります。初期の場合はとりすぎに気をつける程度ですが、進行するほど厳しいたんぱく質摂取制限が必要です。
カリウム
腎臓病が進行した場合に制限が必要になります。腎機能が低下しカリウムを十分に排泄できなくなると血中のカリウム濃度が上がり、不整脈や心停止のリスクが高くなるのです。
制限の目安は服用している薬や症状によって変わる場合があります。主治医と相談して摂取量を決めましょう。
リン
腎機能が低下すると、リンを尿と共に体外に排泄する力が弱くなります。すると、血中のリン濃度が高くなり、骨がもろくなる恐れがあります。また、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高くなるため、リンのとりすぎに注意が必要です。
リンはたんぱく質が多い食品に多く含まれるため、たんぱく質を制限することでリンも制限できます。
エネルギーを補給する
腎臓病は、食事制限によってエネルギーが不足しがちになります。エネルギーが不足すると筋肉のたんぱく質を分解してエネルギーを確保しようとするため、代謝によって毒素が産生され、腎臓に負荷がかかるのです。
腎臓病を悪化させないためには、必要なエネルギーをしっかりとる必要があります。塩分やたんぱく質、カリウムが含まれていないお菓子を選び、エネルギーを補いましょう。
でんぷん・砂糖・水あめからエネルギーをとる
炭水化物はたんぱく質と異なり、代謝されても尿素などの毒素が産生されずに二酸化炭素と水に変わります。腎臓に負荷をかけないエネルギー源として、炭水化物の多いお菓子を選びましょう。腎臓病の人が食べてもいいおやつとして、でんぷんや砂糖、水あめを主材料としたお菓子を選ぶのがおすすめです。
お菓子の摂取エネルギーの目安
お菓子からとる1日のエネルギー量の目安は、100~200kcalです。血糖コントロールが必要な場合は、お菓子は100kcalまでに抑えてください。
お菓子はあくまでもエネルギー摂取を補助するものと捉えましょう。お菓子ばかりではなく、食事から栄養をとる工夫が必要です。
市販のおすすめおやつ
腎臓病の人が食べてもいいお菓子は塩分やたんぱく質、カリウムを含まない、もしくは含まれていても少量のものです。ここでは、腎臓病の人が食べてもいい市販のおすすめのお菓子を紹介します。
くずもち・わらびもち
くずもちやわらびもちの原材料は、くずやさつまいも、れんこんなどのでんぷんです。くずもち100gあたりのカロリーが93kcalと低いのに対し、たんぱく質は0.1gと非常に少ないのが特徴です。食塩やカリウムもほとんど含まないため、腎臓病の人が安心して食べられるお菓子です。わらびもちのきな粉にはカリウムが多いため、かけすぎに注意しましょう。
出典:文部科学省「食品成分データベース くずもち」
ぎゅうひ
もち米の粉と砂糖でできています。米にはたんぱく質が含まれるため、くずもちやわらびもちよりはたんぱく質が多く、100gあたり1.3g含んでいます。しかし、洋菓子や大福に比べると少なく、食塩やカリウムもほとんど含まないため、腎臓病の人が食べてもいいお菓子です。
出典:文部科学省「食品成分データベース ぎゅうひ」
寒天ゼリー
ゼリーを固める材料には、寒天とゼラチンの2種類があります。寒天はてんぐさなどの海藻類から作られたもので、たんぱく質をほとんど含みません。しかし、ゼラチンは豚のコラーゲンから取られたたんぱく質であるため、腎臓病の人には寒天を使用したゼリーがおすすめです。ただし、牛乳寒天は牛乳のたんぱく質を含むため注意しましょう。
水ようかん
こしあんに砂糖と水を加え、寒天で固めて作られます。こしあんにはたんぱく質とカリウムが含まれていますが、水ようかんはこしあんを薄めているため、量はそこまで多くありません。水ようかん100gにたんぱく質は2.6g、カリウムは17mg含まれますが、ほかのお菓子に比べると少ないので安心して食べられるといえます。
出典:文部科学省「食品成分データベース 水ようかん」
飴
砂糖を溶かして固めたものなので、たんぱく質も塩分も含みません。カリウムも2mgとごく微量であるため、腎臓病への影響を気にせず食べてもいいお菓子です。
出典:文部科学省「食品成分データベース あめ玉」
せんべい
米にもたんぱく質が含まれていますが、小麦や卵ほどではありません。エネルギーをとりたい場合は揚げせんべいがおすすめです。ただし、しょうゆや塩で味つけされているため塩分が多くなっています。食事からとる塩分と合わせて、制限を超えないように注意しましょう。
とりすぎを避けたい市販のお菓子
市販のお菓子にはたんぱく質や塩分、カリウムが多く含まれるものがあります。食べる場合は、1日の制限を超えないように注意が必要です。食品のパッケージを確認し、たんぱく質や食塩相当量を計算してから食べましょう。
スナック菓子
塩分が多く、カリウムも多いのが特徴です。ポテトチップス1袋(60g)で塩分は0.6g、カリウムは720mg含まれます。とりすぎを防ぐためにできるだけ避けましょう。どうしても食べたい場合は、栄養表示を見ながら量を決めて食べましょう。
出典:文部科学省「食品成分データベース ポテトチップス」
洋菓子
洋菓子の多くは小麦粉や卵、牛乳が使われているため、たんぱく質が多く含まれます。ショートケーキやシュークリーム、プリンなどを食べる場合は量に注意しましょう。
大福、どら焼きなどの和菓子
あずきにカリウムが多く含まれるため、あんこを使った和菓子にも注意が必要です。
治療用特殊食品を活用しよう
腎臓病の人が食べてもいいように、低たんぱく質や減塩に調整されたお菓子が売られています。一般のお菓子に比べると価格は割高ですが、クッキーやカステラ、せんべいなど、さまざまなお菓子が販売されています。
賢く選んでおやつを楽しもう!
腎臓病では制限すべき栄養素もありますが、エネルギーを十分とることも大切です。間食にお菓子を利用してエネルギー量を確保しましょう。食塩やたんぱく質、カリウムが少ないものを選べば、腎臓病の人でも安心して市販のお菓子を食べられます。腎臓病用の治療用特殊食品を利用すれば、さらに食べてもいいお菓子の幅が広がります。上手に選んでおやつを取り入れましょう。
ジョイントにお任せあれ!
上記のことから、おやつの選び方ひとつで身体に変化が生じます。
今このコラムを読んで頂いているあなたが、食生活について迷いや不安がある場合、
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管理栄養士馬塲 耕造
1950年生まれ。国立循環器病研究センター 栄養管理室長、大阪刀根山医療センター 栄養管理室長、関西福祉科学大学 福祉栄養学科 客員教授。現在、優れた知見をもとに当社商品の監修と管理栄養士の指導を行い、お客様の栄養相談も行っている。