食事療法
2022.03.30
脂肪肝に良い食べ物とは。すぐに始められる5つの予防や改善方法で早めの対策を
脂肪肝の原因
脂肪肝とは、肝臓に中性脂肪がたまった状態のことです。症状はほとんどありませんが、生活習慣病やメタボリックシンドロームに合併しやすく、放置すると肝機能障害や肝硬変に発展したり動脈硬化の原因になったりしてしまいます。ここでは、脂肪肝を引き起こす原因について解説します。
アルコールの過剰摂取
アルコールの過剰摂取は、脂肪肝のリスクを高めます。アルコールによる脂肪肝は、飲酒を中止すると短期間で改善するのが特徴です。しかし、脂肪肝があるまま大量の飲酒を続けているとアルコール性肝炎を引き起こし、さらには肝硬変にまで進展することがあります。
糖質・脂質の過剰摂取
脂肪肝の原因がアルコールではなく、過食によって起こるものは「NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)」と呼ばれ、近年注目されています。
糖質や脂質は、人間が活動するためのエネルギー(カロリー)をつくることに使われます。しかし、食べ過ぎによって使われずに余ってしまった糖質や脂質は、中性脂肪として体内に蓄えられてしまうのです。そのため、甘い物や油分の多い食べ物を摂り過ぎてしまうと、脂肪肝を引き起こす直接の原因になるほか、脂肪肝と強い関連性を持つ肥満のリスクを高めてしまいます。
肥満
エネルギー(カロリー)の摂取過剰や運動不足などにより、内臓脂肪や皮下脂肪がたまってしまう状態が肥満、内臓脂肪のうち肝臓に脂肪がたまったものが脂肪肝です。つまり、肥満も脂肪肝も原因は同じであると考えられます。
肥満でなくても脂肪肝になる?
日本人において、軽度脂肪肝のある人は肥満体型ではない、つまり標準的な体型であるといわれています。このことから、肥満体型ではない人も脂肪肝になると考えてよいでしょう。
そのほかの原因
脂肪肝の原因のほとんどがアルコールの多飲や過食ですが、そのほかの要因として糖尿病や薬剤性の影響、栄養障害や遺伝的要素などがあります。また、内臓肥満に高血圧や脂質異常、高血糖などが組み合わさり、心臓病や脳血管疾患のリスクが高まるメタボリックシンドロームも脂肪肝の進展に関わる病態です。
脂肪肝の予防・改善に良い食べ物
脂肪肝の予防や改善には、どのような食事管理方法が適しているのでしょうか。ここでは、脂肪肝に良い食べ物について紹介します。
良質なたんぱく質を含む食べ物
脂肪肝の予防や改善には、肝臓の保護に役立つ良質なたんぱく質を含む食べ物を摂取することが重要です。たんぱく質はいろいろな食べ物に含まれていますが、質の良いたんぱく質を含む食べ物は以下のような食品です。
- 肉類
- 魚類
- 卵類
- 大豆・大豆製品(豆腐・納豆など)
- 乳製品(牛乳・ヨーグルト)
たんぱく質が不足したり質が低下したりすると、脂肪肝を悪化させる可能性があります。また、摂り過ぎも良くありません。脂質の摂り過ぎを防ぐために、肉類は脂肪の少ない赤身を選び、鶏肉は皮を除くようにするとよいでしょう。
食物繊維を多く含む食べ物
食物繊維を多く含む野菜類やきのこ類、海藻類などは、低カロリーなうえに満腹感も得られやすく、食べ過ぎを防止するためには欠かせない食材です。これらの食べ物には、食物繊維のなかでも水に溶ける「水溶性食物繊維」が含まれています。水溶性食物繊維には、体内の中性脂肪を吸着して体の外へ排出する働きがあるため、1食あたり1~2品食べるようにするのがおすすめです。
脂肪肝を予防・改善する5つの方法を紹介!
脂肪肝に適した食事方法に加え、生活習慣のポイントなどについて解説していきましょう。
適切なエネルギー摂取目安量を知ろう
体を動かす源であるエネルギー(カロリー)は、糖質や脂質などの栄養素からつくられます。つまり、糖質や脂質を摂り過ぎてしまうと、カロリーも摂り過ぎになってしまいます。しかも、摂り過ぎた分は中性脂肪として体内に蓄積されてしまい、脂肪肝の原因となるのです。
そこで目安となるのが、以下に示す1日あたりの推定エネルギー必要量です。エネルギー必要量は、日常生活での活動量や体格などによっても異なります。あくまでも目安として参考にしてみてください。
1日あたりの推定エネルギー必要量(kcal) | ||
年齢/性別 | 男性 | 女性 |
18~29(歳) | 2,300~3,050 | 1,700~2,300 |
30~49(歳) | 2,300~3,050 | 1,750~2,350 |
50~64(歳) | 2,200~2,950 | 1,650~2,250 |
65~74(歳) | 2,050~2,750 | 1,550~2,100 |
75以上(歳) | 1,800~2,100 | 1,400~1,650 |
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
適正体重に近づけよう
肥満と脂肪肝には正の相関があるとはいえず、痩せている人でも脂肪肝を発症します。とはいえ、肥満に脂肪肝が合併することも多いのが現状です。そのため、自身の適正体重を知り、そこに近づけることも脂肪肝を解消するポイントとなります。
適正体重の目安には「BMI(Body Mass Index:ボディマスインデックス)」が用いられます。BMIは体格を表す指標のことで、体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で求められる数値です。厚生労働省では、以下のようなBMIの目標値を掲げています。
年齢(歳) | 目標とするBMI(kg/㎡) |
18~49 | 18.5~24.9 |
50~64 | 20.0~24.9 |
65~74 | 21.5~24.9 |
75以上 | 21.5~24.9 |
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
脂肪肝の予防や改善のために、上記で示すBMIの数値を目標にして体重をコントロールしていきましょう。
栄養バランスを整えよう
脂肪肝に良いとされる良質のたんぱく質や食物繊維を摂ることを意識すると、自然と栄養バランスの整った食事になります。栄養バランスの整った食事とは、ご飯やパン、麺類などの「主食」、肉や魚などたんぱく質の摂れる「主菜」、野菜類などビタミンやミネラル、食物繊維の摂れる「副菜」のそろった食事のことです。
できるだけ主食、主菜、副菜の「三つの皿」がそろうように食事を組み立てましょう。また、食べ過ぎないために腹八分目を心掛けることも大切なポイントです。
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アルコールの過剰摂取に注意しよう
アルコールが原因で脂肪肝を起こしている場合は、禁酒することで改善が見込まれます。しかし、改善したからといってすぐに飲酒を再開するのではなく、バランスの良い食事で肝臓をいたわることが重要です。
飲酒をする際は、以下の節度ある適度な飲酒量を目安にするとよいでしょう。厚生労働省では、この量を「1日平均純アルコールで20g程度の飲酒」としています。
お酒の種類 | 目安量 |
ビール | 500ml(中瓶1本) |
日本酒 | 180ml(1合) |
ウイスキー・ブランデー | 60ml(ダブル) |
焼酎(35度) | 180ml(1合) |
ワイン | 120ml(1杯) |
一般的に、女性は男性と比較するとアルコールの分解速度が遅く、肝臓などに障害を来しやすいため、男性の1/2~2/3程度の飲酒量が適当であるといわれています。飲酒をする際には、このことも踏まえつつ、上記の量を目安にして飲み過ぎないように注意しましょう。
出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「飲酒のガイドライン」
出典:厚生労働省「健康日本21(アルコール)」
適度に体を動かそう
適度な運動は、脂肪肝の改善に効果が期待できるといわれています。ウォーキングなどの有酸素運動や筋トレのようなレジスタンス運動を行うことで、肝臓にたまった脂肪を落としやすくなります。無理のない運動から始め、習慣にすると良いでしょう。
脂肪肝に良い食べ物を知り対策を取ろう
アルコールや糖質・脂質の過剰摂取が原因となり、肝臓に脂肪がたまった状態が脂肪肝です。脂肪肝を予防・改善するには、良質のたんぱく質や食物繊維を多く含む食べ物を摂取するほか、バランスの良い食事が重要です。この記事を参考に、食事のほか、アルコールの飲み過ぎや適度な運動も含め、脂肪肝対策を行ってみてはいかがでしょうか。
ジョイントの食事は良質のたんぱく質や食物繊維
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管理栄養士馬塲 耕造
1950年生まれ。国立循環器病研究センター 栄養管理室長、大阪刀根山医療センター 栄養管理室長、関西福祉科学大学 福祉栄養学科 客員教授。現在、優れた知見をもとに当社商品の監修と管理栄養士の指導を行い、お客様の栄養相談も行っている。