食事療法
2022.03.02
糖質制限は高血圧を予防できる?病気のリスクを減らすために食事を改善しよう!
そもそも高血圧とは?
高血圧とは、血管壁にかかる圧力が高い状態のことです。不摂生な食事や喫煙など、さまざまな要因によって管内を流れている血液の通り道が狭くなり、血管壁を押し出す力が強まります。高血圧になると、生死に関わる重篤な疾患にかかるリスクが高まるので、ただちに改善が必要です。高血圧の基準は、血圧測定において「最大血圧140mmHg以上」「最小血圧が90mmHg以上」の場合となります。
高血圧は血管疾患になるリスクが高い
高血圧を放置していると、動脈硬化によって血管壁が損傷する恐れがあります。それによって血管が破れたり詰まったりして、脳卒中や心筋梗塞などの血管疾患のリスクが高まるのです。動脈硬化により損傷した血管は元に戻らないため、あらかじめ高血圧を予防することが大切といえます。
糖質制限は高血圧を予防・改善できる
糖質制限はダイエット目的で始める人が多いでしょう。体重や体脂肪の減少とともに、血圧も同時に下がることは珍しくありません。糖質は体にとって必要な栄養素ですが、過剰摂取をすれば健康に悪影響を与える側面もあります。糖質制限をすることで高血圧の状態から血圧が低下するため、血圧が上がり始めている人にも効果的です。
血糖値の上昇を抑える
血糖値の上昇は高血圧を招きます。体は体液の濃度を一定に保つ働きがあり、常に細胞内外で水分量を調整しているのです。したがって、血液中の糖濃度が上がると、それを薄めるために血管中に水分を取り込むので血管壁に圧力がかかります。結果として、血管がパンパンになり血圧が上昇してしまうのです。糖質制限中は食事から糖質摂取を抑えるので、血糖値の上昇が起こりにくく、血管中の水分量も安定するため高血圧のリスクが減るのです。
交感神経の過剰な反応を抑える
交感神経が優位になると、血管が収縮して血圧が上昇します。交感神経は緊張状態のときに優位に働きますが、糖質を摂取することによっても反応し、高血圧の引き金になるのです。その理由は、アドレナリンやコルチゾールといったホルモンが関係しています。
糖質摂取によって血糖値は上昇しますが、インスリンというホルモンによってやがて下降します。しかしそのまま血糖値が下がり続けると、低血糖に陥ります。それを防ぐため、抗インスリンホルモンであるアドレナリンやコルチゾールが分泌され、低血糖を予防します。この2つのホルモンは交感神経を刺激するので、間接的に血圧を上げる要因となるのです。糖質制限をすれば、交感神経の過剰な反応を抑えることができるため、高血圧を予防できます。
中性脂肪が減少する
中性脂肪がたまると、血管内にコレステロールなどの物質が残留しやすくなります。血管内の悪玉物質であるコレステロールなどを除去し、血液の通り道を確保する必要があります。糖質制限は中性脂肪の減少に効果的な食事療法なので、結果的に血圧の減少につながるのです。
糖質制限の食事方法とは?
糖質制限とは炭水化物の摂取を控えて、たんぱく質と脂質から栄養の摂取をする食事方法です。炭水化物(糖質)はエネルギーとして利用される重要な栄養素ですが、糖質制限をするとエネルギーが不足してしまうため、体は防衛反応により体脂肪からエネルギーを作りだします。これが糖質制限のメカニズムであり、最大のメリットです。次に、糖質制限ではどのような食品を控えて、何を食べるのかを具体的に詳しく解説します。
炭水化物が含まれる食品を控える
炭水化物とは、糖質と食物繊維の総称です。そのため、必ずしも「炭水化物量=糖質量」とは限りません。食物繊維は消化吸収されない栄養素なので、ほぼノンカロリーといえます。糖質制限では「糖質」に着目する必要があるので、成分表の内訳がはっきりとしているのなら、炭水化物の中の糖質量を確認するようにしましょう。炭水化物が含まれる食品は、以下の表を参考にしてください。
炭水化物が含まれる食品
穀物 | 野菜・根菜 | 果物 | 飲み物 | お菓子 |
お米・パン・麺 | じゃがいも・さつまいも・かぼちゃ | バナナ・りんご・いちご | 清涼飲料水・野菜ジュース・ビール | アイス・スナック菓子・ケーキ |
糖質制限では、上記のような食品を控える必要があります。炭水化物の代わりに脂質は摂取できるので、食事の幅はそこまで狭くありません。また、糖質ゼロ食品やカロリーゼロ食品であれば、糖質制限中に食べても問題ないです。
たんぱく質と脂質をメインに摂取する
糖質制限は、たんぱく質と脂質をメインに摂取します。たんぱく質が含まれる食品は、肉や魚、卵などで、脂質が含まれる食品は、動物や魚の脂やオリーブオイル、ごま油などです。糖質制限では特に、サバやサンマなどの青魚がおすすめです。青魚はDHAやEPAと呼ばれる良質な脂質を多く含んでおり、血中の中性脂肪や悪玉コレステロール値を低下させる効果が期待できます。
一方で、鶏胸肉やささみ肉のような低脂質のお肉だと必要な脂質量を賄うことが難しいので、MCTオイルやオリーブオイルのような植物油を別途活用しましょう。
糖質制限にはさまざまな種類がある
糖質制限の方法は主に、「ハードな糖質制限」と「ゆるい糖質制限」に分けられます。これらは1日の糖質摂取量が異なり、それによって食事内容も異なるのです。ハードな糖質制限では1日の糖質量を40〜60gに抑え、ゆるい糖質制限では、110〜130gに抑えます。おにぎり1個で約40gの糖質が含まれているので、ハードな糖質制限では1個ほど、ゆるい糖質制限では2個ほど食べられる計算です。
糖質量が低いほど体脂肪燃焼の効率はアップするといわれていますが、いきなり糖質を抑えることに抵抗がある人は、ゆるい糖質制限から始めてみましょう。
糖尿病患者はハードな糖質制限に注意
糖尿病患者、特にインスリン注射をしている人や服薬している人は、糖質制限によって低血糖になってしまう可能性があるのです。インスリンは血中の糖を体の各細胞に運び、血糖値を低下させる役割があります。その状態で糖質摂取がシャットアウトされると、血糖が極度に不足するのです。低血糖になると、めまいや倦怠感などの症状や、重症化するとけいれんや昏睡状態にもなります。糖尿病かつインスリン注射を打っている人、服薬している人が糖質制限を始めるのであれば、かかりつけの医者に相談してみましょう。
糖質制限は高血圧の予防と改善につながる
高血圧は生死に関わる病気の前兆です。普通に生活していても目立った症状は出ないですが、ある日突然脳卒中や心筋梗塞として襲いかかってくるのが高血圧の恐いところです。しかしほとんどの場合、食生活を正せば高血圧は改善されます。糖質制限は、高血圧の原因である内臓脂肪を落とすことに効果的なので、ぜひ実践してみましょう。
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管理栄養士馬塲 耕造
1950年生まれ。国立循環器病研究センター 栄養管理室長、大阪刀根山医療センター 栄養管理室長、関西福祉科学大学 福祉栄養学科 客員教授。現在、優れた知見をもとに当社商品の監修と管理栄養士の指導を行い、お客様の栄養相談も行っている。