食事療法
2022.03.03
栄養バランス抜群な彩り豊かなお弁当を楽しもう!調理の工夫の仕方を教えます
栄養バランスのよい食事とは?
健康な体づくりのためには、栄養バランスのよい食事が欠かせません。まずは、食事の栄養バランスを整える方法などについて解説します。
栄養バランスを整える方法
栄養バランスの整った食事にするには、「主食」「主菜」「副菜」の3つの皿を組み合わせることがポイントです。主食・主菜・副菜の揃った食事にすることで、簡単に栄養バランスを整えられます。
主食 | 炭水化物 | ご飯・パン・麺類などの穀類 |
主菜 | たんぱく質 | 肉類・魚類・卵・大豆製品のおかず |
副菜 | ビタミン・ミネラル類
食物繊維 |
野菜類・きのこ類・海藻類のおかず |
栄養バランスを整えるメリット
人間の体にとって不可欠な栄養素をまんべんなく摂取できるのが、栄養バランスを整えるメリットです。栄養バランスの偏った食事では、特定の栄養素が不足したり過剰に摂取してしまったりすることが考えられます。その結果、体に不調を来す可能性も出てきます。
このようなことのないよう、栄養バランスの整った食事が必要です。
栄養バランスのよいお弁当を作るポイント
主食、主菜、副菜の組み合わせを意識して作ったお弁当は、栄養バランスはほぼ完璧ですがカロリーも気にしたいところです。ここでは、栄養バランスのほかに意識したいポイントを解説します。
お弁当の量を決めよう
体に必要な栄養素がしっかり摂れるのが、栄養バランスのよいお弁当です。自分に合ったカロリーのお弁当を作るには、お弁当箱の大きさや主食とおかず(主菜・副菜)の割合などの目安を知ることが大切です。
お弁当箱の大きさを決める
まずは、お弁当のカロリーを考えると同時に、お弁当箱の大きさを決めていきます。
お弁当のカロリーは、1日に必要なカロリー量の1/3量を目安にしましょう。1日に必要なカロリー量の目安は、以下の表を参考にしてみてください。
1日あたりの推定エネルギー必要量(kcal) | ||
年齢 | 男性 | 女性 |
12~14(歳) | 2,300~2,900 | 2,150~2,700 |
15~17(歳) | 2,500~3,150 | 2,050~2,550 |
18~29(歳) | 2,300~3,050 | 1,700~2,300 |
30~49(歳) | 2,300~3,050 | 1,750~2,350 |
50~64(歳) | 2,200~2,950 | 1,650~2,250 |
また、お弁当箱の容量は、1食分のカロリーと同じ数値が目安となります。
お弁当箱の容量の計算例
1日1800kcalが適量の場合、お弁当のカロリーは600kcalが目安です。この場合、お弁当箱の容量の目安は600mLとなります。
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
出典:NPO法人 食生態学実践フォーラム「3・1・2弁当箱法」
適切な主食・主菜・副菜の割合を知る
主食:主菜:副菜の割合を3:1:2にすると、適量かつ栄養バランスがよいお弁当が作れます。ちょうどよい栄養バランスのお弁当にするポイントは、ご飯やおかずを隙間なく詰めることです。
盛り付けのイメージとしては、お弁当箱の半分に主食を詰めて残ったスペースを主菜1:副菜2にするとよいでしょう。
出典:NPO法人 食生態学実践フォーラム「3・1・2弁当箱法」
献立を立てる
お弁当箱の容量やご飯とおかずの割合が分かったら、次は栄養バランスのよい献立を考えていきます。
主食・主菜・副菜の組み合わせを考える
栄養バランスを整えるといっても、献立作りに悩む必要はありません。基本的には好みのおかずを組み合わせてみましょう。可能であれば調理方法、味付け、彩りなどを考慮します。
主食 | 白ご飯と梅干し、ふりかけご飯、混ぜご飯など |
主菜 | 肉料理(唐揚げ、照り焼き、ミートボール、生姜焼きなど)、魚料理(塩焼き、照り焼き、フライなど)、卵料理(ゆで卵、卵焼きなど) |
副菜 | お浸し・和え物、煮物(ひじき煮・切り干し大根煮など)、野菜炒めなど |
調理時間も加味する
朝の忙しい時間に作ることの多いお弁当は、調理時間にも配慮が必要です。あまり凝った献立にしてしまうと、時間に間に合わない可能性も出てきます。
電子レンジなどの手軽な調理方法を考えたり、冷凍食品なども活用したりして毎日の負担にならないよう工夫しましょう。
彩りなどお弁当の「見た目」も重視しよう
彩りよいお弁当は、食欲をそそります。見た目も重視したお弁当を考えてみましょう。
彩りの基本は「赤」「黄」「緑」の食材
お弁当に取り入れたい色は、基本の三原色「赤」「黄」「緑」です。この3色が入ることで、一段とお弁当がおいしそうに見えます。
赤 | トマト、ラディッシュ、パプリカ、梅干し、かにかま |
黄 | パプリカ(黄)、ミニトマト(黄)、コーン、卵 |
緑 | ブロッコリー、アスパラガス、枝豆、スナップエンドウ |
可能であれば他の色の食材にもチャレンジ
赤・黄・緑のほか、ご飯の「白」、肉料理や揚げ物、煮物などの「茶」 は比較的入りやすい色です。それ以外にはお弁当の引き締め役として「黒」や「紫」、さらに華やかさを加えたいときの「ピンク」もおすすめです。
黒 | 黒ごま、昆布、のり |
紫 | ゆかり、しば漬け |
ピンク | ハム、かまぼこ(赤) |
おかずは隙間なく詰める
お弁当をきれいに見せるポイントは、隙間なく詰めることです。彩りよいおかずがぎっしりと詰まったお弁当は、とてもおいしそうに見えます。
まずは、ご飯を詰めましょう。ご飯とおかずを一緒に詰める場合、はじめに詰めるのはご飯です。ご飯を斜めに詰めると、おかずが詰めやすくなります。メインのおかずを詰めたら、残りの隙間にぎゅっと詰めるように野菜のおかずを詰めましょう。ご飯とおかずの間に仕切りとして大葉やレタスなどを敷くと彩りにもなりますが、しっかり洗って衛生面にも配慮しましょう。
味付けが偏らないようにしよう
同じ味付けのおかずばかりでは満足感が得られないばかりか、使う調味料が偏ることで彩りも単調になってしまいます。例えば、味付けにしょうゆを使ったおかずが多いお弁当は、茶色ベースの彩りになります。そのため、さまざまな調味料を活用した味付けを意識してみましょう。ケチャップを使って赤の彩りを加えたり、酢を活用して素材の色を活かしたりする工夫もおすすめです。
また栄養バランスのほか、塩分にも配慮したお弁当を作りたい場合にも、酢などを活用することで控えられます。
- ケチャップ:炒め物、和え物など
- 酢:野菜のマリネなど
調理方法を工夫しよう
おかずの調理方法を工夫することは、お弁当のカロリーコントロールにつながります。特に揚げ物は、ほかの調理法に比べてカロリーが高めです。そのため、揚げ物に偏ってしまうとお弁当全体のカロリーも上がってしまい、栄養面でもデメリットとなってしまいます。これを防ぐためには、揚げ物や煮物、炒め物、和え物などのさまざまな調理法のおかずをバランスよく盛り込む工夫が必要です。
健康管理食ジョイントがお届けする、栄養バランスを考慮したお弁当も試してみてください。
お弁当作りで意識したいことは?
栄養面や見た目、味付け以外にも、お弁当を作るうえで知っておきたいポイントがあります。ここでは、押さえておきたいお弁当作りの基本について解説します。
負担にならないお弁当作りを
栄養バランスの取れた彩りよいお弁当は理想ですが、頑張り過ぎてしまうと負担になってしまうこともあります。そこで活用したいのが、おかずの作り置きです。作り置きがあることでお弁当作りの負担が軽減され、時間や気持ちの余裕が生まれます。
作り置きにおすすめなのが、乾物類や野菜のおかずです。ひじきや切り干し大根、煮付け、きんぴらごぼうなどがあると、栄養・彩りともに役に立ちます。
ただし、作り置きのおかずは適切に保存しないと傷んでしまう可能性があるため、注意も必要です。
お弁当が傷まない工夫をしよう
せっかく栄養バランスと彩りを考えたお弁当を作っても、衛生面に配慮しなければ細菌の繁殖を招き傷んでしまう可能性もあります。傷みの原因となる細菌は、「つけない」ことと「増やさない」ことが原則です。ここでは、お弁当が傷まないために気をつけたいポイントなどについて紹介します。
手とお弁当箱はきれいに洗う
調理前にすることの基本が、手洗いです。指の間や手首のほうまで、しっかりと洗いましょう。また、お弁当箱がきれいであることも、傷まないお弁当作りの大前提です。特に、角形のお弁当箱の四隅や蓋のパッキンは注意したい部分であるため、念入りに洗浄し乾燥をしっかりと行ってください。もちろん、おかずカップやお弁当作りに使う菜箸などの調理器具も、清潔にしておきましょう。
おかずはしっかり加熱して冷ましてから詰める
食材には完全に火を通しましょう。厳密にいえば、食材の中心にまでしっかり火を通す工夫が必要です。肉類はなるべく薄切りを選び、卵料理も半熟にならないように注意しましょう。 そのままでも食べられるハムやちくわなどの加工食品も、念のため加熱するのがおすすめです。
しっかりと火を通したおかずは、冷ましてからお弁当に詰めましょう。熱いまま詰めてしまうと、発生した蒸気の水滴により細菌が繁殖してしまいます。
汁気を切る
水分が多いと、細菌の繁殖を促すことにつながってしまいます。汁気のあるおかずは、適宜キッチンペーパーなどを使って汁を取り除いてから詰めましょう。汁気を取り除いてもあとから出てきやすい野菜の煮物や炒め物などは、片栗粉を利用してとろみをつけておくのもひとつの方法です。
素手で触らない
十分に手洗いを行ったうえで作っているとはいえ、加熱調理済みのおかずを素手で触ることで細菌をつけてしまう可能性があります。なるべく清潔な箸などで盛り付けるようにしましょう。また、おにぎりもラップを使うなどして、素手で握ることは避けましょう。
作り置きで気をつけたいこと
作り置きのおかずがあると、毎日のお弁当作りにとても役立ちます。特に、栄養バランスのよいお弁当には欠かせない野菜のおかずは、あると便利です。しかし、作り置きする際には注意すべき点があり、怠るとお弁当が傷んでしまい食中毒を引き起こす原因にもなってしまいます。
作り置きするおかずは傷まないための工夫をすることに加え、保存する際のポイントも十分な対処が必要です。保存する際のポイントには、以下のようなものがあります。
- 容器は清潔なものを使用する
- 粗熱を取ってから冷蔵・冷凍する
また、作り置きのおかずは、しっかりと再加熱してからお弁当に詰めることも重要なポイントです。
お弁当におすすめのおかず
お弁当にぴったりの栄養バランスがよく彩り豊富なおかずを紹介します。
簡単酢鶏風
肉、野菜が一品で摂れて栄養バランスもよく、お弁当におすすめの献立です。合わせ調味料は前日に合わせておくと、朝の作業が楽になります。
- 鶏もも肉、ピーマン、しいたけ、玉ねぎをカットします。火が通りやすいようなるべく小さめにカットしましょう。
- 材料をごま油で炒めます。
- 合わせ調味料(水、鶏ガラスープの素、ケチャップ、酢、砂糖、しょうゆ、片栗粉)を加え、トロミが付いたら完成です。
さつま芋の甘煮
皮を残すことで、彩りや栄養面で役立つさつま芋の簡単おかずです。
- さつま芋をカットします。皮は残すか、お好みでところどころ剥きましょう。
- 鍋にカットしたさつま芋としょうゆ、砂糖、水を入れて煮ましょう。
- やわらかくなったら完成です。
彩り野菜のマリネ
前日に仕込んでおくと便利な、お弁当におすすめの野菜のおかずです。なすやトマトなどでもおいしく作れます。出来上がったら清潔な容器で保管し、お弁当に入れる際にはなるべく汁気を取り除きましょう。
- パプリカ(赤・黄)を食べやすい大きさにカットします。
- オリーブオイル、酢、砂糖、塩こしょうでマリネ液を作りましょう。
- パプリカは少量のオリーブオイルで焼き目をつけます。
- パプリカをマリネ液に漬け込んで、冷蔵庫で保管しましょう。
栄養バランスのよい彩り豊かなお弁当を作ろう
栄養バランスのよいお弁当作りは、コツさえ掴めば簡単にこなせるようになります。また、少しの工夫で彩りの面も解決できるでしょう。
栄養や彩りを考える以外にも、お弁当作りで気をつけたいことはいくつかあります。この記事を参考に、栄養バランスのよい彩り豊富なお弁当作りに役立ててみてはいかがでしょうか。
管理栄養士馬塲 耕造
1950年生まれ。国立循環器病研究センター 栄養管理室長、大阪刀根山医療センター 栄養管理室長、関西福祉科学大学 福祉栄養学科 客員教授。現在、優れた知見をもとに当社商品の監修と管理栄養士の指導を行い、お客様の栄養相談も行っている。