健康情報
2022.02.08
摂取し過ぎてない?塩分とむくみの関係や必要な目安の量を知っておこう
- もくじ
これって塩分の摂り過ぎ?気になるむくみをチェック
むくみが生じるのは、塩分の高い食事の摂取が関係しています。まずは、気になる塩分とむくみの関係を見ていきましょう。
塩分にあるむくみの原因
顔は塩分が原因でむくむことも
お酒の量がむくみの理由かと思いがちですがアルコールには利尿作用があるため、むしろ体内の水分が減ってしまいます。また、カフェインを含む飲料も同様です。
もしお酒と一緒に塩をたっぷり含んだ食事を摂ったのであれば、それがむくみを引き起こす要因となります。特に皮膚の薄いまぶたには、むくみがあらわれやすいのです。
なぜむくむ?塩分とむくみのメカニズム
なぜ塩分の摂り過ぎが、むくみにつながるのでしょうか。むくみに至るまでのメカニズム、そして塩分過剰な状態が長期間続いたときに及ぼす影響についてみていきましょう。
塩分の摂り過ぎが起こすむくみの理由
体内にはいつもナトリウムが存在
塩分は、体液中ではナトリウムイオンと塩化物イオンとして細胞外液に存在しています。ナトリウムは筋肉の弛緩や神経細胞の伝達、体液の浸透圧の維持などに重要なミネラルです。
特に体液の浸透圧では、細胞の外側のナトリウムと内側のカリウムが水分の移動を調節することで、体液を一定の濃度に保っています。
塩分を摂り過ぎたときに動き出す水分のメカニズム
むくみは、水分の摂取量が排せつ量を上回るときに起こる状態です。
塩分が高い食事の場合、取り込まれたナトリウムが過剰になります。このとき、細胞の浸透圧を保つために濃度の高いナトリウム側へと水分が移動することで、細胞外液が増えます。この移動した水分により、むくみが起こるのです。
腎臓でのナトリウムの排せつはゆっくりなため、次から次へと塩分を過剰摂取すると貯留してむくみが生じてしまいます。
長期間の塩分の摂り過ぎは体への負担となる
塩分を摂り過ぎると、増えたナトリウムを薄めるために血管を流れる血液量が増えます。その結果、血管壁にかかる圧力が高くなり、血圧が高い状態になるのです。この状態が長期間続くと、高血圧症につながります。
また、ナトリウムと水分の処理は腎臓で行われます。慢性的に塩分過剰な状態では腎臓の働きを弱め、腎機能障害を引き起こすおそれがあるのです。
女性とむくみは切っても切れない関係
女性の体は月経から排卵までの卵胞期と、排卵から月経までの黄体期という2つの期間を繰り返します。
この黄体期に分泌されるプロゲステロンというホルモンが増えると、体に水分をため込みやすくなるといわれています。これにより、月経前の期間はむくみやすくなるのです。
同時に月経前症候群(PMS)による不調が増える期間でもあるので、体のリズムを知ってむくみの対策をとることが大切です。
どれくらい摂取していい?塩分の目安量
ここでは摂取量の統計と、目安とする塩分量についてみていきましょう。
現代の食生活は塩分を摂り過ぎている
食塩摂取の目安は1日6g
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」では、高血圧や生活習慣病の予防の観点から、食塩摂取量は1日6g未満が望ましいとされています。
食塩6gは小さじ山盛り1杯ではなく、すりきり1杯分です。
また、濃い口しょう油は小さじ1杯で塩分0.8g、うす口しょう油は小さじ1杯で塩分0.9gです。ポン酢しょう油は大さじ1杯で塩分1.1gですので、かけ過ぎに注意しましょう。
参照:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年度版)策定検討報告書」多量ミネラルp.269より
日本人の食塩摂取量の平均は約10g
厚生労働省の「令和元年国民健康・栄養調査」によると食塩摂取量は男性10.9g、女性9.3gであり、平均は10.1gという結果でした。
目安の6gよりも多く摂取しているため、これからの食生活では塩分の摂り方に目を向けることが重要です。
参照:厚生労働省「国民健康・栄養調査;p.23第2章食塩摂取量の状況」より
今日から取り入れるべき塩分の摂取方法
現在の食生活では、目安より多く食塩を摂取していることがわかりました。以下では、塩分過剰によるむくみを予防する減塩方法や、普段使う食品にどれくらい塩分が含まれるのかを紹介します。
塩分の調節と減塩食品の活用
塩分に頼らない、だしやかんきつ汁などを上手く使う
煮物やみそ汁は、濃いめのだしをとると薄味でも満足できます。減塩には天然だしがよく、昆布やかつお節、煮干しなどがあります。また、旨み成分のグアニル酸を持つしいたけや、グルタミン酸を含むトマトをだし食材として活用するのもおすすめです。
香りや酸味、辛味などの味覚や嗅覚の刺激は、塩分を控えることに役立ちます。香味野菜のしょうがや大葉、みょうがなどを活用してみましょう。しょう油と塩の代わりにする場合は、レモンやゆず、すだちがおすすめです。
減塩に役立つオリジナルだし割りしょう油の作り方
しょう油をだしで割るだし割りしょう油は、旨みがあって減塩に有効です。市販のだし割りしょう油は小さじ1杯で塩分0.4gなので、普通のしょう油の半分の塩分量で済みます。
だし割りしょう油は、手作りもできます。しょう油とだしを1:1で入れて乾燥昆布を浮かべておくだけで、オリジナルの減塩だししょう油の完成です。手作りの場合は、冷蔵保存して1週間程度で使い切りましょう。
便利な減塩食品を活用する
最近では、「塩分25%カット」などの減塩しょう油や減塩みそが充実しています。また、1滴しかたらせないしょう油さしなどを使って、かける量を調節することも有効です。
減塩の中濃ソースやドレッシングがない場合は、少量を小皿に入れて付けて食べるという方法もおすすめです。
粉末だしと加工食品には気を付ける
何気なく使う粉末だしは高塩分。使用量に注意
粉末だしの塩分がどれくらい含まれるかは、食品ラベルの「栄養成分表示」の欄に記されています。
スープに使う鶏がらだしの粉末(2.5g)の食塩相当量は、1.2gです。コンソメのスティック1本分(4.5g)の食塩相当量は、2.2gです。
トビウオ原料のあごだしの粉末1袋(10g)中の食塩相当量は、5.8gになります。
白だしの大さじ1杯の食塩相当量は1.5g、麺つゆは大さじ1杯で1.9gの食塩相当量です。
塩分が高いおいしい加工食品に注意
おいしい加工食品にも、塩分が含まれています。干物や漬物などは長時間保存の目的で塩を多用するため、1度の摂取量に注意が必要です。
また、ベーコンのスライス1枚(18g)とソーセージ1本(20g)には、0.4gの塩分が含まれています。これは、人差し指と親指でつかんだ塩の量と同じくらいです。
ゆでうどん1玉(240g)は0.7g、6枚切り食パン1枚(60g)では0.8gの塩分量ですので、白米(ほぼ0g)に比べると多いです。
知っておきたい!むくみを予防する方法
むくみ予防として、ナトリウムの排出や水分代謝をサポートする食材があります。ここからは、むくみを予防する方法と対策になる水分の取り方を紹介します。
ナトリウムを排出するカリウムを積極的に摂る
体内のナトリウムとカリウムの関係
細胞の浸透圧は、外側のナトリウムと細胞内のカリウムとが互いに水を引きつけ合いながら一定に保っています。体内に十分なカリウムがあれば、むくみの要因となる余分なナトリウムを排出して血圧を正常に保ってくれるのです。また、腎臓からの老廃物の処理に役立ちます。
体内の水分濃度を正常に保つナトリウムとカリウムのバランスは、1:2がよいとされています。よって、カリウムの摂取量を増やせば、塩分過剰によるむくみの予防につながるのです。
カリウムが多く含まれる食品は?
以下の食品には、カリウムが多く含まれています。
- ほうれん草
- モロヘイヤ
- 小松菜
- かぼちゃ
- ブロッコリー
- カリフラワー
- ニラ
- さつま芋
- じゃが芋
- さと芋
- アボカド
- バナナ
- キウイフルーツ
- 枝豆
- 大豆
- 納豆
- アーモンド
- いり落花生 など
余分な水分を体内にためない
むくまない水分の取り方
むくみ予防には、ゆっくりとこまめに水分を補給することが適切です。
食事中の胃が活発な状態では水分の吸収がされやすいため、短時間に大量の水分を飲むと胃腸の血流が悪くなり、消化力も落ちます。
スポーツドリンクには糖分が含まれており、さらに喉が渇くことがありますので、飲み過ぎには注意が必要です。
また、カフェイン入り飲料は利尿作用が強く必要な水分まで排出されかねないので、麦茶や水とのバランスをとりましょう。
余分な水分を排出する食材は?
ハト麦茶は、むくみ対策に有効です。水分代謝をよくする作用があるため、ヨクイニンという漢方にも活用されています。
また黒豆や小豆は、尿の出をよくして余分な水分を除く作用があります。
ナトリウムの吸収を妨げる食物繊維にも注目
食物繊維には、不溶性と水溶性があります。特に水溶性にはナトリウムや脂質、糖質などを吸着して排出する作用があるのです。
水溶性食物繊維の成分にはペクチンやアルギン酸、グルコマンナン、ムチンがあり、以下の食材に多く含まれています。
- ペクチン…りんごや桃、イチゴ
- アルギン酸…ワカメや昆布などの海藻類
- グルコマンナン…こんにゃく
- ムチン…オクラやモロヘイヤ、山芋、里芋
ジョイントの多幸源で塩分調整をして、むくみにくい体づくりをしよう
ジョイントが提供している御膳は、塩分管理に最適です。毎日の塩分調整を行う為にジョイントの健康管理食を利用してみてはいかがですか?
管理栄養士馬塲 耕造
1950年生まれ。国立循環器病研究センター 栄養管理室長、大阪刀根山医療センター 栄養管理室長、関西福祉科学大学 福祉栄養学科 客員教授。現在、優れた知見をもとに当社商品の監修と管理栄養士の指導を行い、お客様の栄養相談も行っている。