2022.02.07
実は高血圧にも効く!知っておくといい、お酢と塩分の関係性と摂取量の目安とは
- もくじ
お酢と塩分にはどんな関係がある?
昔から、お酢は健康によいといわれています。一般的によく知られている効能の種類は、以下のとおりです。
- 血液がサラサラになる
- 美肌効果がある
- 血糖値を下げる
まずは、お酢と塩分の関係性について解説します。
塩分の過剰摂取による血圧の上昇を抑える効果がある
異常な血圧の上昇は、塩分の過剰摂取が主な原因です。早食いや食べ過ぎ、塩分の濃い食べ物ばかり食べていると、高血圧になってしまう可能性があります。
お酢の主成分である「酢酸」は、体内で代謝される際に血圧の上昇を抑える効果があります。ただし、1回の食事にお酢を使うだけでは意味がありません。毎日の食事で摂取を続けて、初めて効果が現れるものだと覚えておきましょう。
減塩するならお酢を活用しよう!
減塩料理は、人によってはスーパーのそうざいやお店の料理のように、一口目で「おいしい」と思えるものではないかもしれません。そのため、塩分とうまみの多いものばかり食べる生活に慣れてしまうと、いざ減塩をしようと思ってもなかなか続かないでしょう。あくまで健康面を重視した料理なので、どうしても塩分が少ない分味気なくすぐに食べ飽きてしまうのです。
一方、お酢には減塩を続けるために必要な要素がたくさん備わっています。
高血圧予防に効果的
日常的にお酢を摂取し続けると、血圧の上昇を抑える効果が期待できます。少しずつ効果が得られるため、体への負担が少なくて済みます。
味付け用に使う食塩の代わりにもなる
減塩料理の「味気なさ」を補うのにも、お酢は最適です。お酢の持つ強い酸味は、塩分の少ない料理の味のアクセントとなってくれます。また、お酢は黒酢やりんご酢、ワインビネガーなどたくさんの種類があるので、さまざまな料理に使えます。
煮物に使えばさっぱりとした味わいになり、サラダに使えばドレッシングにもなるのです。お酢という調味料は、使い方次第で減塩料理をおいしいものにできるパワーを秘めています。
料理が苦手なら「飲むお酢」を飲もう
料理自体が苦手でお酢を使う機会がない人は、「飲むお酢」がおすすめです。飲むお酢とは果実酢や穀物酢といった調味料用のお酢に果汁や甘味を加えた飲料のことで、水やお湯などで割って飲みます。料理でなくても手軽にお酢を摂取できるという理由で、近年注目を集めている食品です。
気になるお酢の成分と効能
どの種類のお酢であっても、その主成分は「酢酸」や「クエン酸」などの有機酸です。この「有機酸」は、健康にまつわるさまざまな効能があります。
血糖値の上昇を抑える
お酢の成分である「クエン酸」は食事の糖の吸収を穏やかにして、血糖値の急激な上昇を防ぎます。そのため、糖質の多い食事のときに一助を担っています。
消化吸収を助け・殺菌作用がある
お酢の持つ酸味は唾液や胃液の分泌を促し、消化吸収を助けてくれます。また、お酢には殺菌作用もあり、食中毒のリスクを下げてくれます。唾液の分泌と酢酸の2つで、高い殺菌効果を発揮してくれるのです。ただ、お酢の持つ成分「酢酸」は、空きっ腹の状態で摂取すると胃を荒らす原因になります。お酢を多く含む料理や飲み物は、食中か食後に摂取しましょう。
疲労回復に効果がある
酢酸は、ブドウ糖と一緒に吸収されることで高い疲労回復効果が期待できます。エネルギーの素である筋肉へのグリコーゲン供給を効率よくするので、ご飯や砂糖などの糖分のある食品と一緒に摂取しましょう。
カルシウムの吸収を助ける
骨を丈夫にするためのミネラルである「カルシウム」は、単体では吸収効率が悪いです。しかしお酢と一緒に摂取することで、カルシウムの吸収効率をアップしてくれます。
ダイエットにも最適
お酢の持つ酢酸は、内臓脂肪の燃焼にも効果があるといわれています。また、糖の吸収や血糖値の上昇を緩やかにしてくれるので、糖質制限中の人にもおすすめです。
抗酸化作用で老化物質を排出する
健康食品としてもよく扱われる「黒酢」には、強い抗酸化作用があるといわれています。黒酢に多く含まれる「メラノイジン」という物質が、老化の原因となる活性酸素を排出してくれるのです。
お酢を使った減塩向け調味料の種類とは
お酢はそのまま料理に使えますが、ほかの調味料と合わせることで使い勝手が一層よくなります。お酢の合わせ調味料やタレにはたくさんの種類があるので、いろいろ使ってみましょう。
ドレッシング
野菜にかけるドレッシングには、お酢が使われています。市販のドレッシングは塩分を多く含むものもあるので、栄養成分表示を確認して選ぶようにしましょう。
ポン酢
家にあるもので簡単に自作できるポン酢は、とても便利な調味料です。鍋料理のつけだれに使うのが主流ですが、ゆで野菜や肉料理のソースにしたりとさまざまな使い方ができます。
1日の食事における塩分摂取量の目安
次の表は、日本人の性別・年齢別の1日の塩分摂取量目安です。
年齢 | 男性目標量 | 女性目標量 |
1〜2歳 | 3.0g未満 | 3.0g未満 |
3〜5歳 | 3.5g未満 | 3.5g未満 |
6〜7歳 | 4.5g未満 | 4.5g未満 |
8〜9歳 | 5.0g未満 | 5.0g未満 |
10〜11歳 | 6.0g未満 | 6.0g未満 |
12〜14歳 | 7.0g未満 | 6.5g未満 |
15歳以上 | 7.5g未満 | 6.5g未満 |
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)報告書」
成人男性なら1日で7.5g未満、女性なら6.5g未満の塩分が目標量です。これは、1日当たり小さじ山盛り1杯分の塩の量に相当します。ただ塩分を控えるだけでなく、さまざまな減塩の工夫が必要だと分かります。
血圧が高い人は減塩を心がけよう
病院で高血圧だと診断された人は、減塩を始めないと生活習慣病のリスクがグンと上がってしまいます。高血圧は血管や心臓にかかる負担が大きいため、放っておくと心筋梗塞や心不全などの循環器系の疾患を患うかもしれません。
日本人の食事は高塩分な味付けが多い
醤油や味噌などの主要な調味料は、全て塩分が高いです。よって健康でヘルシーそうに見える和食は、平均的に塩分の高い料理が多くなります。和食では塩分の高い漬け汁やタレを使用する調理法が多く、油脂や糖質を多用する洋食や中華の方が塩分は少ないのです。
健康のためにはある程度の塩分も必要
減塩するにしても、塩分摂取量の目安はキープしなければなりません。塩分摂取で大切なのは、摂りすぎず摂らなさすぎです。塩分の摂りすぎは高血圧につながりますが、摂らなさすぎると低血圧を招く危険性があります。塩分が気になるからといって、極端な減塩はやめておきましょう。
手軽にお酢を摂取できる定番メニュー
お酢をたくさん摂取できる減塩メニューを、2つ紹介します。どちらも家庭で簡単に挑戦できるオーソドックスなものなので、今晩のおかずにいかがでしょうか。
きゅうりとわかめの酢の物
酢の物は、お酢を一番手っ取り早く料理に使えます。食塩をほとんど使わず糖質も少なめで、野菜と海藻でミネラルも十分なバランスのいい副菜メニューです。ただ和えるだけで簡単に作れます。本来ならきゅうりは塩もみしますが、塩分が気になるならより薄く切ることで塩もみの代わりにできます。
用意する食材(2人前)
きゅうり | 1本 |
乾燥わかめ | 2つまみ |
水 | 適量 |
(A)酢 | 小さじ2 |
(A)砂糖 | 大さじ1 |
作り方
- 乾燥わかめをたっぷりの水に30分ほど浸けて戻す
- きゅうりは薄切りにする
- (A)を合わせておく
- 材料を全て和え、10分ほどおいて味を染み込ませる
アジの南蛮漬け
アジを焼いて野菜入りの南蛮酢に漬けるだけの、簡単メニューです。アジの大きさ次第で、副菜にも主菜にもなります。使用するお酢に果実酢や黒酢を使ってみてもいいでしょう。
用意する食材(2人前)
アジの切り身 | 2尾分 |
玉ねぎ | 1/2個 |
にんじん | 1/4個 |
片栗粉 | 適量 |
(A)酢 | 大さじ6 |
(A)醤油 | 大さじ2 |
(A)みりん | 大さじ2 |
(A)砂糖 | 大さじ2 |
(A)水 | 大さじ6 |
作り方
- アジは一口大サイズにカットする
- 玉ねぎは薄切り、にんじんは細切りにする
- 鍋に(A)を合わせ、ひと煮たちさせたら火を止める
- (A)が熱いうちに玉ねぎ、にんじんを加える
- アジに片栗粉をまぶし、油を引いて熱したフライパンで焼く
- 表面が色づいて中に火が通ったら、(A)の中に入れる
- そのまま液が冷めるのを待って、一晩冷蔵庫で味を染み込ませる
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管理栄養士馬塲 耕造
1950年生まれ。国立循環器病研究センター 栄養管理室長、大阪刀根山医療センター 栄養管理室長、関西福祉科学大学 福祉栄養学科 客員教授。現在、優れた知見をもとに当社商品の監修と管理栄養士の指導を行い、お客様の栄養相談も行っている。