健康情報
2022.03.30
塩分が不足するとどんな症状が出るの?一日の必要摂取量を守って改善対策しよう
- もくじ
塩分が身体にあたえる影響と関係性
塩分は、私たちの身体を構成するために必要な栄養成分です。体内ではナトリウムイオンと塩化物イオンという形で存在しています。ここでは、塩分(主にナトリウム)が身体に与える影響と関係性について解説します。
体内のミネラルバランスを調整する
私たちの身体を構成する体液は約0.85%の塩分濃度に保たれており、細胞内液と細胞外液に分かれています。細胞外液にはナトリウムイオンが、細胞内液にはカリウムイオンが多く存在します。 細胞を正常に機能させるには、この細胞内液と外液の濃度バランスを正常に保つ必要があるのです。その濃度が常に一定になるように、細胞内液と外液で放出と吸収を繰り返しながら体内のミネラルバランスを調整しています。
筋肉を収縮する手助け
ナトリウムには、筋肉の収縮や弛緩をさせる働きがあります。脳から筋肉収縮命令が伝わると筋肉細胞外にあるナトリウムが筋肉細胞内へと移動し、筋肉が収縮するのです。反対に、筋肉細胞内のナトリウムが細胞外液に移動すると筋肉が弛緩します。
塩分が不足すると起こる症状
ここでは、塩分不足によって引き起こされる症状について解説します。
低ナトリウム血症
大量の発汗や下痢、嘔吐を繰り返すと体内のナトリウムが外へ出てしまい、塩分が不足した状態になります。その際に十分な塩分を補給せずにいると体内のミネラルバランスが崩れ、低ナトリウム血症を引き起こすのです。低ナトリウム血症になってしまうと、筋肉の収縮が十分に行われません。もしそれが心筋で起こってしまった場合には、心不全を引き起こす危険もあります。
低ナトリウムの症状チェック
軽度の低ナトリウム血症は、無症状の場合も多いです。塩分の不足した状態が続くと、さまざまな症状が現れます。中等度以上の症状が確認される場合は、すぐに医師の診察を受けましょう。
初期から見られる症状
- 吐き気と嘔吐
- 倦怠感
- 頭痛
- ふらつき
- めまい
中等度以上で見られる症状
- 脱力
- 傾眠(意識がはっきりせずに眠りがち)
- 意識障害(意識がもうろうとしている)
- けいれん
塩分の摂りすぎにも注意!摂りすぎると起こる症状
塩分の摂りすぎも、命に関わる病気を引き起こす原因となります。ここでは、塩分の摂りすぎが引き起こす症状について解説します。
高血圧
塩分は血圧と密接に関係しており、摂りすぎで現れる代表的な症状が高血圧です。必要以上の塩分を摂取すると、体内のナトリウム濃度が高くなってしまいます。体液中のナトリウムが増えることで血管収縮の働きが活発になり、血圧の上昇につながるでしょう。
出典:厚生労働省「e-ヘルスネット」
腎機能の低下
腎臓は、体内の老廃物を身体の外へ排出するろ過機能を担っています。必要以上に塩分を摂取すると腎臓に負荷がかかり、働きが鈍くなってきます。腎機能の低下した状態が3ヶ月以上続くと、CKD(慢性腎臓病)になるリスクが高くなるでしょう。悪化すると腎不全になり、透析治療が必要な状態になる可能性も出てきます。
むくみ
高くなったナトリウム濃度を正常化するためには、体の中に水分を溜め込みます。体内の水分が過剰になることで、血液やリンパの循環が悪くなります。血管やリンパ管から漏れ出た水分が皮膚や皮下脂肪に溜まり、むくんでしまうのです。
動脈硬化
塩分を摂りすぎると、高血圧の症状が出てきます。血圧が高い状態が続くと血管に圧力がかかり、その圧力に対抗するように血管壁が厚くなるのです。血管壁が厚くなると血管内が狭くなってコレステロールなどの脂質が溜まり、血の巡りが悪くなります。この状態が繰り返し起こることで動脈硬化の症状が悪化し、脳梗塞や心筋梗塞になるリスクが高くなるのです。
日本人の平均塩分摂取量と一日の必要摂取量
ここでは、日本人が実際に摂取している平均塩分量と、一日に必要な摂取量について解説します。
日本人の平均塩分摂取量
2019年に行った国民健康栄養調査によると、男性が10.9g、女性は9.3gという結果でした。
出典:厚生労働省「国民健康・栄養調査(令和元年)」
一日の必要摂取量
2020年版の日本人の食事摂取基準によると、一日あたりの推定平均必要量は成人の男女ともに1.5gです。目標量は成人男性7.5g未満、成人女性6.5g未満に設定されています。平均摂取量を見ても分かるように、日常生活を送るうえで不足することはほぼないといえます。大量の発汗や嘔吐、下痢などの症状がある場合を除いて、塩分を意識的に摂取する必要はないでしょう。
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
塩分を効率よく摂取する方法
日常生活を送っているうえでは、塩分をあえて付け加える必要はありません。しかし、大量の発汗や嘔吐や下痢などの症状がある場合は、体内の塩分が不足します。速やかに塩分を摂取するなど、対策をとりましょう。ここでは、塩分を効率よく摂取する方法を紹介します。
水分と一緒に摂取する
水分が不足した状態で塩分を摂取すると体内のナトリウム濃度が高くなり、ミネラルバランスが崩れてしまいます。塩分と一緒に水分を摂取することで、効率よく補えるでしょう。
塩分タブレットを上手に取り入れる
激しい運動時や夏の暑い日には、塩分タブレットを摂取しましょう。大量に汗をかくと体内の塩分が体外へ排出されてしまい、塩分不足の症状が出てきます。塩分タブレットには塩分だけでなく、カリウムやクエン酸などのミネラルが含まれているのです。そのため、効率よく不足した塩分やミネラルを補えます。
経口補水液
下痢や嘔吐などの症状により急激に体内の塩分が排出された場合、速やかに不足した分を補う必要があります。経口補水液を摂取することで不足した塩分やミネラルを補うと同時に、水分も摂れるでしょう。
塩分の過不足に注意し、対策を取りながら健康的な身体を手に入れよう!
健康な身体を維持するために必要な塩分が不足すると、低ナトリウム血症という症状が現れます。過剰に摂取すると高血圧や慢性腎臓病といった生活習慣病のリスクが高くなるため、減塩の食事を心掛けましょう。
ジョイントの食事で塩分を調整しよう!
ジョイントの食事はすべて塩分量が2.5g以下で設定されています。
塩分量を調整しながら健康な身体を維持していきましょう。
管理栄養士馬塲 耕造
1950年生まれ。国立循環器病研究センター 栄養管理室長、大阪刀根山医療センター 栄養管理室長、関西福祉科学大学 福祉栄養学科 客員教授。現在、優れた知見をもとに当社商品の監修と管理栄養士の指導を行い、お客様の栄養相談も行っている。