健康情報
2022.03.09
収縮期高血圧とは?血圧が上昇する原因や低下させる方法について解説
そもそも血圧とは?
そもそも血圧とは、どういうものなのでしょうか。まずは、血圧の仕組みや基準値などについて解説します。
血圧の仕組み
心臓が血液を送り出すときの動きが、血圧の仕組みに関わっています。
血液が血管の内壁を押す圧力が「血圧」
血圧は、心臓から送り出された血液の量や、血管の末端部分(末しょう血管)での血液の流れ具合で決まります。また、心臓につながる大動脈のしなやかさや血液の粘り気なども関わっています。
収縮期血圧と拡張期血圧
心臓は収縮と拡張を繰り返し、血液を体に送り出すポンプの役割を担っています。心臓が収縮すると血液が大動脈へ送り出されますが、このときにかかる大動脈への圧力が「収縮期血圧」です。一方、全身をめぐってきた血液が心臓に戻ってきたときには心臓は拡張し、大動脈の圧力も弱まります。このときの血圧を「拡張期血圧」といいます。
一般的に収縮期血圧は上の血圧、拡張期血圧は下の血圧と呼ばれています。
血圧の基準値
日本高血圧学会「高血圧診療ガイドライン2019」での高血圧の診断基準は、以下のとおりです。
成人における血圧値の分類(診察室血圧:mmHg) | |||
収縮期血圧 | 拡張期血圧 | ||
120未満 | かつ | 80未満 | |
120~129 | かつ | 80未満 | |
130~139 | かつ/または | 80~89 | |
140~159 | かつ/または | 90~99 | |
160~179 | かつ/または | 100~199 | |
180以上 | かつ/または | 100以上 |
「正常高値血圧」は正常範囲内の血圧、「高値血圧」は高血圧に近いレベルの血圧でいわゆる高血圧予備軍といわれる段階です。
ここでは病院などで測定した「診察室血圧」を示しましたが、家庭で測定した「家庭血圧」の基準も設けられています。家庭血圧は診察室血圧よりも、概ね5mmHgほど低い数値となっています。
出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」
高血圧とは?
高血圧とは、血圧が高くなる病気のことです。ここでは、高血圧の種類や原因、もたらされるリスクなどについて解説します。
高血圧は治療が必要な病気
高血圧と診断された場合、食事療法や運動療法、薬物療法などの治療が必要となります。
高血圧の診断基準
診察室での収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上の場合、高血圧と診断されます。高血圧と診断されると、食事療法や運動療法、薬物療法などの治療を開始することになります。
出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」
血圧上昇はさまざまなリスクを招く
血圧が上昇しても自覚症状が現れないこともありますが、以下の重大な病気を引き起こす可能性があります。
- 脳血管疾患(脳出血・脳梗塞など)
- 心疾患(狭心症・心筋梗塞など)
- 腎疾患(腎硬化症・慢性腎臓病など)
これらの病気にとって高血圧は、最大の危険因子です。特に、腎疾患の進行から腎不全を引き起こし腎臓が機能しなくなってしまうと、透析療法を導入する可能性があります。自覚症状がなくとも血圧の上昇が見られる場合には、できるだけ早く改善する必要があるのです。
高血圧の種類と原因
高血圧には、2種類のタイプがあります。
本態性高血圧
日本人の多くが、このタイプです。肥満や遺伝、喫煙や運動不足、食生活などの生活習慣、ストレスなどが原因であると考えられています。特に、日本人の食塩摂取量は世界の国々よりも多いため、血圧を下げるには減塩が重要であると考えられています。
二次性高血圧
肥満や生活習慣などではなく、何らかの病気が原因となり高血圧を引き起こすものです。二次性高血圧では、高血圧の原因となっている病気の治療が優先されます。
高血圧のタイプ
収縮期血圧と拡張期血圧のどちらも高い場合はもちろんですが、どちらかが高いケースでも高血圧と診断されます。ここでは、高血圧のタイプについて見ていきましょう。
拡張期血圧だけが高い
拡張期血圧だけ高いという場合は、手や足先の末端の血管が硬くなっていることなどが考えられます。一方、大きな血管の弾力性は比較的保たれている状態のことが多いです。もちろん、拡張期血圧だけ高いことも高血圧であることには変わりありません。
肥満や運動不足、アルコールの過剰摂取、喫煙習慣のある比較的若い世代に多い高血圧で、生活習慣の改善が重要となります。
収縮期血圧だけが高い
高齢者では、収縮期血圧だけが高くなることがあります。この場合、拡張期血圧は正常もしくは低くなることが多いです。しかし、収縮期と拡張期の血圧の差が大きいと、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まるといわれています。
加齢に伴い動脈硬化が進むと招くとされていますが、下の血圧が正常でも上の血圧を下げるための治療を行わなければいけません。
その他の高血圧
病院で測る血圧は正常でも、家庭で測ると高い場合があります。 このようなケースでは診察の際に高血圧であると判断できないため、「仮面高血圧」と呼ばれています。
仮面高血圧の人でも脳卒中や心疾患の発症リスクに差はないとされているので、家庭で測定する値もとても重要です。健診などで血圧を指摘されていない人でも、健康のために家庭での血圧測定を習慣にしてみましょう。
高血圧予防のために日常生活で注意すべきこと
高血圧の予防や改善には、生活習慣の見直しも有効です。ここでは、血圧を正常に保つために日常生活で注意したいことなどを解説します。
食塩摂取量を控える
食塩に含まれる成分であるナトリウムの摂り過ぎは、血圧を上昇させる原因となります。高血圧を予防したり改善したりするためには、減塩を実践することが基本です。
厚生労働省では、高血圧を悪化させないための食塩摂取量を1日あたり6g未満としています。また、血圧が正常な人の場合でも男性7.5g未満、女性6.5g未満を目標とすべきであるとしています。
慣れ親しんできた味を変えるのは簡単ではないかもしれませんが、一番の目的は「薄味に慣れる」ことです。できることから始めてみましょう。
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
調味料の使用量を控える
日々の食生活に欠かせない調味料には、塩分が多く含まれています。そのため、調味料の使用量を控えれば食塩摂取量を控えることにつながります。
減塩にするための調味料の上手な使い方は、料理をする際に計量スプーンで計量することです。計量することは、調味料をどのくらい使ったかの目安にもなります。また、出来上がった料理に調味料をかけ過ぎることを防ぐため、小皿に取った調味料につけて食べる工夫もおすすめです。さらに手軽な方法で減塩を始めたいという人は、減塩調味料を活用しましょう。
香辛料や香味野菜、だしを活用する
単に塩分を減らしただけでは、味気ない食事になってしまいます。減塩でもおいしい食事にするには、塩分が含まれない調味料である酢や香辛料(スパイス)を活用してみましょう。また、以下の方法もおいしく食べるためのポイントです。
- 生姜、にんにく、ねぎ、しそなどの香味野菜を取り入れる
- 汁物や煮物は昆布やかつお節を使って、しっかりとだしを取る
手軽にだしを取りたいという人は、市販の顆粒だしやだしパックなどを利用するのもおすすめです。いろいろな種類のだしが販売されていますが、食塩無添加のものもあれば食塩が含まれているものもあります。購入する際には確認するようにしましょう。
外食時の食べ方を工夫する
家庭では減塩を実践していても、外食するときはそうとも限らないという人も多いかもしれません。味付けは飲食店によって異なるため一概にはいえませんが、外食では塩分が過剰になってしまいがちです。外食の機会が多い場合は、以下のような工夫をすることで塩分を控えられます。
- 麺類のスープを残す
- 漬物を残す
- ソースやドレッシングなどをかけ過ぎない
加工食品を控える
ハムやソーセージ、練り物、塩蔵品などの加工食品を控えるのも、食塩摂取量を控えることに効果的な対策です。加工食品には、食品を長期的に保存したりおいしさを高めたりするために調味料や保存料などの食品添加物が加えられています。その結果、食塩も多く含まれているのです。
手軽でおいしい加工食品ですが、毎日の食事が加工食品に偏らないようにすることが減塩のポイントとなります。
野菜や果物を積極的に摂る
野菜類や果物類に含まれるカリウムには、摂り過ぎてしまった塩分(ナトリウム)を体外へ排出する作用があります。そのため、減塩を実践すると同時にカリウムの摂取量を増やすことを意識すれば、高血圧の改善につながる可能性があるといえるでしょう。
カリウムは水に溶け出しやすいので、生で食べたり電子レンジで加熱したりすると効率よく摂取できます。また、芋類などの加熱して食べる野菜に含まれるカリウムは、汁ごと摂取できる味噌汁やカレーなどに活用するのがおすすめです。
カリウムを摂取する際の注意点
腎疾患などがあり腎機能が低下している場合は、主治医の指示によりカリウムの摂取量を制限しなければいけない場合があります。
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
食べ過ぎ(カロリーオーバー)に注意する
肥満も高血圧の原因となるため、食事のカロリーをコントロールすることも重要です。腹八分目を心掛けたりアルコールの飲み過ぎに注意したりするなど、カロリーを摂り過ぎないための工夫をしてみましょう。
また食事量が多く、食べ過ぎてしまうと、必然的に食塩摂取量も多くなります。肥満の防止だけではなく塩分を摂り過ぎないためにも、食べ過ぎには注意が必要なのです。
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適度な運動を取り入れる
適度に運動することも、高血圧を予防・改善するために有効です。運動によって高血圧を改善したり予防したりするには、一般的には定期的に行う有酸素運動がすすめられています。毎日30分以上行うのが理想ですが、まずは日常生活で活動量を増やす程度の運動から始めるのがおすすめです。以下のような運動を、無理なく続けられるペースで行うことを心掛けましょう。
- ウォーキング
- ジョギング
- サイクリング
- 水泳
運動を行う際の注意点
準備運動や整理運動を十分に行いましょう。また、血圧の値や合併症の有無によって運動が制限されることがあります。運動の可否や強度については、主治医に確認のうえで行うようにしましょう。
出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧症を改善するための運動」
出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「エアロビクス / 有酸素性運動」
健康管理食ジョイントの御膳は、以上の条件にかなっています。
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御膳の種類
ジョイントの宅配弁当にはさまざまな種類がありますが、その中でも減塩食に適している弁当を紹介します。
健康管理食 多幸源Ⅱ
野菜をふんだんに使い、たんぱく質や炭水化物、脂質などの栄養バランスにこだわったボリューム感のある宅配弁当です。1食あたりのエネルギー平均は337kcalで、塩分量平均は2.5g以下と減塩に配慮しています。彩りもよいため、味だけでなく目で楽しめます。主菜・副菜で味に濃淡をつけていますので全体的な減塩の物足りなさは感じません。継続して食べられるでしょう。
管理栄養士馬塲 耕造
1950年生まれ。国立循環器病研究センター 栄養管理室長、大阪刀根山医療センター 栄養管理室長、関西福祉科学大学 福祉栄養学科 客員教授。現在、優れた知見をもとに当社商品の監修と管理栄養士の指導を行い、お客様の栄養相談も行っている。