健康情報
2022.03.30
中性脂肪が高いのはなぜ?原因を食事や運動で改善して健康体を手に入れよう!
中性脂肪とは?
中性脂肪とは、体に貯蔵されている脂肪のことです。貯蔵されている場所は、皮膚の下(皮下脂肪)や臓器のまわり(内臓脂肪)です。また、血液中にも存在しています。中性脂肪は健康に悪いイメージが強いですが、内臓を衝撃から保護したり、体を保温したり、必要に応じてエネルギーとして利用される役割のある重要な組織です。
中性脂肪が高いことによる影響
中性脂肪が体内に蓄積されすぎると、動脈硬化が促進されます。動脈硬化とは、血管が硬くなったり、狭くなったりしている状態です。この状態を放置していると血液の通り道が塞がれ、脳梗塞や心筋梗塞、狭心症といった重篤な病気にかかる恐れがあります。動脈硬化が進む多くの原因は、内臓脂肪の蓄積です。内臓脂肪が蓄積されると、脂肪細胞から脂質の代謝を妨げるホルモンが分泌されるため、血中のLDL(悪玉)コレステロールが増え、HDL(善玉)コレステロールが減ります。LDLコレステロールは血管内に沈着し、プラークを形成するので動脈硬化の温床になるのです。
血液検査の数値基準を超えたら注意
中性脂肪の数値は、血液検査で確認できます。下記の数値基準を超えている場合は、要注意です。
中性脂肪の数値基準(mg/dL) | |||
異常 | 基準範囲※ | 要注意 | 異常 |
29以下 | 30〜149 | 150〜499 | 500以上 |
※将来、脳・心血管疾患発症しうる可能性を考慮した基準範囲
出典:公益社団法人 日本人間ドック学会「中性脂肪(GT)(トリグリセリド)」
表の通り、基準範囲は「30〜149」です。この範囲よりも高ければ、動脈硬化や肥満、低ければ肝硬変や低栄養の疑いがあります。
中性脂肪が高くなる原因
中性脂肪が高くなる主な原因は、生活習慣の乱れです。特にカロリーの高い食事は、中性脂肪を増やす最たる原因になります。中性脂肪が高い場合は、これから解説する内容に当てはまっていないか確認しましょう。
高カロリーな食事
高カロリーな食事を続けるとエネルギーが余りやすくなり、中性脂肪として蓄積されます。ラーメン、ジャンクフード、パスタなどは脂質と糖質が高いため、日常的に食べている人は注意が必要です。また、砂糖の含まれるアイス、清涼飲料水、お菓子といった甘いものは中性脂肪に変換されやすいので、食べ過ぎに注意しましょう。
運動不足
運動不足になると、食事から摂取した余剰なエネルギーを消費できなくなり、結果として中性脂肪が高くなります。運動は1日の消費エネルギーに占める割合が20〜30%なので、運動不足になるとそれだけエネルギーが余ってしまうのです。また、運動の中でも筋トレは基礎代謝量を維持する上で欠かせません。運動不足により筋肉量が低下すると、低燃費の体質になり、中性脂肪が蓄積されやすくなります。
飲酒
お酒に含まれるアルコールは、肝臓の機能に悪影響を与えます。肝臓はアルコールのほか、食事から摂ったたんぱく質、脂質、糖質を代謝するエネルギーの生産工場です。アルコールを優先的に分解してエネルギーに利用するので、栄養素のエネルギーが使われない状態になります。そうなると使われなかったエネルギーは、中性脂肪として蓄積されてしまうのです。特にお酒と一緒に食べものを食べている場合は、余ったエネルギーが中性脂肪に蓄積されやすくなります。
過度なストレス
ストレスは間接的に中性脂肪を増やします。その原因は、ストレスを感じたときに分泌されるコルチゾールです。コルチゾールが過剰に分泌されると体の代謝機能が低下し、脂肪がエネルギーとして利用されづらくなります。これは一種の防衛反応であり、人間の体はストレスを感じると、無駄なエネルギーを消費しないように働くからです。直接的に中性脂肪を増やすわけではありませんが、決してあなどれません。
中性脂肪を低くするための改善方法
生活習慣を変えれば、中性脂肪が低くなる場合が多いです。動脈硬化の原因である内臓脂肪は、皮下脂肪よりも減りやすい特徴があります。改善方法をチェックして、中性脂肪を低くしましょう。
カロリー摂取量を抑える
中性脂肪は使いきれなかったエネルギーが蓄積されたものです。その原因の多くはカロリーの摂りすぎなので、カロリー摂取量を抑えることで中性脂肪をエネルギーに利用できます。食事をうまくコントロールして、中性脂肪を減らしましょう。
食事は糖質制限がおすすめ
中性脂肪を減らすなら糖質制限が効率的です。糖質を摂取したときに分泌されるインスリンは、脂肪細胞にある中性脂肪を増やす働きがあります。糖質制限はインスリンの分泌を抑えられるほか、中性脂肪を分解してエネルギーに利用するため、中性脂肪を減らす効率的な食事方法です。1日の糖質摂取量の目安は50〜130gで、おにぎりであれば1日に1〜3個食べられる計算になります。なお、甘いものが好きな人は、ゼロカロリーの食品を活用するとよいでしょう。
不飽和脂肪酸を積極的に摂る
糖質制限の特徴は、糖質を抑える代わりに脂質を多く摂取する点です。食品の脂質の種類は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2種類があり、飽和脂肪酸はお肉の脂やバター、不飽和脂肪酸はお魚の脂やごま油などに含まれています。このうち、不飽和脂肪酸は中性脂肪やコレステロールを低下させる役割があるので、積極的に摂取しましょう。特に青魚にはDHA・EPAといわれる脂肪酸が豊富なので、最も取り入れるべき食品です。
運動で消費エネルギーを高める
運動は消費エネルギーを高めたり、基礎代謝量を増やすうえで欠かせません。ウォーキングのような有酸素運動は体内の脂肪をエネルギー源にするので、中性脂肪を減らすのに効果的です。筋トレのような無酸素運動は消費エネルギーを高め、基礎代謝量も高めるので有酸素運動と並行して取り組みましょう。どちらも最低でも週2回、1日30〜60分の頻度で行いましょう。
ストレスを解消する
コルチゾールの分泌を抑えるためには、ストレス解消が最適な方法です。人によってストレスの解消方法は異なりますが、科学的に証明されていることとして、自然と触れ合うことが挙げられます。アメリカの研究では、自然を感じられる場所で20〜30分間座ったり歩いたりするとコルチゾールが大幅に減少することがわかっています。自然豊かな場所にいったり、木々の生いしげる公園で一休みしたりしてストレスを解消しましょう。
禁酒をする
アルコールによる肝臓への影響を防ぐためには、禁酒が効果的です。禁酒をして肝臓を休ませれば栄養素をうまく代謝できるようになり、エネルギー効率がアップします。余分なエネルギーが中性脂肪として蓄積されることを防げるので、食事・運動と同様に取り組みましょう。禁酒が難しい場合は、飲酒頻度を少しずつ減らす方法がおすすめです。週7日飲酒しているなら週5日に減らし、週5日に減らせれば週3日に減らしてみましょう。最終的には、完全に禁酒できることが理想的です。
食事や運動の改善が根本的な解決策
中性脂肪値が高い状態が続くと動脈硬化が進行し、取り返しのつかない事態を招きます。そうならないためにも、今のうちから生活習慣を改善しておきましょう。この記事で紹介した食事や運動に継続的に取り組んで、中性脂肪値を改善しましょう。
また、ジョイントの健康管理食を毎日食べて、健康を促進しよう!
管理栄養士馬塲 耕造
1950年生まれ。国立循環器病研究センター 栄養管理室長、大阪刀根山医療センター 栄養管理室長、関西福祉科学大学 福祉栄養学科 客員教授。現在、優れた知見をもとに当社商品の監修と管理栄養士の指導を行い、お客様の栄養相談も行っている。