健康情報
2022.03.30
ワインは血圧を下げる作用がある?健康との関係性やポリフェノールの効果とは
- もくじ
ワインと健康の関係性とは?
まず初めに、ワインがもたらす健康への効果を紹介します。
ワインがもたらす健康への効果
リラックス効果がある
適度なアルコールは爽快さとリラックス効果をもたらし、ストレス解消や疲労回復につながります。また中枢神経が活発な状態になるため、会話を増やしてコミュニケーションを図る効果もあります。
血圧を下げる
特に赤ワインに含まれるポリフェノールには、血管を拡張させる作用があるといわれています。血管が拡がることで血流の抵抗が少なくなるため、血行がよくなり血圧が下がるのです。
血管のアンチエイジングになる
血管や細胞が過剰な活性酸素によって酸化されると、血管の老化につながります。
ワインに含まれるポリフェノールの抗酸化作用は、過剰な活性酸素の害から細胞を守り、血管の老化を予防します。
脂肪の蓄積を抑える
赤ワインには、エネルギー代謝に関係したアミノレブリン酸が含まれます。この成分は、細胞内で脂肪をエネルギーへと効率よく変換する作業に役立つでしょう。代謝が促進されることで、脂肪の蓄積を抑えます。
血糖コントロールにつながる
赤ワインの色素であるアントシアニンは、過剰な糖の合成や利用を抑制する酵素を活性化させるといわれています。これによりインスリン感受性が高まるため、血糖値の上昇を抑えられるのです。
ワインに含まれるポリフェノールの効能
ここからは、ワインに含まれるポリフェノールの特徴や効能を詳しく説明します。
ポリフェノールとは?
ポリフェノールは植物の成分
植物が紫外線のような外的刺激から身を守るため、光合成などによって作られた成分です。苦みや渋みなどの味を呈するものや、野菜や果物の色素となる成分など数千種類が存在します。
強い抗酸化作用を持つ
ポリフェノールはどの種類も共通して抗酸化作用があり、活性酸素を取り除いて細胞の酸化を抑えます。
活性酸素は人体に有用である反面、過剰な状態では細胞の老化が進み、血管の劣化や免疫力の低下などの悪影響を及ぼします。
ワインに含まれるポリフェノールの特徴
ブドウの皮に多く含まれる
原料のブドウに豊富なポリフェノールが含まれます。種子と比較して皮に多く含まれるので、果物は皮ごと食べる方が効率よくポリフェノールを摂取できます。
ブドウに含まれるポリフェノールの種類と期待される効果は、表のとおりです。
ポリフェノール | 特徴 | 健康効果 |
アントシアニン | 果皮に含有
青紫色の色素成分 |
目の網膜色素の合成を助ける
目の毛様体の緊張緩和 目の疲労回復 視力の改善 活性酸素除去能 インスリン感受性上昇 血糖値上昇の抑制 |
タンニン
(プロアントシアニジン) |
渋み・えぐみの成分
果皮や種子に含有 |
軟便や下痢の改善
殺菌作用 二日酔い改善 抗酸化作用 コレステロール排出 |
レスベラトロール | 果皮や種子に含有 | 動脈硬化予防
脳血流改善・認知症予防 抗老化遺伝子の活性化 血管拡張作用 抗酸化作用 |
白ワインより赤ワインの方が含量が多い
ポリフェノール含量は、白ワインより赤ワインの方が豊富です。白ワインは薄緑や赤色品種のブドウを原料とし、果皮や種子を除きます。赤ワインは赤色または黒色系品種を原料とし、果皮や種子を含んだまま発酵させます。そのため、皮まで含んだ赤ワインにはより多くのポリフェノールが溶出しているのです。
ワインに含まれるポリフェノール量は、以下のとおりです。
- 赤ワイン:約2000~4000mg/1L
- 白ワイン:約300mg/1L
ポリフェノールが発揮する血圧を下げる効果
活性酸素を除去
ポリフェノールが持つ抗酸化作用は活性酸素を除去し、高血圧の予防に役立ちます。活性酸素は、細胞膜の脂質や悪玉コレステロールをも酸化します。これらが血管壁にこびりつき、血液の通り道が狭められることにより血圧を上昇させるのです。また、血管内皮の機能障害や血管収縮を強める要因となって、血圧上昇につながります。
出典:土肥靖明「高血圧症と酸化ストレス」
血管の老化予防
ワインにはレスベラトロールというポリフェノールが含まれ、血管の柔軟さや内皮機能を改善することが期待されています。
血管の一番内側にある血管内皮は、しなやかに伸び縮みすることが理想的です。そこで発生する一酸化窒素量が多いほど、健全であると評価されます。
一酸化窒素は活性酸素により容易に酸化され減少してしまいますが、レスベラトロールは酸化を抑えて血管内皮の柔軟性を維持します。
血管を拡げて血圧を下げる
レスベラトロールには、血管を拡張する作用があるといわれています。
これにより血液の流れがスムーズになるため、血圧の上昇や血栓の形成を抑えて動脈硬化の予防につながります。
ワインを健康的に摂取する方法
ここからは、飲酒量の目安や摂取方法などを紹介します。
適度なワインの摂取量とは?
ワインはグラス2杯200mlが目安
厚生労働省の示す適度な飲酒は、純アルコール量にして1日20g程度とされています。この量は、日本人の体内アルコール代謝を考慮した基準です。ただし、女性は男性よりアルコールの分解速度が遅いという点に注意しましょう。
アルコール換算20gでの種類別の目安量は、以下のとおりです。ワインはグラスで2杯弱となります。
- ワイン:200ml
- ビール:500ml
- 日本酒:180ml(1合)
- ウイスキー:60ml(ダブル1杯)
- 焼酎:100ml(0.6合)
出典:厚生労働省「飲酒のガイドライン」
キープしたい正常な血圧の範囲
正常な血圧は120/80mmHg
日本高血圧学会による血圧の診断基準は、表のとおりです。正常な血圧は上が120mmHg、下が80mmHgの値が基準です。「高値血圧」は高血圧症の予備軍ともいえる値なので、日ごろの血圧の管理が重要になります。
分類 | 収縮期血圧 | 拡張期血圧 | |
正常 | <120 | かつ | <80 |
正常高値血圧 | 120-129 | かつ | <80 |
高値血圧 | 130-139 | かつ/または | 80-89 |
Ⅰ度高血圧 | 140-159 | かつ/または | 90-99 |
Ⅱ度高血圧 | 160-179 | かつ/または | 100-109 |
Ⅲ度高血圧 | ≧180 | かつ/または | ≧110 |
出典:厚生労働省「高血圧」
塩分調節で血圧をコントロール
おかずとおつまみの注意点
何も食べない状態での飲酒はアルコールの吸収が速く、酔いやすくなります。食べることで胃腸への負担を軽くするのも大切なポイントです。
また、味が濃く塩分の高い食事やおつまみは飲酒量を増やしてしまうので、塩分控えめな味付けにしましょう。血管の健康維持のために、たんぱく質を取り入れた食事がおすすめです。
食塩は1日6gが目安
高血圧症や生活習慣病予防の観点から、1日の塩分摂取量の目安は6gです。血圧の高さが気になる場合は、加工品や加工肉など塩分の高いおつまみの食べ過ぎに気を付けましょう。
血圧を下げる作用のある食品を取り入れる
カリウム
細胞内液にカリウム、外液にナトリウムが存在することで体液の浸透圧を保っています。ナトリウムが多くなると薄める水分が入り血液量を増やすため、血圧が上がるのです。体内にカリウムが十分にあれば、余分なナトリウムを排出して血圧が安定します。
カリウムはゆでたり水にさらすと減り、蒸す、炒める、揚げる方法であれば減りません。
カリウムを多く含むのは、以下の食品です。
動物性食品 | 真鯛、カツオ、ブリ、アジ、サケ、サワラ、タラ、牛ヒレ肉、牛サーロイン、豚ヒレ肉、豚ロース、鶏もも肉、鶏むね肉 |
芋類 | じゃが芋、さつま芋、大和芋、長芋 |
野菜 | ほうれん草、ゆでたけのこ、モロヘイヤ、ブロッコリー、カリフラワー、水菜、かぼちゃ、大根、切干大根、きゅうり、ゴーヤ、れんこん |
豆類・種実類 | アーモンド、落花生、納豆、枝豆、ゆで大豆、ゆで小豆、ゆで栗 |
きのこ | えのきたけ、なめこ、ぶなしめじ、ひらたけ、松たけ、まいたけ |
果物 | アボカド、バナナ、グレープフルーツ、桃、カキ、リンゴ、梨、キウイフルーツ、メロン、すいか、マンゴー、パパイヤ |
出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
マグネシウム
血管の収縮には、マグネシウムとカルシウムのバランスが関係します。血管の細胞内にカルシウムが過剰に流れ込むと、筋肉が収縮して血圧を上昇させます。マグネシウムはカルシウムを調節して収縮をコントロールする働きがあるので、血圧の正常化に大切な栄養素です。マグネシウムを多く含む食品は、以下のとおりです。
動物性食品 | アサリ、イワシ、カキ |
穀類 | 玄米、そば、大豆、納豆、豆腐、きな粉、油揚げ、トウモロコシ |
野菜 | ほうれん草、春菊、オクラ、にら、枝豆 |
果物 | プルーン、バナナ、栗、アボカド |
海藻 | 昆布、ひじき、青のり、焼きのり、わかめ |
種実類 | アーモンド、カシューナッツ、クルミ、ごま、落花生 |
出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
GABA(γアミノ酸)
神経を落ち着かせる作用のある、神経伝達物質の一つです。交感神経系のノルアドレナリンの分泌を抑制することで、血管の収縮を和らげ血圧を下げる効果があります。
発酵食品の中からGABAを高生産する乳酸菌株を分離し、それを含めて高血圧予防のために製品化した食品も販売されています。GABAを含むのは、以下の食品です。
野菜 | トマト、かぼちゃ、じゃが芋、キャベツ |
果物 | バナナ、ぶどう、温州みかん |
穀類・豆類 | 大豆、大麦、玄米 |
その他 | トマト缶詰(ホール)、ヨーグルト、漬物、発酵食品、チョコレート |
出典:農研機構「食品研究部門:機能性成分含有量データ(抜粋)」
参考文献:「わかりやすい食品機能学」第2版
食物繊維
不溶性と水溶性の2種類があります。水溶性食物繊維は過剰なナトリウムを排出し、血圧降下につながるでしょう。野菜や果物を350g摂取すると、1日に目標とされる20gの食物繊維がとれます。水溶性食物繊維を含む食品は、以下のとおりです。
野菜・芋類 | アーティチョーク、インゲン豆、オクラ、かんぴょう、ごぼう、切干大根、にんにく、こんにゃく、さつま芋、山芋 |
果物 | りんご、アボカド、干し杏、干しいちじく、すだち、柚子、レモン、プルーン、キウイフルーツ |
海藻 | わかめ、ひじき、もずく |
きのこ | 干ししいたけ、きくらげ |
出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
酢酸・クエン酸
しょう油や塩の代わりに酢やレモン、すだちを絞って酸味を活かす方法は、減塩に役立つと同時に血圧を下げる効果もあります。酢の酢酸から作られるアデノシンは血管を拡張させ、かんきつ類のクエン酸は血流をよくしてくれるからです。
ポリフェノール
リンゴに含まれる「リンゴポリフェノール」は血圧を上昇させる酵素の働きを阻害して、血圧を下げる働きがみられます。
チョコレートに含まれる「カカオポリフェノール」は血管を拡張させることにより、血圧を下げる作用があります。
ワインを料理に活用する
赤ワイン煮込みや魚の照り焼き
ワインの芳醇な香りは、料理に活用できます。赤ワインはしょう油とのコンビネーションがよく、照り焼きにおすすめです。白ワインは塩とのバランスがよいため、魚介類や白身魚などに活用してみてください。ワインを使った料理例は、以下のとおりです。
肉料理 | 魚料理 | |
赤ワイン | ビーフシチュー、トマト煮、ハッシュドビーフ、ミートソース、マリネ | 照り焼き、南蛮漬け |
白ワイン | ポトフ、ワイン蒸し、クリームソース、フリカッセ | 酒蒸し、ボンゴレビアンコ、アクアパッツァ、マリネ |
大人のワインゼリー
ワインをゼリーにして、大人用のデザートに使うのもおすすめです。赤ワインゼリーには皮ごと食べるブドウやベリー類を入れると、ポリフェノール量がアップします。白ワインにはマスカットやライチを混ぜると、甘さがしっかりとして上品な一品に仕上がります。
ゼリーで固めず、コンポートやフルーツポンチなどのアレンジも可能です。
ワインの効能と適量を知って血圧コントロールに役立てよう
ワインは適量を守ることで、血圧の管理など健康へのよい効果がもたらされます。また、赤ワインの芳醇な香りや白ワインのフルーティな甘さは、料理やスイーツにも活用できます。食生活に上手く取り入れながら、血圧のコントロールに役立てましょう。
健康管理食で食事でも血圧のコントロールを
ジョイントの宅配弁当は塩分2.5g以下で作られています。
日々の食事で塩分をコントロールするのは難しいという方は栄養管理が施された宅配弁当を取り入れてみてはいかがでしょうか。
管理栄養士馬塲 耕造
1950年生まれ。国立循環器病研究センター 栄養管理室長、大阪刀根山医療センター 栄養管理室長、関西福祉科学大学 福祉栄養学科 客員教授。現在、優れた知見をもとに当社商品の監修と管理栄養士の指導を行い、お客様の栄養相談も行っている。