健康情報
2022.03.30
プリン体の量が多い・少ないアルコールは?飲酒量や飲み方を見直して痛風を予防!
プリン体とは?
プリン体とは、遺伝子や細胞の形成に関わる「核酸」の主成分のことです。体にとって必要不可欠な成分であり、体内貯蔵量の7〜8割は体内で合成されています。つまり、食事から摂るべきプリン体は2〜3割ほどと少ないのです。食事から摂ったプリン体は、肝臓で尿酸に分解されて「尿酸プール」という貯蔵場所に溜まります。そうすることで、体内の尿酸量を一定に保っているのです。食事からプリン体を多く摂取すると、尿酸プールの量が溢れるので、腎臓で不要な尿酸を尿に変換し排出されます。
痛風の原因はプリン体による尿酸値の上昇
プリン体を摂りすぎると、痛風になる可能性が高くなります。痛風とは、尿酸の結晶が皮下組織や関節内に蓄積されることで、足の親指の付け根や足の甲、かかとなどに激痛を伴う病気です。プリン体を過剰摂取すると尿酸に変換される割合が多くなり、やがて尿酸プールの水位が限界を迎えます。すると、尿酸の排出が間に合わなくなり尿酸値が上昇するため、尿酸が結晶化し痛風を招くのです。この状態を高尿酸血症と呼び、痛風以外にも腎不全や尿路結石といった病気の原因になります。
1日の摂取量は400mgが目安
高尿酸血症を防ぐにはプリン体の1日の摂取量を守り、尿酸をつくり過ぎないことがポイントです。プリン体の1日の摂取量の目安は400mgなので、その値に合わせて食事をする必要があります。以下の表は、食品ごとのプリン体含有量の目安です。
食品ごとのプリン体含有量(100gあたり) | ||
肉類 | 魚介類 | 野菜類・穀類 |
鶏レバー(312.2mg) | マイワシ(210.4mg) | 干し椎茸(379.5mg) |
鶏ささみ肉(153.9mg) | ニジマス(180.9mg) | ほうれん草(171.9mg) |
豚ひれ肉(119.7mg) | 明太子(159.3mg) | 玄米(37.4mg) |
牛もも肉(110.8mg) | ブリ(120.8mg) | 白米(25.9mg) |
出典:公益財団法人 痛風・尿酸財団「食品中のプリン体含有量 」
表の通り、食品中にはプリン体が多く含まれています。特に肉類や魚類を数百グラム単位で食べることは珍しくないので、無意識のうちにプリン体を過剰摂取しているかもしれません。目安量の400mgを大きく超えない範囲で、食品選びをしていくことが大切です。
プリン体が含まれるお酒
プリン体はさまざまなお酒に含まれていますが、その含有量はお酒の種類によって異なります。種類ごとのプリン体含有量は、下記の表を参考にしてください。
お酒の種類 | プリン体含有量(100mlあたり) |
ビール(低アルコール含む) | 2.8〜16.6mg |
紹興酒 | 11.6mg |
日本酒 | 1.2mg |
ワイン | 0.4mg |
ウイスキー | 0.1mg |
焼酎(25%) | 0.0mg |
参考:公益財団法人 痛風・尿酸財団「アルコール飲料中のプリン体含有量」
表の通り、肉や魚などの食品と比べるとお酒に含まれるプリン体は少ないです。ただ、お酒は液体だけに飲む量が増えやすいので、その分プリン体の摂取量も増加しやすい傾向があります。
プリン体の含有量が多いお酒
ビールや紹興酒といった醸造酒は味や風味を活かすために、糖質やプリン体をうま味成分にしています。そのため、醸造酒はプリン体が多く含まれています。
ビール
ビール100mlあたりに含まれるプリン体は2.8〜16.6mg、紹興酒には11.6mg含まれています。一見少ないように思えますが、500ml、1Lと飲酒量が増えるとかなり多くのプリン体を摂取することになります。また、メーカーによってプリン体の含有量が大きく異なるため注意しましょう。
プリン体の含有量が少ないお酒
ウイスキー、焼酎などの蒸留酒や日本酒が代表的です。また最近では、あらかじめプリン体がカットされているビールや発泡酒も売られています。
蒸留酒・日本酒
蒸留酒は醸造酒を加熱し、蒸発した気体を冷却して製造します。醸造酒に含まれる成分を分離するためアルコール度数は高くなるものの、プリン体の含有量は少なくなるのです。焼酎に含まれるプリン体は100mlあたりで0.0mgなので、完全にカットされています。日本酒は醸造酒ですが、プリン体の含有量は100mlあたり1.2mgと少なめです。
アルコールは体内のプリン体・尿酸を増やす
アルコールを摂取すると、体内のエネルギー源であるATPという物質の分解が進みます。ATPはプリン体で構成されているので、分解されてしまうと体内のプリン体の量が増加するのです。また、アルコールは腎臓の機能を低下させてしまうので、尿酸をうまく排出できなくなり、結果的に尿酸値を上げます。お酒はプリン体が含まれているだけでなく、アルコールによって体内の機能を壊し、尿酸値の上がりやすい体質へと導いてしまうのです。
痛風を予防する方法
痛風を予防するにはプリン体の多い食品やお酒を摂り過ぎないことが得策ですが、ほかにも予防する方法はあるので日常生活に取り入れてみましょう。
蒸留酒をメインに飲酒する
ビールや紹興酒のような醸造酒を頻繁に飲む人は、プリン体の少ない蒸留酒に切り替えるのがおすすめです。ただし、そもそもの飲酒量が少ない人は、無理に蒸留酒に変える必要はありません。お酒は飲みすぎることでプリン体が増加するので、ビール1缶(350ml)ほどの飲酒であれば、さほど気にする必要はないでしょう。
お酒のおつまみに注意する
お酒のおつまみで肉や魚、干物などを多く食べる人は注意が必要です。これらはお酒よりもはるかにプリン体が含まれています。食べる場合は、カツオやマグロがおすすめです。アンセリンというアミノ酸によって尿酸の生成を抑え、排出を高める効果が期待できます。基本的なおつまみは、プリン体の少ないそら豆やかまぼこ、さつま揚げなどを食べるようにしましょう。
お水を多く飲む
尿酸の1日の排出量のうち、約7割は尿として排出されます。そのため、お水を多く飲むことで利尿作用が高まり、体内に蓄積されている尿酸が排出されやすくなるのです。成人の排尿量は1日で1〜2Lほどなので、お水は1日に2L以上飲むようにしましょう。
軽い有酸素運動をする
有酸素運動は、尿酸値の改善に効果があるといわれています。ウォーキングやサイクリング、水泳などを最低でも週2回、1日30分ほど取り入れていきましょう。反対に無酸素運動である筋トレは、プリン体の構成成分のATPを分解し尿酸値を上げてしまいます。重いものを持ち上げるようなハードなトレーニングは避ける方がよいでしょう。
お酒と上手に付き合い痛風を予防しよう!
お酒はプリン体や尿酸を増やす要因の1つです。しかし、日頃から飲酒をする人にとって禁酒は難しいかもしれません。まずは、ビールや紹興酒といったプリン体の含有量が多いお酒を飲んでいる人は、蒸留酒や日本酒に変えてみることがおすすめです。
また、必ずしもお酒だけが痛風の原因とは限らないので、1日の食事内容や運動頻度といった生活習慣全般を見直し、痛風を予防していきましょう!
飲みすぎた日の食生活に気を付けよう
お酒には糖質が含まれているものも多いため、飲みすぎは太る原因にも繋がります。
またアルコールには食欲増進効果もあるため、一緒に食べる食事やおつまみにも気を付けなければなりません。飲みすぎた次の日は栄養管理が徹底されたジョイントの宅配弁当がおすすめです。バランスの良い食生活で毎日の食生活を楽しみましょう。
管理栄養士馬塲 耕造
1950年生まれ。国立循環器病研究センター 栄養管理室長、大阪刀根山医療センター 栄養管理室長、関西福祉科学大学 福祉栄養学科 客員教授。現在、優れた知見をもとに当社商品の監修と管理栄養士の指導を行い、お客様の栄養相談も行っている。