健康情報
2022.03.23
「梨」と「りんご」の違いを比較。それぞれの栄養価や期待できる効能を解説
- もくじ
梨とりんごの違いとは?
梨とりんごは似ていますが、栄養素や効能などさまざまな部分に違いがあります。ここでは、それぞれの食感と分類の違いについて説明していきます。旬の収穫時期を知ることでより美味しく食べられるので、参考にしてみてください。
食感の違い
梨とりんごには、噛んだときの歯触りに大きな違いがあります。梨独特のシャリシャリ感は、果肉に存在する石細胞によるものです。梨の石細胞とは果実の細胞にリグニンと呼ばれる物質が蓄積して石のように硬くなったものです。
りんごの食感は品種によって異なります。保存の間に水分が抜けて食感が変わってしまうこともあり、同じ品種のりんごでも食べる時期によって歯触りが違う場合もあります。
分類の違い
梨とりんごはどちらもバラ科の植物で、梨属とりんご属に分かれます。梨は高さ15〜20mにもなる高木で、りんごの木は7〜10mです。
食用の果物として栽培され、果実の収穫のため2〜3mの高さに整えられます。梨とりんごは品種ごとに、産地や収穫時期もさまざまです。代表的な品種や主な産地、収穫時期を以下の表にまとめました。
梨の産地と収穫時期
梨の品種 | 主な産地 | 収穫時期 |
幸水(こうすい) | 千葉県・茨城県・福島県 | 7月〜9月 |
豊水(ほうすい) | 千葉県・福島県・茨城県 | 8月〜10月 |
二十世紀(にじゅっせいき) | 鳥取県・長野県・山口県 | 8月〜10月 |
長十郎(ちょうじゅうろう) | 青森県・宮城県・秋田県 | 8月〜10月 |
新興(しんこう) | 新潟県・鳥取県・大分県 | 10月中旬〜 |
りんごの産地と収穫時期
りんごの品種 | 主な産地 | 収穫時期 |
ふじ | 青森県・長野県・山形県 | 11月上・中旬 |
つがる | 青森県・長野県・岩手県 | 8月〜9月 |
王林(おうりん) | 青森県・岩手県・山形県 | 11月上旬 |
ジョナゴールド | 石川県 | 10月下旬 |
紅玉(こうぎょく) | 青森県 | 9月〜10月 |
梨とりんごのカロリーや栄養素を比較
梨のカロリーは標準的な大きさの300gで114kcal、糖質は30gです。同じ300gのりんごでは168kcal、糖質は38.7gなのでりんごの方がカロリー、糖質共に多くなっています。次の表で示している梨とりんごに共通して含まれる栄養素には、それぞれの含有量に大きな違いはないことがわかります。
梨とりんごに共通する栄養素
梨(100g) | りんご 皮なし(100g) | |
たんぱく質 | 0.3g | 0.1g |
脂質 | 0.1g | 0.2g |
カリウム | 140mg | 120mg |
カルシウム | 2mg | 3mg |
マグネシウム | 5mg | 3mg |
リン | 11mg | 12mg |
ビタミンC | 3mg | 4mg |
食物繊維 | 0.9g | 1.4g |
出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
梨とりんごの栄養や期待できる効能
梨とりんごには、さまざまな栄養素が含まれています。梨とりんごに共通して含まれるものと、それぞれが独自で持つ栄養素や効能について紹介します。
梨とりんごに共通する栄養素と効能
たんぱく質
皮膚や髪の毛、筋肉などを形成する成分です。記憶力や集中力を向上させる働きもあります。
脂質
効率の良いエネルギー源です。たんぱく質や糖質の2倍のエネルギーを作り出します。
糖質
エネルギー源として使用されます。梨やりんごなど果物に含まれる果糖には血糖値を上げにくいという特徴があり、毎日何kgも食べない限り糖質過多の心配はありません。
カリウム
ミネラルの一種で体の余分な水分や塩分を排出する働きがあります。血圧上昇を抑えむくみの予防効果があります。
カルシウム
歯や骨を構成する主成分で、神経が興奮してイライラするのを抑制する効果があります。
マグネシウム
中性脂肪を減らし、善玉コレステロールを増やす働きをします。便を柔らかくして排出を促す効果もあります。
リン
カルシウムとともに歯や骨の正常な成長を助けます。体液の酸とアルカリのバランスを調整し、心臓や腎臓の機能を維持する働きもあります。
ビタミンC
免疫力を高め、風邪などの感染症を予防する効果があり、肌の美白効果も期待できます。水溶性ビタミンの一種で水分に溶ける性質があります。
食物繊維
腸管を掃除する役割があり、排便を促進させて余分な栄養分の吸収を緩和させる効能も期待できます。
梨の栄養価
梨とりんごには共通する栄養素も多いですが、もう一方には無い成分も含まれています。ここからは、梨とりんごそれぞれの特徴的な栄養素の違いを比較していきましょう。
アスパラギン酸
必要なミネラルを効率よく取り込む働きをして、疲労回復の効能があります。
ソルビトール
清涼感のある甘さがあり、整腸作用も期待できます。糖質の中でも低カロリーの特徴を持つ糖アルコールです。
プロテアーゼ
たんぱく質分解酵素で肉類を柔らかくし、消化を促進する効果があります。
りんごの栄養価
りんごには、りんごポリフェノールと呼ばれる成分があります。その種類と効能を次に紹介します。
プロシアニジン
抗酸化力に富み、アレルギー予防や肌を白くする美容効果もあります。
エピカテキン
免疫力を高め脂肪燃焼の働きがあるので、ダイエットにも効果が期待できます。
アントシアニン
りんごの赤色に含まれ、視力改善や高血圧予防にも効果があります。
りんご酸
体内の炎症を抑える効果があります。シミやシワ、くすみを改善し、美容にも効果が期待できます。
クエン酸
新陳代謝を促進し、疲労回復に役立ちます。血流の促進やミネラルの吸収を助ける効果もあります。
梨とりんごのおすすめな食べ方とは
梨とりんごは生で食べることが多いですが、加熱調理をしても美味しく食べられます。ここからは梨とりんごの美味しい食べ方を紹介します。
梨の美味しい食べ方
梨のコンポート
皮をむいて切り分けたものを、被る程度の水と砂糖少々、レモン汁少々と一緒に加熱します。水分が蒸発して焦げてしまわないように気をつけてください。甘いお菓子やケーキに代えることでカロリーや糖質が抑えられ、健康や美容効果も期待できます。
梨のすりおろし
梨に含まれるたんぱく質分解酵素プロテアーゼの働きで、肉を柔らかくする効果があります。肉料理にすりおろした梨を加えると柔らかく仕上がり、梨のフルーティーさも加味されます。焼肉のタレに混ぜるのも美味しいでしょう。
りんごの美味しい食べ方
りんごは皮と実の間に食物繊維が多く含まれているので、皮付きで食べるのがおすすめです。りんごの皮は梨と比較しても柔らかく、調理しても口に残ることが少ないでしょう。
焼きりんご
りんごを2等分し、芯をくり抜いた部分に砂糖か蜂蜜とバターを適量入れます。オーブンやフライパンで果実が柔らかくなるまで焼いてください。冷やすとより美味しく召し上がれます。
りんごカレー
普段のカレーにりんごをすりおろして加えます。カレーの辛味とりんごの酸味や甘味で普段とは違う、フルーティーなカレーを楽しめるでしょう。キーマカレーに小さく切ったりんごを加えるのもおすすめです。
栄養豊富な梨とりんごを美味しく食べよう
果物に含まれる果糖は甘味も強く、食べ過ぎると糖質の摂りすぎにつながると思われがちです。しかし果糖は比較的、血糖値を上げにくいという特徴があります。梨やりんごにはビタミンやミネラル、食物繊維が多く含まれるので、健康や美容効果も期待できるでしょう。毎日の食生活にぜひ、取り入れてください。
果物の糖質が気になる方は糖質制限食を取り入れて
果物を食べたくても糖質が気になる人は、糖質制限食の宅配弁当を利用するとよいでしょう。ジョイントの糖質制限食の宅配弁当は、栄養バランスに優れているためおすすめです。糖質量を表記してあるので、果物を一緒に食べるときでも安心して食べられます。参考にしてください。
管理栄養士馬塲 耕造
1950年生まれ。国立循環器病研究センター 栄養管理室長、大阪刀根山医療センター 栄養管理室長、関西福祉科学大学 福祉栄養学科 客員教授。現在、優れた知見をもとに当社商品の監修と管理栄養士の指導を行い、お客様の栄養相談も行っている。