健康情報
2022.03.30
納豆と相性の良い・悪い組み合わせとは?栄養効果がアップする食べ方で健康を維持しよう
納豆の持つ栄養・成分
健康に良い効果がたくさんある納豆ですが、その成分や効果について詳しく知っている人は多くありません。まずは納豆という食品が持つ成分と、主な効能について解説します。
たんぱく質
人間に必要な三代栄養素の1つで、人間はたんぱく質を摂取しないと生きていけません。筋肉や臓器、ホルモン物質など、体内で作られるさまざまなものは、たんぱく質によって作られています。納豆に含まれているたんぱく質は数ある食品の中でも質が高いといわれており、含有量も多いです。
「アミノ酸スコア」というたんぱく質の質を評価する指標において、納豆は満点の100の評価を受けています。質、量ともにたんぱく質に優れた食品といえるでしょう。
食物繊維
小腸で吸収されずに大腸まで届く成分で、主に植物系の食品に多く含まれています。食物繊維には便通を良くする整腸効果があり、便秘の解消にも役立つ栄養です。納豆に含まれる食物繊維は、1パックで1日に必要な量の半分が含まれています。
そのほか、血中コレステロール濃度の低下や血糖値の抑制にも効果があるなど、生活習慣病予防のために摂っておきたい栄養素です。現代人に不足しがちな栄養素なので、積極的に摂取しましょう。
納豆菌
納豆作りに欠かせない、発酵細菌の1種です。大豆の持つ栄養素をアップさせたり、発酵によって新しい成分を作り出したりする力があります。また、納豆菌自体にも免疫力をアップさせる効果があります。
納豆キナーゼ
納豆菌による大豆の発酵で生まれる成分です。たんぱく質を分解する酵素で、血管などの循環器に対してさまざまな効果があります。血管内の血栓を溶かす力があり、心筋梗塞や脳梗塞などの対策におすすめです。納豆キナーゼは熱に弱く、50度以上の加熱調理で失われてしまうので注意しましょう。
ビタミンK
発酵食品全般によく含まれている成分です。油溶性のため、油分のある食品と一緒に摂ることで吸収率がアップします。動脈の石灰化の抑制や骨の生成、血液凝固の促進に効果があり、丈夫で健康な体を作るのにおすすめです。
ビタミンB1、ビタミンB2
どちらも、エネルギーの代謝に良い栄養素です。ビタミンB1は糖質、ビタミンB2は脂質の代謝を助けます。皮膚や筋肉、髪や爪の再生にも使われる栄養で「発育のビタミン」とも呼ばれています。納豆にはどちらのビタミンも含まれており、食事で糖質や脂質を多く摂りがちな人にはおすすめです。水溶性で熱に強いので、加熱調理しても失われません。
栄養・効果がアップする相性の良い組み合わせ
納豆は単体でも高い栄養価を持っていますが、特定の食材との食べ合わせで栄養価がアップします。どの食べ合わせも栄養・味ともに相性が良いので、以下の食べ合わせを試してみましょう。
納豆+ネギで、ビタミンの吸収率アップ
ネギと納豆の食べ合わせは、納豆の持つビタミン類と相性が良いです。ネギの持つ硫化アリルという成分はビタミンB1、B2の働きを助ける力があり、納豆の代謝アップ効果を増幅してくれます。硫化アリルはネギの白い部分にたくさん含まれているので、白ネギと納豆の食べ合わせが特におすすめです。
疲労回復に効果もあるため、疲れ気味だったりストレスが溜まり気味な人は、この食べ合わせを試してみましょう。また、ネギの香りが納豆独自の臭いを緩和してくれるので、より食べやすくなるメリットもあります。
納豆+キムチは、腸内環境を改善する
納豆とキムチの食べ合わせには、腸内環境改善の効果をアップさせる力があります。納豆とキムチはどちらも発酵食品ですが、納豆は納豆菌、キムチは乳酸菌によるものです。納豆菌は乳酸菌の増殖を助け悪玉菌の増殖を抑制する力があり、ダブルの発酵菌による相乗効果が期待できます。
また、キムチには納豆にない強い塩味があります。納豆にキムチを合わせるだけでお酒のあてにもご飯のお供にもなるので、使い勝手の面でもおすすめの食べ合わせです。
納豆+チーズで、免疫力アップ!
納豆とチーズの食べ合わせは、免疫力強化におすすめです。納豆の持つ良質なたんぱく質が免疫細胞の材料になり、そこにビタミンAを加えることで体内の粘膜を強化します。ウイルスの侵入を防ぎ、腸内環境も改善します。風邪を引かない丈夫な体にしたいなら、納豆だけでなくチーズも一緒に食べましょう。
納豆+アボカドは、美肌に効果あり!
納豆とアボカドの食べ合わせは、肌に良い効果が盛りだくさんです。納豆に含まれるビオチンという物質は、コラーゲンの生成を助けます。そこにアボカドの持つ不飽和脂肪酸やビタミンEが加わると、抗酸化作用による肌の老化防止効果がアップします。
また、アボカドに含まれるビタミンCは、納豆に含まれていない栄養素です。ビタミンCには納豆の栄養の吸収を助ける働きがあるので、納豆の持つパワーを底上げしてくれます。アボカドには食物繊維も多いので、便秘解消にも効果的です。納豆もアボカドもそのまま食べられるので、サラダや和えものなどサクッと調理できます。
食べ合わせの悪い食材
食べ合わせは、良いものばかりではありません。組み合わせによっては、納豆の栄養を損なう食べ合わせもあるのです。
納豆+卵は栄養の吸収率が下がる
美肌に効果があるビオチンという物質は、卵白の持つアビシンと結合することで吸収率が下がります。美肌効果を目的として納豆を毎日食べている人は、卵と納豆の食べ合わせに注意しましょう。ただ、ビオチンの吸収を妨げるのは卵白だけで、卵黄であれば問題ありません。
また、卵との食べ合わせで影響があるのはビオチンだけです。ほかの栄養素には影響がないので、美肌効果を求めないなら卵白を使っても問題ありません。
納豆を摂取するときの注意点
発酵食品の代表格である納豆ですが、食べるときには以下の点に注意しておきましょう。
冷蔵保存は数日が限度
納豆は長期間保存できるイメージがありますが、実は消費期限は数日間だけです。あまり長くないので、購入したら早めに消費するようにしましょう。一人暮らしの人や、これから旅行で期限内に食べきれない人は、納豆を冷凍保存しておくのがおすすめです。
プリン体が多いので食べ過ぎに注意
発酵食品である納豆には、プリン体がたくさん含まれています。食べすぎると痛風になる可能性があるので、食べる量には注意しておきましょう。納豆は、1日に1パックが適量とされています。プリン体はほかの食品にも含まれているので、気になる人は乳製品やビタミンCを多く含む食品と一緒に摂りましょう。水分をたくさん摂るのも効果的です。
アツアツのご飯に乗せると栄養価が下がる
納豆のお供といえば、あつあつの炊きたてご飯が代表的です。しかし、納豆に含まれるナットウキナーゼという成分は、50度以上の加熱で失われてしまいます。ナットウキナーゼには血流を良くする効果があるので、納豆とご飯は別にして食べるのがおすすめです。
あつあつご飯以外にも、納豆を加熱して調理する場合も同じです。ただ、ナットウキナーゼ以外の栄養素や味わいには影響はありません。
他の発酵食品に触ってはいけない
納豆を食べた日は、漬物やチーズ、キムチなどほかの発酵中の食品に触ってはいけません。納豆菌はどの発酵菌よりもかなり強力で、ほかの菌を殺してしまいます。家で自家製の漬物を作っている人は、注意しましょう。実際チーズ工場の見学などでは、1週間以内に納豆を食べた人は出入りが禁止されているところもあります。
納豆はさまざまな食材と組み合わせるのがおすすめ!
納豆は栄養が豊富で健康に良い効能がたくさんありますが、その一方で食べ過ぎには注意しなければなりません。目安は1日に1パック、それ以上はプリン体が多くなり痛風の原因になってしまいます。相性の良い食材と納豆との食べ合わせで、栄養をしっかり摂取しましょう。
ジョイントでは、管理栄養士が在籍しております。栄養相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
管理栄養士馬塲 耕造
1950年生まれ。国立循環器病研究センター 栄養管理室長、大阪刀根山医療センター 栄養管理室長、関西福祉科学大学 福祉栄養学科 客員教授。現在、優れた知見をもとに当社商品の監修と管理栄養士の指導を行い、お客様の栄養相談も行っている。