健康情報
2022.03.30
実はピーマンには栄養が豊富に含まれている!効果や成分を上手に摂取する方法とは?
ピーマンの栄養成分と期待される効果
ピーマンにはさまざまな栄養素が含まれており、それぞれが体内で大切な働きをしているのです。ここでは、ピーマンの栄養成分と期待できる効果について説明します。
β-カロテン
β-カロテンは体内でビタミンAに変換されます。ビタミンAは皮膚や粘膜の健康を維持する働きがあり、体全体の免疫力を高めるのに役立つ栄養素です。また、網膜が光を感じる反応にもビタミンAが必要になります。
ビタミンAが不足すると、暗いところで見えにくくなる、感染症や皮膚炎にかかりやすくなる恐れがあります。美容のためにも積極的にとりたい栄養素です。
ビタミンC
コラーゲンの生成に必要な栄養素で、皮膚や血管を丈夫に保つ働きがあります。また抗酸化作用が強く、活性酸素から細胞を守る働きもあります。血管の老化によって起こる動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中を予防する効果が期待できる栄養素です。さらに、鉄分の吸収を高める働きもあります。
ビタミンCが不足すると、疲れやすくなる、肌の張りが衰える、歯ぐきから出血しやすくなる恐れがあります。
ビタミンE
抗酸化力の高いビタミンで、細胞膜の酸化を抑制する働きがあります。体内のあらゆる箇所で、細胞や血管の老化、赤血球の破壊を防いでいます。
ビタミンEが不足すると神経や筋障害の症状がみられ、血行も悪くなる恐れがあるのです。また、溶血性貧血がみられることが知られています。通常の食生活では不足しにくい栄養素ですが、食事が極端に偏っている場合は注意が必要です。
食物繊維
不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類に分類され、それぞれが便秘解消に役立つのです。不溶性食物繊維は大腸で水分を吸収して便の量を増やします。水溶性食物繊維は腸内細菌のえさになり、腸のぜん動運動を促進します。
さらに食物繊維には、食後血糖値の上昇を抑えるコレステロールや発がん物質を吸着し排泄させるといった働きもあるのです。このため、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病の予防にも役立ちます。
ビタミンP
ビタミンと似たような働きをするビタミン様物質として、フラボノイド化合物をまとめてビタミンPと呼んでいます。
抗酸化力があり、ビタミンCの酸化を防ぎ、毛細血管の強化や血圧を下げる働きがあります。
ピーマンに含まれる主なビタミンPは、ルチン、ヘスペリジン、ルテオリンです。ルテオリンには抗アレルギーや抗炎症作用があることも知られています。
カロリーと糖質量
ピーマン100g(3~4個相当)のカロリーは20kcalです。糖質は5.1g含まれます。
どちらも十分に低いため、ピーマンからカロリーや糖質のとりすぎを心配する必要はありません。
他の野菜との比較
一般的に、野菜にはビタミン類や食物繊維が多く含まれています。他の野菜と比べて、ピーマンの栄養は多いのでしょうか。ここでは、ピーマンに含まれる栄養の量を他の野菜と比較します。
ピーマンと他の野菜の栄養成分比較(可食部100g当たり) | ||||||
エネルギー
(kcal) |
糖質
(g) |
ビタミンA
(μg) |
ビタミンE
(mg) |
ビタミンC
(mg) |
食物繊維
(g) |
|
ピーマン | 20 | 5.1 | 33 | 0.8 | 76 | 2.3 |
赤ピーマン | 28 | 7.2 | 88 | 4.3 | 170 | 1.6 |
にんじん
(皮なし) |
30 | 8.7 | 690 | 0.5 | 6 | 2.4 |
トマト | 20 | 4.7 | 45 | 0.9 | 15 | 1.0 |
キャベツ | 21 | 5.2 | 4 | 0.1 | 41 | 1.8 |
だいこん
(皮なし) |
15 | 4.1 | 0(推定値) | 0 | 11 | 1.3 |
たまねぎ | 33 | 8.4 | 0 | 微量 | 7 | 1.5 |
出典:文部科学省「食品成分データベース」
ピーマンに含まれるビタミンAは緑黄色野菜の中では少ない方ですが、淡色野菜であるキャベツ、たまねぎなどよりは多く含まれています。
ピーマンは野菜類の中でも特にビタミンCが多く含まれる野菜です。ピーマン100gからは、成人が1日に必要なビタミンCの76%が摂取できます。パプリカにはさらに多く含まれています。
ビタミンEや食物繊維は、他の野菜と同じくらいの量を摂取できます。
ピーマンの栄養を逃さない料理法
ここまで、ピーマンに多く含まれる栄養素について説明しました。この栄養素を逃さず、効率よく摂取するにはどうしたらよいでしょうか。ここからは、ピーマンの栄養を逃さない料理法について説明します。
千切りは縦に切る
ピーマンの繊維は縦向きに並んでいます。繊維に沿って縦に切ると細胞が傷つかず、栄養素の流出を抑えられます。また苦み成分も流出しにくいため、苦みを感じにくくなります。食感も残るので、シャキシャキした食べごたえが楽しめます。加熱調理に向いている切り方です。
生で食べるなら輪切りに
ピーマンを輪切りにすると繊維が断ち切られ、栄養素が流出しやすくなります。ただし食感が柔らかくなるため、生で食べるのに適しています。切ってから時間が経つと栄養素が壊れたり流出したりしやすくなるため、切ったものは早めに食べるようにしましょう。
油を使った調理法を選ぶ
β-カロテンは油に溶けやすい栄養素であるため、油と一緒にとることで吸収率が上がることが知られています。油で炒める、油を塗ってグリルするなど、油を使った調理法を選ぶのがおすすめです。
ピーマンのビタミンCは熱で壊れにくい
ビタミンCは、本来は熱で壊れやすい栄養素です。しかしピーマンの場合、ビタミンPがビタミンCを熱から守るため、加熱しても壊れにくいことが知られています。ピーマンは加熱してもビタミンCをとれる貴重な野菜です。
ダイエット中は料理法に注意
ピーマンはカロリーも低く、体に必要な栄養素をたくさん含むためダイエット中にも食べたい食品です。しかし、ダイエット中は油を使いすぎるとカロリーが上がってしまいます。油の使いすぎには注意しましょう。
ワタや種も栄養豊富
ピーマンのワタと種には、血栓を予防する働きのあるピラジンが豊富に含まれています。残さず栄養をとるなら丸ごと調理がおすすめです。種のつぶつぶした食感が気になる場合は、ピーマンからとらずにそのまま肉詰めにすると、口当たりがよく食べやすくなります。詰めた肉がはがれにくくなり、一石二鳥です。
少しの工夫で鮮度をキープする保存方法
保存方法でも栄養素を保つ工夫ができます。一般的に、野菜は保存しているだけでも栄養価が下がっていきます。丸ごと保存するよりも、カットした方がより栄養素の損失は大きくなるのです。
ピーマンの鮮度を保つには表面の水気をふき取り、1個ずつペーパータオルや新聞紙に包んでポリ袋に入れ、野菜室で保存します。この方法なら2~3週間保存できます。常温でも1週間程度は保存が可能です。カットしたものは切断面をラップでぴっちり包み、2~3日で使いきるようにしましょう。
ピーマンから上手に栄養をとろう!
ピーマンからはβ-カロテンやビタミンC、ビタミンE、食物繊維などの栄養素がとれるので、体のさまざまな働きを整えるのに役立ちます。カロリーが低く糖質も少ないためダイエットにも適していますが、料理で油を使いすぎないよう注意が必要です。調理方法を工夫して、ピーマンから上手に栄養をとりましょう。
ジョイントの糖質制限食で栄養満点!
栄養バランスの良い食事のため、好きなものだけ食べ続けたり一度に大量に食べたりすると
栄養が偏って身体を壊すことにもなりかねません。
ジョイントの糖質制限食の献立の中に、ピーマンを使用した副菜があります。
健康のことでお悩みの方。食事の内容に困っている方。ぜひ一度お試しください。
管理栄養士馬塲 耕造
1950年生まれ。国立循環器病研究センター 栄養管理室長、大阪刀根山医療センター 栄養管理室長、関西福祉科学大学 福祉栄養学科 客員教授。現在、優れた知見をもとに当社商品の監修と管理栄養士の指導を行い、お客様の栄養相談も行っている。