糖尿病は塩分制限が必要!覚えておきたい摂取量や食事での減塩の工夫の仕方とは - 健康管理食ジョイント

食事療法

2022.03.04

糖尿病は塩分制限が必要!覚えておきたい摂取量や食事での減塩の工夫の仕方とは

糖尿病は塩分制限が必要!覚えておきたい摂取量や食事での減塩の工夫の仕方とは
馬塲 耕造
監修

馬塲 耕造

糖尿病は糖分の摂りすぎによる病気と思われがちですが、塩分を摂りすぎることでも悪化のリスクを高めます。この記事では、糖尿病と糖分、塩分の関係を解説し、糖尿病予防の方法などを紹介します。
もくじ

糖尿病と糖と塩分の関係

塩分の摂りすぎで起こる高血圧は、糖尿病の悪化につながります。その関係性を、詳しく説明します。

糖尿病とは

食事を摂ると、血中のブドウ糖の量である血糖値が上がります。膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの働きで、血糖値を正常な状態に保っているのです。

血糖値の高い状態が慢性化すると、インスリンの量や質に問題が生じ、血糖値を抑えられなくなります。さらには、血管を傷つけて動脈硬化が起こります。

「糖尿病が強く疑われる者」と「糖尿病の可能性を否定できない者」はそれぞれ約1000万人と推計され、糖尿病は国民の5〜6人に1人が罹患している国民病といえるのです。

参照:厚生労働省「国民健康・栄養調査」(平成28年)

原因

糖尿病は自己免疫によって起こる1型と、生活習慣によって起こる2型があります。糖尿病患者の95%は2型です。

1型は、インスリンを作る膵臓の細胞をリンパ球が壊してしまうことにより起こります。インスリンが作られないと、血糖値を下げられなくなるのです。

2型は、糖分や塩分を多く摂りすぎる生活習慣が主な原因となって起こります。糖質過多でインスリンが働かず、血糖値が下がりにくくなるのです。

血液検査

血糖値は血液検査で測定します。1dlの血液中に含まれる糖分が99mgまでであれば、正常です。

血中の糖はヘモグロビンと結びつき、糖化ヘモグロビンとなります。糖化ヘモグロビンの割合をパーセンテージで表しているのがHbA1cで、5.5%が基準値です。その数値から、過去3ヶ月の平均血糖値を推定します。

HbA1cと空腹時血糖値、随時血糖値を総合的に判断して、糖尿病の進行度が判断されます。

症状

糖尿病は、かなり進行するまで自覚症状が少ないです。気がついたときには悪化している場合が多く、早い段階で進行を抑える対策が必要になります。

随時血糖値が160mg/dlを超えると、以下のような症状が出てきます。

症状 原因
手足のしびれ 毛細血管がダメージを受けて血流が悪くなり、末梢神経に影響して手足がしびれます。
皮膚の乾燥 血流が悪くなると皮膚に必要な栄養や酸素が行き渡らなくなり、皮膚が乾燥してかゆみが出てきます。
頻尿・多尿・汗かき 血液中の塩分や糖を体外に出そうとして、腎臓が多量に尿を作ります。汗の中にも糖が排出され、甘い体臭になることもあります。水分が多く排出されるので、喉が渇きやすいです。

合併症

合併症は命に関わるので、注意が必要です。以下の3大合併症は、細小血管の障害です。糖尿病で太い血管が傷つくと脳梗塞、心筋梗塞、末梢動脈疾患が起こります。

  • 網膜症…視力障害。重症になると眼底出血や失明に至る。
  • 腎症…腎臓の働きが低下。老廃物が排出できず人工透析を必要とする。

神経障害…手足のしびれや感覚障害。足の負傷に気づかずえそを起こす。

糖分を摂取するとどうなる

血糖値

糖分を摂取すると、血糖値が上がります。血糖値の高い状態が慢性化すると膵臓の機能が低下して、インスリンが不足したり効果が弱くなったりします。そのため血糖値が下がらなくなり、高血糖状態が続くのです。

インスリン

血中のブドウ糖をエネルギーとして細胞内に取り込むことにより、血糖値を下げます。エネルギーとして利用されなかったブドウ糖を、脂肪に変化させて体に蓄える働きもあります。糖質の多い食品を摂取すると脂肪が増えて太るのは、このためです。

自覚症状

血糖値が下がらないのは、ブドウ糖がエネルギーとして細胞に行き渡らず血中で滞っている結果です。体はエネルギー不足になると疲れやすくなります。血中の糖分や塩分を排出しようとして多量に尿が作られて頻尿になり、発汗も多くなるでしょう。排尿や発汗が多くなると体内の水分が失われ、皮膚が乾燥して喉が渇きやすくなります。

塩分がもたらす影響

高血圧

塩分の影響をもっとも受けやすいのは、血圧です。塩分を摂りすぎると塩分濃度を薄めようとして血中の水分が多くなり、血量が増えるので血管を圧迫して高血圧になります。高血糖で傷ついた血管が高血圧によりさらにダメージを受け、合併症を誘発して悪化させるのです。

高血圧の患者数は約4300万人で、糖尿病患者の約半数が高血圧症を併発しています。高血圧患者が糖尿病を発症するリスクは、高血圧ではない人の2〜3倍高くなります。

参照:日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019

腎臓への影響

腎臓には体内の余分な塩分や老廃物を濾過して尿を作る働きがあり、塩分には水分を取り込む性質があります。塩分を摂りすぎると体内の水分量が増えるため、腎臓に大きな負担がかかるのです。高血糖による腎臓への負担と重なることで、糖尿病性腎症へのリスクも高まります。全国の人工透析患者は33万人で、このうち糖尿病性腎症患者は39%の12万5000人に上ります。

血糖値上昇を予防する対策

食事で同じ量の糖質を摂取しても、少しの工夫で血糖値の上昇を緩和する方法があります。ここでは、血糖値の上昇が緩やかになる摂取方法を紹介します。

食べる順序

まず野菜から食べるのがおすすめです。野菜の食物繊維は小腸の中をゆっくりと移動するので、栄養素の吸収を緩やかにする働きがあります。糖質の高い麺類を食べるときにも先にサラダなどを食べていると、塩分や糖質の吸収が緩やかになります。

食事のバランス

ラーメンとライスや菓子パンと甘い飲料だけなど、糖質が多い炭水化物に偏った食事は、食後血糖値が急激に上がります。野菜やキノコ類、海藻などを取り入れた副菜を一緒に摂って、ゆっくりかんで食べるよう心がけましょう。

食後の軽い運動

食後に数分の散歩をするなどの軽い運動で、血糖値が上がりにくくなることもわかっています。血糖値が上がるのは、食後30分〜1時間の間です。その前に軽い運動をすることで糖がエネルギーとして使用され、血糖値が上がるのを防ぎます。

糖尿病と診断されたら

現代社会では平均的な食生活をしているつもりでも、日常的に糖尿病の危険性に触れています。ここでは、糖尿病と診断された後の治療法などを説明します。

糖尿病患者が注意すること

食事制限

糖尿病と診断された後は、食事制限(カロリー制限)が治療の基本となります。

食事制限では、糖尿病患者一人ひとりの身長や体重、運動量などに合ったエネルギー摂取量の「指示エネルギー量」が決められます。指示エネルギー量の範囲内で、栄養のバランスが取れた食事を摂るよう、指導が行われるのです。また、塩分や糖分の摂取量も制限されます。

体重コントロール

生活習慣が原因となる2型の糖尿病患者の課題は、肥満です。ご飯やパン、麺類など糖質中心の食事は血糖値を急激に上げ、多量のインスリンが分泌されます。ブドウ糖を脂肪に変えて体に蓄える働きもあるので、血糖値が上がると太って体重が増えるのです。

そのため食事制限を行い、適正体重に戻す指導が行われます。肥満度の判定は、BMI(体重kg÷身長m÷身長m)25以上が目安です。

運動

運動をするとブドウ糖が細胞の中に取り込まれ、インスリンが正常に働き血糖値が下がります。運動量の目安は、1日平均1万歩のウォーキングといわれています。ウォーキングが難しい場合は室内でのスクワットなど、生活動作の中で少しでも体を動かす対策を講じましょう。

1日の必要摂取量の目安

1日の摂取カロリーは、標準体重「身長(m)✕身長(m)✕22」から計算されます。標準体重に身体活動量をかけた数値が、1日の摂取カロリーの目安です。標準体重より重く肥満の場合は、身体活動量は25で計算されます。身体活動量は以下のとおりです。

  • 25〜30…軽い(デスクワーク中心)
  • 30〜35…普通(立ち仕事中心)
  • 35〜…重い(力仕事中心)

なぜ塩分制限が必要なのか

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、1日の塩分の目標摂取量は成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満となっています。実際の塩分摂取量は、成人男性で10.0g、成人女性では9.3gです。(厚生労働省令和元年「国民健康・栄養調査」)成人の約半数が高血圧で、塩分のとりすぎが問題となっています。

塩分を多く摂取すると血圧が上がり、高血圧の状態が続くと動脈硬化が進みます。高血圧は糖尿病合併症を悪化させてしまうため、糖尿病と診断されると塩分の制限も必要になるのです。高血圧や糖尿病では、1日6gまでが目安です。

 

塩分の摂取量を抑えるためには

普段から濃い味に慣れていると、塩分や糖分の摂りすぎにつながります。「甘い」「辛い」のバランスが取れていると、薄味でも美味しく感じられます。塩分が少なくても物足りなさを感じにくい工夫をしましょう。

1日の平均摂取量を知る

普段の食事を振り返り、毎日どれぐらいの塩分を摂取しているのかを知ることも大切です。

食品に含まれる塩分

以下は、小さじ1杯の調味料に含まれる塩分です。

  • 食塩…6g
  • 濃口醤油…0.9g
  • 薄口醤油…1.0g
  • 味噌…0.8g
  • 麺つゆ(ストレート)…0.2g
  • ぽん酢醤油‥0.5g
  • ウスターソース…0.5g
  • ケチャップ…0.2g
  • マヨネーズ…0.1g

普段のメニューによく上がる食品も見てみましょう。

  • 食パン1枚…0.8g
  • ベーコン1枚…0.4g
  • バター(大さじ1)…0.2g
  • 味噌汁…1.0g
  • ハンバーグ…3g
  • 握り寿司…5g
  • カレーライス…3g
  • ラーメン…5g
  • うな重…5g
  • かけそば…5g
  • 松花堂弁当…4.2g

食事で取り入れたい減塩する方法

調味料を選ぶ

塩分を抑えても酸味の刺激で補えるため、酢を取り入れましょう。レモンや柚子など、柑橘類の果汁もおすすめです。

スパイスを選ぶ

ピリッとした刺激と独特の香りが、塩分の少なさを感じにくくします。おすすめのスパイスは、ブラックペッパーやカレー粉、マスタードです。

薬味を選ぶ

ネギやみょうが、三つ葉などの薬味も減塩対策の強い味方です。トッピングに使用すると、その香味で薄味のおいしさが引き立ちます。

減塩を心がけて健康な体を手に入れよう

糖尿病と高血圧は、どちらも生活習慣病です。治療には、生活習慣を根本的に正していく必要があります。塩分や糖分摂取をコントロールしながら適度な運動を継続して、糖尿病の心配のない健康的な体を手に入れましょう。

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馬塲 耕造
監修株式会社ジョイント
監修馬塲 耕造

管理栄養士馬塲 耕造

1950年生まれ。国立循環器病研究センター 栄養管理室長、大阪刀根山医療センター 栄養管理室長、関西福祉科学大学 福祉栄養学科 客員教授。現在、優れた知見をもとに当社商品の監修と管理栄養士の指導を行い、お客様の栄養相談も行っている。