2022.02.22
アルコールで血圧はなぜ上がるの?飲酒の際に気をつけたいポイントを解説
- もくじ
血圧が高いのはなぜ? そのメカニズムとは
血圧が高いとされている数値は、最高血圧140mmHg以上、最低血圧90mmHg以上です。まずは、飲酒によって血圧が高くなる理由を探っていきましょう。
なぜ?飲酒で血圧が上がる理由と因果関係(メカニズム)
お酒を飲むと体内に吸収されたアルコールが酵素によって酸化し、一時的に血圧が下がります。血圧が下がった状態で飲酒しつづけると、アルコールが肝臓で分解されたときに発生する毒性物のアセトアルデヒドが酸化され始めます。結果的に血中濃度が高くなり、血管は収縮して血圧の上昇につながるのです。
飲酒を習慣にすることで影響が出る病気
大量に飲酒することで、さまざまな病気を引き出してしまう可能性があります。
高血圧
安静な状態なのに、血圧がいつも高い状態のことです。普段でも歩いたり運動したりすることで、血圧は上がります。高血圧の場合は血管が細くなっているので、負担がかかり血液を運ぶ際に血管の内側が傷つくことがあるのです。血管の内側が傷つけば、動脈硬化を起こしやすくなります。
脳卒中
脳の血管が細くなりすぎて破れたり詰まったりすることで、栄養が届かなくなる状態です。脳に栄養がいかなくなると障害が起こってしまいます。脳の血管が破れた状態では脳出血、詰まっている状態だと脳梗塞となるのです。脳卒中は、この2タイプに分かれます。
アルコール心筋症
適量の飲酒であればよい働きをしますが、過度の場合は循環器疾患のリスク因子になります。
心房細動
大量に飲酒することで心房内に流れる電気信号が乱れ、心房がけいれんしたように細かく震えます。血液を全身に送れなくなり、いわゆる不整脈の一種になるのです。飲酒を続けていくと血液の塊ができ、全身の血管が詰まった状態になります。心房細動が悪化することで、脳梗塞や全身性塞栓症になってしまう可能性もあるのです。
夜間睡眠時無呼吸
睡眠中に何度も呼吸が止まったり息が浅くなったりして、身体の中で低酸素状態となってしまう状況です。肥満の人が寝ている際に無呼吸になることが多いですが、飲酒でもなってしまうことがあります。飲酒はのどの緊張を緩める働きをし、無呼吸を増加させる可能性があります。
1日のアルコール適正飲酒量は男性と女性でどのくらい?
アルコールの適正飲酒量を知っておけば、どのくらい飲んでよいかの目安になります。血圧を上げないためにも、適正量を知りましょう。
1日のアルコール飲酒量の目安管理
アルコール飲酒量の目安は、日本酒1合、ビール中瓶1本、焼酎半合弱、ウイスキーやブランデーダブル1杯、ワイン2杯弱です。ただし、エタノールは男性が20〜30ml、女性がその半分の10〜20mlの場合です。 以下の表を見ると、意外に毎日の飲酒目安量は少ないことがわかります。
お酒の種類 | ビール
(500ml) |
清酒
(1合180ml) |
ウイスキー・ブランデー
(ダブル60ml) |
焼酎(35度)
(1合180ml) |
ワイン
(1杯120ml) |
アルコール度数 | 5% | 15% | 43% | 35% | 12% |
純アルコール量 | 20g | 22g | 21g | 50g | 12g |
出典:厚生労働省「アルコール」
習慣にしたい! 飲酒をして血圧が上がる際の注意点
飲酒時に工夫することで、血圧が上がるのを防げる可能性があります。飲酒をするなら、以下のような注意点を押さえましょう。
食事と一緒にゆっくり楽しむ
食事と一緒に飲酒することで、血中濃度の上昇を抑えられ血圧が上がりにくくなります。食事の栄養分とアルコールが合わさり、胃から腸に流れるスピードが緩やかになるのです。反対に空腹状態のまま飲酒すると、胃が早いスピードで腸管へと流れ吸収します。そうなると急激に血中のエタノール濃度が上がって、血圧が上昇してしまうのです。食事と一緒にゆっくり楽しむことでアルコール吸収も遅くなり、酔いにくくなります。
水も一緒に飲むと効果的
水分がアルコール分解を促進するわけではありませんが、度数が高いお酒は胃腸への刺激がとても強いです。血中アルコール濃度も早く上がってしまい、血圧の上昇につながります。さらに、肝臓への負担も高めてしまうため、水と交互に飲むのが好ましいです。日本酒や焼酎を飲酒する際も水と一緒に飲んで、胃腸への刺激を緩和させましょう。水と一緒に飲めば満腹感が出て、アルコール摂取量が抑えられます。
休肝日を作って血圧を改善
なるべく週に2日以上、休肝日を作るようにするのが大切です。ビール中瓶2本分のアルコールを肝臓で分解するためには、平均で6〜8時間かかります。これを毎日続けてしまうと、肝臓にはかなりの負担がかかってしまうのです。
ダラダラ飲み続けない
時間を決めておくことで、ダラダラ飲みを回避できます。ダラダラ飲むとアルコールの摂取量がわからなくなり二日酔いにつながってしまうのです。また、飲まないと落ち着かなくなってしまう「アルコール依存症」という病気になってしまうこともあります。
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管理栄養士馬塲 耕造
1950年生まれ。国立循環器病研究センター 栄養管理室長、大阪刀根山医療センター 栄養管理室長、関西福祉科学大学 福祉栄養学科 客員教授。現在、優れた知見をもとに当社商品の監修と管理栄養士の指導を行い、お客様の栄養相談も行っている。