健康情報
2022.02.10
血圧が低いとどうなるの?主な症状や体に及ぼす影響を知って対策しよう
- もくじ
血圧が低いとはどんな状態?
一般的に、血圧が正常値よりも低い状態のことを指します。遺伝や体質、生活習慣など、さまざまな理由によって引き起こるものですが、必ずしも血圧が低いことの全てが悪いとは限りません。それを判断する基準は、低血圧の影響による症状の有無が重要なカギを握っています。
立ちくらみや倦怠感、疲労感が続く場合、異常な事態だと判断できます。血圧が低いことによる影響は多少の個人差があり、心身の状態にも左右されやすいです。一般的な基準値は存在しますが、血圧測定器の数値だけで自己判断してはいけません。
「血圧」の仕組み
血圧とは、体に流れる血液が血管を押す力のことです。体に流れている血液は、心臓の収縮と拡張の機能によって常に循環し続けています。心臓が収縮すれば血管の壁を押す力(流れる力)が強まり、血圧が高くなります。逆に心臓が拡張して血管の壁を押す力が弱くなれば、血圧が低くなるのです。この血液を送り出す血管の抵抗力が、「血圧」です。
血圧の数値は、常に増加と減少を繰り返しています。健康状態や運動の強弱によって常に変化し続けるので、計測の際は平常時の「上の血圧」と「下の血圧」の2種類で数値を測ります。上の血圧は「最高血圧」と呼ばれ、計測の際に一番血管を押す力が強いときの数値です。下の血圧は「最低血圧」で、一番血管を押す力が弱いときの数値です。
高血圧との違い
常に血圧が高い状態のことを、高血圧といいます。高血圧になる主な原因は肥満や塩分の摂りすぎ、ストレスなど、生活や食習慣の乱れから生じます。
血圧が高いとよくない理由
高血圧は常に血管を押す力が強いため心臓や血管にかかる負担が通常よりも高く、低血圧よりも危険な状態です。血圧が高い状態の血管や心臓などの循環器は余計な負荷がかかって機能が低下し、体の至る箇所で悪い影響を及ぼします。
また、高血圧は心筋梗塞・動脈効果・心不全・脳卒中などの大きな疾患を引き起こす可能性があります。
そもそも「正常な血圧」ってどれくらい?
適正な血圧の数値は、年齢に関係なく一律です。以下は、糖尿病などの疾患がない人の正常域血圧(血圧が正常値の範囲内であること)の基準値です。
最高血圧(収縮期血圧) | 120〜140mmHg |
最低血圧(拡張期血圧) | 80〜89mmHg |
出典:A&D「血圧のおはなし(最高血圧・最低血圧って?)」
表を目安にして両方の数値が高い場合は高血圧、低い場合は低血圧と診断されます。なお、上記の基準値は診察で計測した場合の数値です。家庭で計測した場合は、表よりもさらに5mmHg低い数値が基準値として用いられます。
また糖尿病や循環器系の疾患のある人の場合は基準値が変わるため、かかりつけの病院に行って診断してもらいましょう。
測って異常値がでたら診察を受けよう
計測したときに基準値の数値を大幅に上回れば血圧が高く、下回れば血圧が低いと判断できます。血圧は心身の状態や運動の強弱で数値が増減するため、計測の数値のみを過度に信頼しないようにしましょう。不安な人は、内科や循環器科の病院で診察を受けましょう。
「血圧が低い」は病気?
単に血圧が低いだけでは病気と判断されないため、医学的に診断する基準が日本には存在しません。最高血圧が100mmHg以下でなんらかの症状が伴う場合のみ、血圧が低い状態であると診断されます。
「血圧が低い=悪い」ではない
必ずしも血圧が低い状態が、悪いものだとは限りません。血圧が低い状態で特に症状がないのであれば、健康な状態といえます。高血圧と違い血圧が低いのは、血液を送る力が弱い状態ということです。言い換えれば、血管や心臓にかかる負担が少ないことを意味します。
症状があるなら問題
もともと血圧が低い体質であっても、何かの症状が伴う場合は注意しましょう。よく現れる症状は立ちくらみやめまいなどの軽い症状です。これらの症状が一時的ではなくずっと続いているようなら、悪い意味で血圧が低いといえるでしょう。
一時的な血圧の低下は気にしなくてもいい
一時的な症状であれば、心配する必要はありません。立ちくらみやめまいは、健康な人でも日頃の疲れによって起こります。少し休んで改善されたなら、血圧が低いこととは関係ないと判断してよいでしょう。
血圧が低いとどんな影響や症状がある?
病気として血圧が低い状態が続くと、さまざまな症状が現れます。以下のような症状が頻繁に起こってなかなか治らない場合、体に悪影響を及ぼしているかもしれません。
立ちくらみが起こりやすい
立ちくらみ・めまいを伴う低血圧のことを、起立性低血圧といいます。立ち上がったときに、血圧を調整する自律神経が上手く働かないのが原因です。心臓から血液を送り出す機能が一時的に減少するため、立ちくらみやめまいを引き起こします。血圧が低いことを示す主な症状ですが、単純に疲れが原因の一時的なものであることも多いです。
疲れやすくなる・倦怠感が続く
疲れやすさや倦怠感を伴う症状が現れる低血圧を、本態性低血圧と呼びます。寝覚めが悪くなったり食欲不振になったりと、さまざまな症状が現れるのが特徴です。
本態性低血圧は生活習慣の乱れや疾患によるものではなく、主に遺伝や体質が原因であることが多いです。特に若い女性や痩せ型の人に多く見られ、自覚症状がないケースと症状が伴わないケースがあります。
症状がひどい場合は重大な疾患の可能性もある
症状がひどい場合、大きな疾患の可能性を考慮しなければなりません。その疾患によって、血圧が減少していることもあり得ます。血管や心臓などの循環器は、人体でも特に重要な器官です。症状がひどいときは、すぐに近くの病院で診断してもらいましょう。
ほかの病気や薬の副作用によって血圧が低い状態になることを、二次性低血圧と呼びます。低血圧を伴う疾患はたくさんありますが、代表的な例でいうと糖尿病や循環器系の疾患、癌が挙げられます。いずれも低血圧を伴う疾患は重大なものが多いので、症状に違和感や不安を感じる人は受診しましょう。
「貧血」との違いに注意
血圧が低い状態と貧血は症状こそよく似ていますが、実は全く違うものです。低血圧は血管に血液を送り出す力が弱い状態、貧血は血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンが少ない状態を指します。
一部の症状だけでなく、引き起こす原因も似ています。症状だけで判断するのは難しいため、測定器で血圧を計測してみましょう。
血圧が低くなる原因
血圧が低い原因は、人によってさまざまです。血圧が低いときの症状は、ときに重大な疾患のサインでもありますが、多くの場合は体質や生活・食習慣の乱れによるものです。一時的なもので、すぐに元に戻ることも十分あり得ます。ただ、簡単に見逃してよいものでもありません。ある程度、原因を特定する必要があります。
遺伝による体質
昔から血圧が低い状態になりやすい人は、遺伝や体質が原因かもしれません。両親や兄弟など、家族の中に平均よりも血圧が低い人がいる場合、遺伝である可能性があります。もともと虚弱体質だったり痩せ型体型だったりする人も、血圧が低い状態になりやすいです。
ただ、遺伝や体質が原因であっても、自覚症状がない場合は特に問題ありません。単純に血圧が低めな体質なだけです。
ストレス・疲労
血圧は体の状態だけでなく、精神状態とも密接な関わりがあります。体は健康でも精神状態が悪いと、低血圧は起こり得るのです。
栄養不足
栄養バランスの悪い食事や極端に少ない食事量は、血圧に悪い影響を与えます。低血圧に痩せ型の人が多いのは、1日の食事で十分な栄養が摂れていないからです。特に「塩分」と「たんぱく質」は重要で、過不足なく摂取する必要があります。少量であっても1日3食、忘れずに食べるのが大切です。
そんな時にはジョイントの「たんぱく調整食」を食べましょう!
栄養管理された食事でたんぱく質をしっかり取りましょう。
低血圧を改善するためのポイント
低血圧は、病院に行かなければならないほど症状がひどい場合を除けば、薬や治療は必要ありません。普段の生活でもできる、ちょっとした対策で改善できます。血圧が低くて軽い症状に悩んでいる人は、まずは以下の対策を試してみましょう。
水分をたっぷり摂る
1番簡単にできる対策は、水をたくさん飲むことです。一見、あまり関係性がないようにも思われますが、水分は血液の素になる大切な成分です。十分な量を摂取することで血液量が増え、より多くの血液を血管に送り出せるようになります。血圧を改善するといっても、送り出す血液量が十分になくては元も子もありません。
一般的に、人が1日に摂取すべき水分量は約2Lと考えられています。食が細くなりがちな低血圧の人は、食事よりも主に飲み水から水分を摂取すると達成しやすくなります。
適切な塩分量の食事を摂る
塩分には、血圧を調整する作用があります。血圧の調整作用を存分に発揮するためには、塩分の摂取量を適正に守ることが大切です。成人が1日に摂取すべき塩分量は6〜7gで、不足すると体液の調節が上手く機能せず、低血圧を招く原因になります。低血圧気味な人は、普段の食生活の塩分量を見直してみましょう。
生活リズムを整える
生活習慣の乱れは、万病の元です。低血圧の人は朝に弱い傾向にあり、朝ごはんが食べられないこともあるでしょう。しかし、きちんと起きて朝ごはんを食べることは、血圧を正常に保つためにとても重要です。
早寝早起きして1日3食きっちりと食べ、十分な睡眠時間を確保するだけでも血圧の低下を防げます。一度生活リズムを見直して、規則正しい生活を送ってみてはいかがでしょうか。
適度な運動をする
血圧を改善するのに、とても有効な方法です。低血圧だと血液が体の末端まで回らないことも多いので、運動して血圧を上げ、血液をしっかり循環させましょう。運動といっても、肩で息をするほどの激しいものでなくて大丈夫です。ランニングやウォーキングなどの軽い運動を、日常的に行うようにしましょう。
また、運動して筋肉をつけることは、血圧の異常な低下を予防するのに最適です。丈夫な体は、血液の循環がしっかりしています。ランニングやウォーキングなどの運動が苦手という人は、血行をよくするストレッチやマッサージもおすすめです。
管理栄養士馬塲 耕造
1950年生まれ。国立循環器病研究センター 栄養管理室長、大阪刀根山医療センター 栄養管理室長、関西福祉科学大学 福祉栄養学科 客員教授。現在、優れた知見をもとに当社商品の監修と管理栄養士の指導を行い、お客様の栄養相談も行っている。